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三菱電機、大幅な低騒音化を実現する換気送風機用低騒音プロペラファンを開発
大幅な低騒音化を実現する新形状
換気送風機用低騒音プロペラファンを開発
三菱電機株式会社は、当社従来比(※1)で5dBの低騒音化を実現する新形状の換気送風機用低騒音プロペラファンを開発しました。
※1 産業用有圧換気扇低騒音形との比較
*図1〜5:換気送風機用低騒音プロペラファンの形状は添付の関連資料を参照
<主な開発成果>
1.独自の新形状により、プロペラファンを低騒音化
・プロペラファン新形状の3つの特徴
(1)滑らかに湾曲する翼の外周形状を最適化(図2:A−A"のA部分)
(2)回転方向に向かって曲率半径を少しずつ小さくした内周形状(図3:B−B")
(3)滑らかな複数の波状の凹凸を設けた前縁形状(図4:C)
・当社従来比(※1)5dBの低騒音化を実現
2.騒音発生源である2つの渦を特定し、新形状の適用により同時に抑制
・流体シミュレーションと音響ホログラフィ法(※2)による音源探査技術で、騒音発生源を特定
・翼の外周端部から生じる逆流渦と翼面上の気流剥離により生じる剥離渦の変動を同時に抑制
※2 複数個のマイクロフォンを平面状に配置したアレイを測定対象の近傍に設置し、音の大きさと方向を測定することによって騒音源分布を把握する手法
<今後の展開>
産業用換気送風機は本年発売50周年を迎えます。本形状のプロペラファンは産業用有圧換気扇などに順次適用する予定です。今後もプロペラファン周りの複雑な流れ場の把握や、流れと騒音との関係解明を図り、より一層の低騒音化を進めます。
<特許>
国内5件 出願済
<開発の背景>
当社は1961年から50年にわたり、さまざまなニーズに対応した産業用換気送風機を、開発、販売してきました。工場や倉庫、店舗、学校などの換気のみならず、受配電盤や制御盤、産業用空調機の室外機などの冷却用途としての採用も増加し、多種多様な用途で換気送風機をご使用いただいています。
一方、2003年の建築基準法改正以降、常時換気設備の設置が義務付けられ、換気機器の長時間運転が広まったことにより、換気機器の低騒音化が強く求められています。
当社では、こうした低騒音ニーズに応えるべく、換気送風機に多く使用されるプロペラファンに対し、これまでに培った経験と最新の技術を駆使して、騒音発生を抑制する新形状のプロペラファンを開発し、当社従来比で5dBの低騒音化を実現しました。
<開発成果の詳細>
プロペラファンの騒音は、ファン内部の複雑な空気の流れによって発生しています。今回、流体シミュレーション(図5)と音響ホログラフィ法による音源探査技術(図6)を適用して、流れ場と音場を複合的に分析することにより、これまで困難であった騒音の発生箇所と、騒音源となり得る流れを特定し、プロペラファンの主要な騒音源が以下に示す2種類の渦の変動であることを解明しました。
1.翼の外周端部で生じる逆流渦(図7)
圧力の高い風下側から圧力の低い風上側へ逆に流れ込む気流によって発生する渦
2.翼の前縁部で気流が翼面から剥がれることによって生じる剥離渦(図8)
有限の厚みを持つ翼に気流が急に流入し、翼の前縁部で気流が不安定になることにより発生する渦
これら2種類の渦の変動を同時に抑制するために、これまで培ってきた技術を適用し以下の特徴を持つ新形状プロペラファンを開発しました。
1.翼の外周側を、圧力の高い風下側から圧力の低い風上側へ滑らかに湾曲させる当社独自技術を最適化した新形状としました(図9(a))。これにより、圧力の高い風下側から圧力の低い風上側への気流の流れ込みを制御し、発生した逆流渦の変動を抑制しました(図7)。
2.翼の内周側は、回転方向に向かって曲率半径が少しずつ小さくなる翼形状としました(図9(b))。これにより、翼面上の不安定な流れを低減し、気流の剥離も軽減して、渦の変動を抑制しました(図8)。
3.翼の前縁部に、滑らかな複数の波状の凹凸を設けました(図9(c))。これにより、翼の前縁部に発生する剥離渦を細分化し、渦の変動を抑制しました(図5(b))。
これらの新形状の適用により、プロペラファンの主要な騒音源である2種類の渦の変動を同時に抑制することができ、プロペラファンを取り囲むケースの形状最適化の効果と合わせて当社従来比で5dBの低騒音化を実現しました。
*以下の資料は、添付の関連資料を参照
図5 流体シミュレーションによる渦の可視化
図6 音響ホログラフィ法による当社従来プロペラファンの音源探査結果
図7 翼の外周端部で生じる逆流渦の概略図
図8 翼の前縁部で生じる剥離渦の概略図
図9 従来形状と新形状の比較



