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富士経済、エネルギーマネジメントシステムの国内市場の調査結果を発表

2013-08-01

電力小売全面自由化と発送電分離を経て、20年に電力システム改革が本格化、
エネルギーマネジメントシステム(EMS)の国内市場を調査

―2020年予測(12年比)―
 ●「パワーコンディショナ」2,450億円(2.6倍)メガソーラー建設ラッシュで10kW以上タイプ拡大中
 ●「HEMS」250億円(4.8倍)補助策終了後も低コスト化で搭載が一般化し拡大が続く
 ●家庭向け省エネサービス 30億円(30倍)政府のHEMSの普及を想定した支援効果に期待


 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、今年4月〜6月にかけて大震災後エネルギー政策の積極化で注目されているエネルギーマネジメントシステム市場を調査した。
 このほどその結果を報告書「2013 エネルギーマネジメントシステム市場実態総調査」にまとめた。
 この調査では、家庭分野と産業・業務分野におけるエネルギーマネジメント関連の機器、システム、サービス、構成デバイスの市場の実態と方向性を明らかにした。

 11年の大震災後、電力需給の逼迫により節電対策の必要性が叫ばれ、エネルギーマネジメントへの注目度は一気に高まり、EMS市場も一時的に膨らんだ。しかし12年は例年にない猛暑を大規模な電力不足対策もなく回避した。特に産業分野では、前年の節電対策や既存設備の運用改善努力によって、新たな機器・システムを導入せず一定の効果を達成した。そのため市場は落ちついた。
 現在再生可能エネルギーが大量に導入され、特にFIT(再生可能エネルギー全量買い取り制度)の実施により太陽光発電市場が急速に拡大し、今後風力発電や地熱発電も有望視されている。しかし、この天候や自然に左右され不安定な再生可能エネルギーの普及に伴い変動を吸収するHEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building and Energy Management System)などのEMSが必須となる。

 14年度に電気事業法が改正されて16年を目途に電力小売全面自由化と発送電分離が実行されれば、デマンドレスポンスアグリゲータ(エネルギー需要とりまとめ)事業は従来の発電事業に並ぶ重要な位置を占める。事業の成立には仕組みづくりと制度改革が必要で、現在経済産業省が主体となって様々なデマンドレスポンスアグリゲータ―導入補助策を打ち出している。まず、12年度からHEMS・BEMS導入支援事業が、13年度からはスマートマンションを対象にしたエネルギー供給事業に対する補助がスタートしてMEMSの導入が促進される。
 国の実証事業に加え、電力会社、PPS(特定規模電気事業者)、ガス会社、マンションデベロッパー、ファシリティー会社などで、デマンドレスポンスやネガワット取引の実証的な試みが積極的に行われている。
 20年以降、電力システム改革が進みデマンドレスポンスサービス(需要家側の電力消費調整)を基盤とする新エネルギーマネジメントシステムが本格的に立ち上がると想定する。


<調査結果の概要>
 エネルギーマネジメントシステム関連市場

 *添付の関連資料「参考資料1」を参照


 この調査では、エネルギーマネジメントシステム関連市場を「機器」と「システム」と「サービス」そして「構成デバイス」のビジネスモデルに4分類した。またその主な需要分野を「家庭」「産業・業務」に区分した。
 「家庭」は戸建住宅、集合住宅などの需要を対象にし「産業・業務」は工場、ビル、店舗、文教施設、自治体施設などの需要を対象としている。
 機器市場は、「パワーコンディショナ」「住宅用分電盤(省エネ監視機能付)」「電力スマートメーター」を始めとした15品目を含み、12年の1,802億円から20年には12年比2.4倍の4,303億円まで拡大すると予測する。このうち、住宅用分電盤(省エネ監視機能付)は20年には12年比13.1倍の420億円となり、成長率は全15品目中で最も高い。住宅内の設備機器や家電の電力使用量を計測し、自宅のPCや携帯電話などに表示したり、遠隔監視・制御が出来る。更に太陽光発電システムやEVとの連携など創エネ、蓄エネ設備への対応が進みPCなどによる「可視化」も可能となるなど多様な機能を秘めている。HEMSの普及に伴って、置き換えが本格化していくと考えられる。
 システム市場は「BEMS」「HEMS」を始めとした8品目を含み、12年784億円から20年には12年比66.7%増の1,307億円まで拡大すると予測する。このうち、タスク・アンビエント省エネシステムはビルのフロアを任意のゾーンに分け、その在席者の状況を検知して空調・照明を自動制御する省エネシステムで入退室管理連携省エネシステムと連携させたシステムとして開発が行われている。
 サービス市場は、「業務・産業向け省エネサービス」「家庭向け省エネサービス」「ESCO(Energy Service Company)(※)」を始めとした6品目を含み、12年353億円から20年には12年比79.6%増の634億円になると予測するが、デマンドレスポンスサービスの市場が立ち上がるまでにはまだ時間がかかると思われる。

