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JFEスチール、溶接部性能を向上させたラインパイプ用電縫鋼管「マイティーシーム」を開発

2010-12-11

溶接部性能を飛躍的に向上させたラインパイプ用電縫鋼管「マイティーシーム」の開発



 当社は、従来品に比べ溶接部の性能を飛躍的に向上させた電縫鋼管(*1)「マイティーシーム」を開発しました。「マイティーシーム」はこれまで主にシームレス鋼管(*2)やUOE鋼管(*3)を使用することが一般的であった寒冷地など厳格用途における、石油・ガス用のラインパイプに使用されます。

 当社は従来から電縫鋼管の溶接部の性能向上に取り組んでおり、素材となる鋼板の化学成分や圧延条件の最適化、さらに電縫鋼管製造時の溶接条件や溶接部熱処理の最適化により、高級ラインパイプ用電縫鋼管を製造してきました。しかし、アラスカなど極寒冷地の低温下では、溶接時に発生する酸化物の影響で靭性(*4)が著しく低下するため、電縫鋼管の使用は困難とされてきました。

 当社は溶接部全長にわたり安定した品質を保証するために、溶接時に発生する酸化物の形態や分布を制御する溶接技術を開発しました。合わせて、フェイズドアレイ超音波探傷(*5)の技術を適用し、連続的に溶接部全長をリアルタイムで探傷する技術を開発しました。新しい探傷技術では、酸化物の形態や分布を検査することが可能となります。そして、これらを組み合わせた溶接部の信頼性の高い電縫鋼管「マイティーシーム」を開発しました。一連の開発により、溶接部の性能とその保証技術を飛躍的に向上させ、−50℃以下の低温下における靭性が確保できる電縫鋼管を商品化しました。

 「マイティーシーム」は、当社東日本製鉄所(京浜地区)において、既にAPI5L X60(*6)相当で外径16インチ、および外径12.75インチ寸法を製造し、北米および東南アジア向けに出荷しています。「マイティーシーム」の開発により、電縫鋼管の適用を更に拡大し、今まで以上により広いお客様からの電縫鋼管のニーズに貢献できます。電縫鋼管は、シームレス鋼管やUOE鋼管と比べ高い生産性を有しています。また、高い寸法精度を有していることから、鋼管の継ぎ目部分における溶接負荷の低減など、ラインパイプ敷設におけるコスト低減が期待できます。

 当社は引き続き、ラインパイプ用鋼管の商品拡充を図り、お客様の多様なニーズに積極的に応えてまいります。


(*1)電縫鋼管:熱延鋼帯を円形に造管させ鋼帯の端部に局部的に高周波などで大電流を流して加熱しそのまま加圧させることで、溶接材料を用いず抵抗溶接によって接合させることを特徴とする溶接鋼管。
(*2)シームレス鋼管:円筒状の鋼片(ビレット)を加熱し穿孔しながら圧延もしくは押し出しによって管に製造し、溶接の継ぎ目のないことを特徴とする鋼管。
(*3)UOE鋼管:厚鋼板をプレス機で「U」字に成型後「O」字に成型し、鋼板の端部の接合に溶接材料を使ってアーク溶接した後、内側からエキスパンダーで拡張(E)して管にする溶接鋼管。
(*4)靭性:粘り強くて、衝撃破壊を起こしにくいかどうかの程度。〔JIS用語〕一般的には衝撃試験の値が高ければ靭性が高いといえる。
(*5)フェイズドアレイ超音波探傷:微小な振動子を多数配列したアレイ探触子を用いる超音波探傷法。各振動子の送受信タイミングにわずかな時間差を加えることで、超音波ビームの方向や集束位置を任意に変えながら探傷することができる。
(*6)API5L X60:アメリカ石油協会(API)の規格に準拠したパイプラインの強度等級。5Lは石油・ガス輸送用鋼管を表す。X60は降伏強度が415MPa以上であることを表す。



【写真】米国での「マイティーシーム」敷設状況
 ※添付の関連資料を参照


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