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NHK、単一周波数ネットワークによるスーパーハイビジョンの地上伝送実験に成功
単一周波数ネットワークによる
スーパーハイビジョン(8K)の地上伝送実験に成功
〜時空間符号化技術でより安定した大容量伝送が可能に〜
■NHKは、スーパーハイビジョン(8K/以下、SHV)地上放送の実現に向けて、超多値OFDM(*1)と偏波MIMO(*2)を組み合わせた大容量地上伝送技術の研究開発を進めています。平成24年5月には、世界で初となる地上波でのSHV野外伝送実験に成功しましたが(*3)、これに引き続き、今回、新たに時空間符号化(*4)の手法を用いた単一周波数ネットワーク(SFN)によるSHVの地上伝送実験に成功しました。
■現行の地上デジタル放送では、周波数を有効に利用するために、複数の送信局で同じチャンネルを使用するSFN技術が使われています。このSFN技術では、2つの送信局から同一チャンネルで同じ波形の信号を送信するため、それらの電波を同時に受信すると、互いに弱め合う周波数が生じ、受信品質が劣化するという課題がありました。
■今回、新たに開発したSFN技術では、時空間符号化を用いて送信所ごとに異なる波形の信号を生成し、各送信局から別々に送信します。受信側では、異なる信号を受信するため、電波が互いに弱め合うことなく、より安定して受信することが可能となりました。
■この研究成果は、5月30日(木)〜6月2日(日)に開催する「技研公開2013」でご覧いただけます。NHKは、SHV放送の早期実現を目指して、研究開発を加速していきます。
*1)OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing):直交周波数分割多重
*2)偏波MIMO(Multiple−Input Multiple−Output):送信側と受信側の双方で水平偏波用と垂直偏波用のアンテナを使用し、両方の偏波を同時に使用して伝送を行うシステム
*3)平成24年5月15日 NHK報道資料「地上波によるスーパーハイビジョンの伝送実験に成功!」
*4)時空間符号化:送信ダイバーシティの1手法で、情報を時間的・空間的に符号化し、複数のアンテナから分散して送信する方式。STC(Space−Time Coding)とも呼ばれる。
※別紙は添付の関連資料を参照