 ※事業所などに対し、省エネ方策の提案や機器導入などの省エネ支援を行い、そのコスト削減の一部を報酬として受け取るビジネス。

 構成デバイス市場は「人感センサ」「電流センサ」など5品目を含み、12年109億円から20年には12年比80.7%増197億円まで拡大すると予測する。


<注目市場>
1.パワーコンディショナ(10kW未満/10kW以上)

 *添付の関連資料「参考資料2」を参照


 太陽光発電用の機器で、12年7月から開始された再生可能エネルギー全量買い取り制度(FIT)の実施によって特に10kW以上業務用・産業用・メガソーラー用が大きく拡大している。
 安定稼働させる技術により、10kW未満の機器を複数台連結して低コストで大容量発電システムに対応するケースも出ている。また、系統からの電力供給停止に備えて、自立運転への切り替えや非常蓄電機能を備えた製品も開発されている。
 10kW未満タイプは全量買い取り対象の低層アパートや店舗、小規模施設などの50kW未満の需要家に対して需要が増加しており、14年まで市場は急速に拡大する。10kW以上タイプは非住宅用全量買い取り市場向けに販売されており、FITの影響でやはり市場は大きく拡大するが、15年以降は、買い取り価格に左右されるため市場の伸びは鈍化すると予測される。

2.HEMS

 摘要  2012年        前年比    2020年予測      12年比
 数量  45,000システム  3.0倍    360,000システム  8.0倍
 金額  52億円         2.4倍    250億円        4.8倍

 HEMS(Home Energy Management System)は、家庭のエネルギー使用状況を可視化・管理し、エネルギー使用量の削減を行うシステムである。12年度より経産省主導によるHEMS・BEMS導入補助事業が実施され市場は拡大している。参入企業も急速に増加し、補助金対象メーカーは多岐に亘っている。システムも分電盤やスマート電源タップからの電力使用データを可視化するタイプだけでなく、太陽光発電量の可視化と組み合わせたもの、V2H送電量の可視化した製品も登場している。
 13年度は、HEMS・BEMS導入補助事業が終了するが、新たにマンション向けEMSアグリゲータへの補助金制度が開始された。導入補助事業によって市場は拡大しているが可視化機能以外に有望なアプリケーションが依然見つからず、支援策の終了により現在の市場の伸びは確実に鈍化する。国の新たな電力政策のもと、デマンドレスポンスアグリゲータによる新しい発電(ネガワット)ビジネスの普及促進が進展する可能性も期待される。

3.家庭向け省エネサービス(有料)

 摘要     2012年    前年比   2020年予測   12年比
 導入累計  20,200件  4.8倍   638,300件   31.6倍
 金額     1億円      3.3倍   30億円      30.0倍

 家庭向け省エネサービスは、HEMSを利用した従来の消費エネルギー可視化サービスを上回る各種サービスが登場している。政府が普及を想定した支援策を打ち出しているが、今のところデマンドレスポンスシステムはサービスビジネスとして成り立つに至っていない。
 現状では、HEMSを利用したサービスは太陽光発電も含めた可視化が中心となっている。サービス料金のみでの市場規模は小さいが、HEMSの普及に伴って市場は拡大して行く。さらなる普及には、新サービスの登場が必須で各社が検討を重ねている。広告ビジネスと絡める形も試みられている。一方、HEMSで収集した家庭のエネルギー消費のビッグデータを活用したビジネスの可能性が高まってゆく。複数のハウスメーカーはHEMS専用のクラウドを提供しており、今後の動向が注目される。


<調査対象品目>

 *添付の関連資料を参照


<調査方法>
 富士経済専門調査員による参入企業・周辺企業へのヒアリング調査


<調査期間>2013年4月〜6月


以上


 資料タイトル:「2013 エネルギーマネジメントシステム市場実態総調査」
 体裁:A4判 267頁
 価格:書籍版 97,000円(税込み101,850円)
    :PDF版 97,000円(税込み101,850円)
    :書籍版・PDF版セット 117,000円(税込み122,850円)
 調査・編集:富士経済 大阪マーケティング本部 第二事業部
        TEL:06−6228−2020 FAX:06−6228−2030
 発行所:株式会社 富士経済
      〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町12−5 小伝馬町YSビル
      TEL:03−3664−5811(代)FAX:03−3661−0165 e−mail:info@fuji-keizai.co.jp
      この情報はホームページでもご覧いただけます。
      URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ https://www.fuji-keizai.co.jp/

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