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理研、中性子ハロー核11Beの超微細構造定数の精密測定を実現

2014-05-02

中性子ハロー核11Be(※)の超微細構造定数の精密測定
−光でハロー中性子を直接見るための第一歩−

 ※「11Be」の正式表記は添付の関連資料を参照

<ポイント>

 ・中性子ハロー核11Beの超微細構造定数の精密測定を世界で初めて実現
 ・レーザーとマイクロ波中性子ハローの広がりを観測するための第一歩
 ・原子核模型に依存しない測定法で究極の原子核描像の構築に道筋


<要旨>

 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、中性子ハロー核[1]の1つ「質量数11のベリリウム同位体イオン(11Be+(*))」の超微細構造定数[2](超微細構造のエネルギー分離の大きさを定義する量)を、レーザー・マイクロ波二重共鳴法[3]によって精密測定し、その定数(A)を−2677.302988±0.000072 MHzと3,000万分の1の誤差で高精度に決定しました。これは、理研仁科加速器研究センター(延與秀人センター長)低速RIビーム生成装置開発チームの和田道治チームリーダー、高峰愛子客員研究員(青山学院大学理工学部助教)らの共同研究グループの成果です。

 *「11Be+」の正式表記は添付の関連資料を参照

 1980年代半ばから、米国ローレンス・バークレイ国立研究所や理研などで、中性子が陽子に比べてはるかに多い不安定原子核で、余分な中性子が暈(かさ:ハロー)のように広がっている「ハロー構造[1]」が発見されました。この発見によって、不安定原子核において、それまで安定な原子核で培われた常識[4]が覆されたことから、不安定核研究ブームが起きました。当時は、高速の不安定同位体原子核が他の原子核と衝突して反応を起こす確率や、分離した中性子のエネルギー分布などからハロー中性子[1]の広がりを求めていました。

 電荷を持たない中性子の広がりを直接測定することは困難でしたが、90年代半ばに、和田らを中心とした研究グループは中性子が持つ磁化を探針とするボーア・ワイスコフ効果(超微細構造異常)[5]を用いた新たな中性子ハロー研究計画を提案しました。今回、その実験に必須な、超低速RIビーム生成装置(SLOWRI)[6]の原型を開発し、中性子ハロー核11Beの超微細構造定数の精密測定に世界で初めて成功しました。この結果は、引き続き行われる予定の核磁気モーメントの精密測定と合わせて、ハロー中性子の平均分布半径の高確度決定に大きく寄与する重要な成果です。

 新しい精密測定法は、不定性の大きい核力を使わず、レーザーやマイクロ波という、よく分かっている電磁相互作用だけを使って測定するものです。適用できる原子核は限られるものの、より信頼度の高い中性子ハローの研究が可能となります。さらに、RIビームファクトリー(RIBF)[7]で整備され、現在調整中のSLOWRIでは、光を使った、原子核モデルによらない高確度の核構造測定を、より広範の不安定原子核について展開する計画であり、究極の原子核描像の構築に寄与すると期待できます。

 本研究成果は、米国の科学雑誌『Physical Review Letters』に掲載されるに先立ち、オンライン版(4月24日付け:日本時間4月24日)に掲載されます。


 ・以下、背景などリリース詳細は添付の関連資料を参照



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