Article Detail
NTTなど、異なる方向から別々の映像を視聴できる映像表現技術を開発
「多言語観光サイネージ」などが実現できる「多指向映像スクリーン技術」を開発
〜異なる方向から別々の映像を視聴できる映像表現が可能に〜
日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下「NTT」)は、国立大学法人東北大学(宮城県仙台市、総長:里見進、以下「東北大」)と共同で、異なる方向から別々の映像を視聴できる映像表現技術「多指向映像スクリーン技術」を開発しました。
これにより、例えば、訪日外国人が訪れる空港・駅や観光案内所などに、本技術を活用したデジタルサイネージを1つ設置すれば、見る位置によってサイネージに表示される内容を変更できるので、多言語対応の観光案内などの情報配信が簡易に実現できます。
今回、NTTでは、「多言語観光サイネージ」に適用した場合の例を、2014年6月11日(水)〜6月13日(金)に幕張メッセで開催される「デジタルサイネージジャパン2014」にてデモンストレーション展示を行います。
今後、NTTでは、NTTグループ会社を通じて、本技術を活用したデジタルサイネージ技術について、2014年度中の商用化を目指してまいります。
〔利用イメージ〕
*添付の関連資料を参照
【利用シーン例(別紙)】
・「多言語観光サイネージシステム」:多言語で観光案内の映像を同時に表示(利用シーン<1>)
・「お好み視点パブリックビューイングシステム」:サッカーなどユーザが見たいエリアの映像を選択して視聴(利用シーン<2>)
・「環境適応デジタルサイネージシステム」:通行人の導線方向に応じて異なる情報を表示(利用シーン<3>)
・「色々見えてくる博物館映像システム」:展示物を見る角度に応じて、情報を切り替えて閲覧(利用シーン<4>)
・「マルチアングルフォームビデオシステム」:スポーツのフォームを様々な角度からチェック&トレーニング(利用シーン<5>)
・「マルチビューアーケードゲームシステム」:ゲームの的を各プレイヤーの視点から拡大してプレイ(利用シーン<6>)
【開発の背景・経緯】
NTTは、臨場感の高い映像コミュニケーション(※1)を実現するために、人物の向きを再現できる映像技術の研究開発を進める中で、東北大学と連携し、複数の映像を観察する位置に応じて切り替えることができる多指向映像スクリーン技術を開発しました。
本技術は、明るく、多人数が同時に観察できるという特徴があるため、デジタルサイネージ(※2)を中心とした映像表示を行う市場分野への適用が期待できます。特にデジタルサイネージ分野において重要な高い「足止め効果」が期待できるため、NTTでは早期の商用化を目指しています。
【技術の概要】
本技術である1枚のプロジェクション用スクリーン(※3)に、背面から複数台のプロジェクタで、異なる映像を投影して表示します。スクリーンは、複数枚の光学フィルムで構成されており、そのスクリーンによってそれぞれのプロジェクタの映像が、ある限られた範囲にのみ透過します。
これによって、同じスクリーン上に投写した複数の映像の中から、ユーザが観察位置を変えることで、任意のひとつの映像を選択して観察することができます。
【技術の特長】
(1)多人数が同時に観察できる広い視域
比較的近い距離においては、継ぎ目がなくスムーズな映像の切り替えができます。また、どんなに遠く離れても映像が混ざらない領域を作り出すことができ、近くから遠くまで多人数で同時視聴が可能です。
(2)各映像の解像度を保持し、通常よりも明るい映像
これまで、一つのディスプレイ画面を複数に分配する方式では、各映像の解像度が低減し、さらに明るさも低減するという問題がありました。今回の技術では、各映像に1台のプロジェクタを割り当てるため、各映像の解像度が保持されます。また、スクリーンによって光を限られた領域に集めるため、通常のスクリーンに表示した場合と比較してより明るい映像を表示することができます。
*参考資料は添付の関連資料を参照
【用語解説】
※1 映像コミュニケーション
テレビ電話やテレビ会議など映像を使った遠隔地間のコミュニケーションシステム
※2 デジタルサイネージ
従来の広告や案内などの看板に変わり、ディスプレイに映像として情報を提示することができるシステム
※3 プロジェクション用スクリーン
プロジェクタを用いて映像を表示するためのスクリーン
「別紙・参考資料」
>利用シーン、多指向映像スクリーン技術
*添付の関連資料を参照