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帝国データバンク、1月の全国企業倒産集計を発表

2011-02-14

2011年1月報

 倒産件数は976件、1年5ヵ月ぶりの前年同月比増加
 負債総額は2496億8400万円、3ヵ月連続の前年同月比減少
 

 倒産件数:976件
 前月比:2.8%増
 前月:949件
 前年同月比:2.8%増
 前年同月:949件 

 負債総額:2496億8400万円 
 前月比:15.1%増 
 前月:2168億5500万円 
 前年同月比:90.4%減 
 前年同月:2兆5879億9000万円 


■件数
ポイント 1年5ヵ月ぶりの前年同月比増加
 倒産件数は976件(前月949件、前年同月949件)で、前月比は2.8%、前年同月比も2.8%の増加。2009年8月(1042件、前年同月比+2.4%)以来1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回った。

要因・背景
 1.小売業(187件)が前年同月比23.0%の大幅増加。このうち、飲食店(66件、前年同月比+34.7%)、飲食料品小売(35件、同+29.6%)などの食品関連で増加目立つ

 2.負債規模別では5000万円未満(487件、前年同月比+10.7%)が、6ヵ月連続の増加

■負債総額
ポイント 3ヵ月連続の前年同月比減少
 負債総額は2496億8400万円(前月2168億5500万円、前年同月2兆5879億9000万円)で、前月比は15.1%の増加となったものの、前年同月比は90.4%の大幅減少で、3ヵ月連続の前年同月比減少となった。

要因・背景
 1.負債額トップは、ジャスダック上場の中小企業信用機構(株)(東京都)で154億6100万円
 2.負債100億円以上の倒産は2件にとどまり、(株)日本航空など3社が負債2兆3221億8100万円を抱え、会社更生法を申請した前年同月から大幅に減少

■業種別
ポイント 小売、不動産など4業種で前年同月比増加
 業種別に見ると、7業種中4業種で前年同月を上回った。なかでも、小売業(187件、前年同月比+23.0%)は7ヵ月ぶりに前年同月を上回り、35件の大幅増加となったほか、不動産業(40件、前年同月比+37.9%)でも増加が目立った。一方、建設業(221件、同▲1.8%)、サービス業(179件、同▲10.5%)など3業種は前年同月を下回った。

要因・背景
 1.小売業…飲食店(66件、前年同月比+34.7%)、飲食料品小売(35件、同+29.6%)などで増加目立つ
 2.不動産業…貸事務所業(12件)が前年同月の3倍に大幅増加

■主因別
ポイント  「不況型倒産」の構成比82.8%、20ヵ月連続で80%台の高水準
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は808件(前月799件、前年同月777件)となった。構成比は82.8%(前月84.2%、前年同月81.9%)で前月比は1.4ポイント下回ったものの、前年同月比は0.9ポイントの増加となり、2009年6月の81.2%以降、20ヵ月連続で80%台の高水準となった。

要因・背景
 1.「円高関連倒産」が7件(前年同月比+133.3%)発生、うちデリバティブ関連が2件
 2.不動産業の「不況型倒産」は26件、構成比65.0%で前年同月比9.8ポイントの大幅増加


倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別
ポイント 負債5000万円未満、6ヵ月連続の前年同月比増加
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は487件で、6ヵ月連続の前年同月比増加となり、構成比は49.9%を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産は2件にとどまった。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満が477件発生、構成比は48.9%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業(下表定義参照)を見ると、中小企業は975件で全体の99.9%、小規模企業も834件で同85.5%を占め、小規模倒産は高水準で推移した。

要因・背景
 1.2010年6月に完全施行の改正貸金業法の影響などもあり、小規模倒産は高水準続く
 2.負債100億円以上の倒産は、景気の緩やかな回復などで21ヵ月連続の1ケタにとどまる

■地域別
ポイント 北海道、東北など5地域で前年同月上回る
 地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を上回った。なかでも北海道(29件、前年同月比+31.8%)、東北(51件、同+27.5%)の2地域で増加が目立ったほか、関東(409件、同+6.0%)は1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回った。一方、北陸(24件、同▲40.0%)、中国(29件、同▲19.4%)など4地域は前年同月を下回った。

要因・背景
 1.北海道は建設や製造が増加、東北は小売や運輸・通信で大幅増加
 2.関東は、東京を中心に飲食店(31件、前年同月比+93.8%)の増加が目立つ

■大型倒産
 負債額トップは、日本振興銀行(株)(民事再生法、9月)の融資先で保証事業の中小企業信用機構(株)(東京都、民事再生法)で154億6100万円。土木建築工事の志眞建設(株)(大阪府、民事再生法、負債109億8300万円)とあわせ、負債100億円以上は2件にとどまった。

 負債1000億円以上の倒産は11月以降3ヵ月連続で発生しておらず、さらに、負債100億円以上の倒産も、2009年5月以降21ヵ月連続で1ケタの件数にとどまっており、大型倒産の沈静化が続いている。

景気動向指数(景気DI)
景気DIは33.7で前月比0.8ポイント増、3ヵ月連続で改善
 2011年1月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.8ポイント増の33.7となった。3ヵ月連続で改善し、今回の景気回復局面における最高(33.5:2010年7月)をわずかだが6ヵ月ぶりに更新した。

 外需は中国やインドなどの新興国を中心に好調で、内需も初売りセールや気温低下による需要増、家電や住宅に対する政策支援の効果などで復調が続いた。これにより、企業の生産活動は化学や鉄鋼、機械、電機、自動車関連メーカーなど中心に改善が持続し、衣料品や家電・自動車販売、外食などでも企業活動の改善が続いた。

国内景気は外需主導による底上げも、踊り場脱却には至らず
 しかし、家計の生活防衛意識が緩和される状況になく、内需の回復は遅れており、政策支援の縮小や終了による反動減もみられる。

 原材料価格は上昇傾向にあるが販売価格への転嫁は困難な状況が続いており、売上高は回復が進まず収益性も厳しさを増している。このため、化学メーカーや医薬品小売、電気通信サービスなど一部の業種を除いて雇用を引き締める傾向に変わりはなく、設備投資も本格回復への兆しはみられない。

 また、政策見通しの不透明感も雇用や設備などの投資活動の重しとなっている。国内景気は外需主導による底上げもみられるが、踊り場脱却には至っていない。

今後の見通し
■倒産件数976件、1年5ヵ月ぶりの前年同月比増加
 2011年1月の倒産件数は前年同月比2.8%増の976件となり、2009年8月(1042件、前年同月比2.4%増)以来、1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回った。倒産が増加に転じたのは、金融円滑化法と緊急保証という金融支援策の効果が、ここにきて弱まってきたためとみられる。零細企業を中心に業績回復を伴わない延命策のツケが、制度開始から1年以上を経て表れつつあるようだ。一方、負債総額は前年同月比90.4%減の2496億8400万円と低水準が続いた。月中、上場企業倒産が1件(中小企業信用機構、負債154億6100万円)発生したものの、負債100億円以上の倒産はこの会社を含め2件にとどまるなど、大型倒産は鳴りを潜めた。

■業種別では小売業が増加、地域別では関東が1年5ヵ月ぶり増加
 業種別では、7業種中4業種が前年同月を上回り、とくに小売業の増加が目立った(187件、前年同月比23.0%増)。なかでも飲食店(66件、同34.7%増)、飲食料品小売(35件、同29.6%増)などの食品関連が大幅に増加。内需の回復遅れが主な要因とみられる。このほか、製造業が1年1ヵ月ぶり、卸売業が1年5ヵ月ぶり、不動産業が3ヵ月ぶりにそれぞれ増加に転じた。

 地域別では、北海道、東北、関東など5地域が増加。関東は1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回った。負債規模別では5000万円未満(487件)が全体の半数を占めた。全体の倒産件数は小康状態を続けるなか、前年同月を10.7%上回り、6ヵ月連続の増加。各種政策効果が行き届きにくい零細倒産の高止まりは、1月の倒産が減少基調から増加に転じた大きな要因となった。

■資源・食料価格の高騰、円高長期化がリスク要因
 国内景気は大企業を中心に、外需主導で足踏み状態を抜け出しつつある。日銀も1月25日の金融政策決定会合で、景気の先行きについて「景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し、緩やかな回復経路に復していく」との見通しをまとめた。しかし、今後の日本経済がシナリオ通り回復軌道に戻るかは未知数といえる。先行きの懸念材料が山積しているからだ。
 最も大きなリスク要因が、資源・食料価格の高騰。原油、原料炭、鉄鉱石、農産物などの原材料価格の上昇が、企業収益に与える影響は大きい。価格転嫁が難しい中小企業にとっては、死活問題となる。現状は円高のおかげで実際の価格上昇分は抑えられているが、手放しで喜ぶことはできない。円高水準の長期化は輸出企業の収益を悪化させるからだ。外需主導の回復シナリオが狂うだけでなく、関連倒産の増加などを通じて、さらなる影響拡大が懸念される。

■建設業、小売業が倒産件数を押し上げ、増加基調に入るおそれも
 このほか倒産動向に影響を与える主な材料としては、1.各種政策支援の縮小・終了、2.デフレ・脆弱な内需、3.雇用・所得の低迷などがあげられる。これらの要素が消費マインドを悪化させたことが、1月の小売業倒産の増加に結びついており、今後もこうした流れは続きそうだ。また、ねじれ国会の影響もあり、1月25日に閣議決定された金融円滑化法の1年延長の法案可決も予断を許さない。仮に延長が決まったとしても、金融機関がリスケ要請への対応を硬化させるおそれもあり、動向を注視する必要がある。今後の注目は、1年5ヵ月ぶりに反転増となった倒産が、このまま増加基調にシフトしていくかだ。これまで倒産を抑制してきた金融支援策の効果が弱まりつつある今、その可能性は十分ありうる。1月の建設業倒産は221件(前年同月比1.8%減)にとどまったが、来年度も公共事業費の大幅削減は続く見込みであり、増加傾向が予想される。このため、毎月倒産の30%前後を占める建設業、15%超を占める小売業が全体の件数を押し上げる形で、このまま増加基調に入るおそれもある。


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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