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帝国データバンク、7月の全国企業倒産集計を発表

2012-08-15

倒産集計


<2012年7月報>
 倒産件数は943件、2ヵ月連続の前年同月比減少
 負債総額は7152億1200万円、今年最大を記録

 倒産件数  943件
 前年同月比 ▲2.3%
 前年同月  965件
 前月比    +5.2%
 前月     896件

 負債総額  7152億1200万円
 前年同月比 +252.5%
 前年同月  2028億8500万円
 前月比    +302.7%
 前月     1776億2000万円


[件数・負債総額の推移]

 ※グラフ資料は添付の関連資料を参照


■件数

・ポイント 2ヵ月連続の前年同月比減少
 倒産件数は943件(前月896件、前年同月965件)で、前月比は5.2%の増加となったものの、前年同月比は2.3%の減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。前年同月比の減少幅は、前月の2ケタ(12.6%)から1ケタ台へ縮小した。

・要因・背景
 1.復興需要効果を受ける東北(26件、前年同月42件)が前年同月比38.1%の大幅減少
 2.土木工事を中心に建設業(238件、前年同月比15.6%減)が9ヵ月連続の前年割れ


■負債総額

・ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比増加、今年最大を記録
 負債総額は7152億1200万円(前月1776億2000万円、前年同月2028億8500万円)で、前月比は302.7%、前年同月比も252.5%の大幅増加となり、2ヵ月ぶりに前年同月を上回った。2012年2月の6289億8000万円を上回り、今年最大を記録した。

・要因・背景
 1.負債トップは、消費者金融の(株)クラヴィス(大阪府)で3268億8700万円
 2.負債1000億円以上の倒産が11ヵ月ぶりに2件発生し、負債総額全体の67.5%を占める


■業種別

・ポイント 建設業が9ヵ月連続で前年同月比減少
 業種別に見ると、建設業(238件、前年同月比15.6%減)、卸売業(122件、同10.9%減)、製造業(122件、同9.6%減)の3業種で前年同月比減少となり、なかでも建設業は9ヵ月連続の前年同月比減少となった。一方、サービス業(177件、同11.3%増)、小売業(187件、同8.7%増)などの4業種は前年同月を上回った。

・要因・背景
 1.建設業…復興需要を受け、東北(6件)は14ヵ月連続の前年同月比減少
 2.卸売業…中部(9件、前年同月比40.0%減)、近畿(20件、同41.2%減)が大幅減少
 3.サービス業…自動車整備や広告制作、労働者派遣などで増加が目立つ


■主因別

・ポイント 「不況型倒産」の構成比84.7%、38ヵ月連続で80%台の高水準
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は799件(前月769件、前年同月825件)となった。構成比は84.7%(前月85.8%、前年同月85.5%)で、前月を1.1ポイント、前年同月も0.8ポイント下回ったものの、38ヵ月連続で80%台の高水準となった。

・要因・背景
 1.「円高関連倒産」は17件判明、2011年10月(15件)を上回り過去最多を記録
 2.「金融円滑化法利用後倒産」は41件判明、集計開始後初めて40件を超え過去最多を記録

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別

・ポイント 負債5000万円未満の構成比51.7%、3ヵ月連続で50%超の高水準
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は488件、構成比は51.7%となり、3ヵ月連続で50%を上回る高水準となった。一方、負債100億円以上の大型倒産は6件発生、うち2件は負債1000億円を超えた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満が524件、構成比は55.6%を占めた。

・要因・背景
 1.負債1000億円以上の倒産、2011年8月(2件)以来、11ヵ月ぶりに複数件発生
 2.消費低迷を受け、小売、サービスを中心に、中小零細企業の倒産は高水準で推移


■地域別

・ポイント 9地域中6地域で前年同月比減少
 地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも東北(26件)は前年同月比38.1%の大幅減少となったほか、九州(66件、前年同月比9.6%減)でも減少が目立った。一方、北海道(31件、同55.0%増)、中国(53件、同47.2%増)、北陸(46件、同39.4%増)の3地域は、それぞれ前年同月を大きく上回った。

・要因・背景
 1.東北は、建設業を中心として大幅に減少し、3ヵ月連続の前年同月比減少となった
 2.増加した3地域では、食料品製造・販売や飲食店などの業種で増加が目立つ


■上場企業倒産
 7月は、ジャスダック上場のクレスト・インベストメンツ(株)(大阪府)が民事再生法の適用を申請し、2ヵ月ぶりに上場企業の倒産が発生した。
 2012年の累計は4件となり、前年と並んだものの、依然として低水準が続いている。


■大型倒産
 7月の負債額トップは、消費者金融を手がけていた(株)クラヴィス(大阪府、破産)の3268億8700万円。次いで、三光汽船(株)(東京都、会社更生法)の1558億7400万円となった。負債1000億円以上の倒産は、2月のエルピーダメモリ(株)以来5ヵ月ぶり。
 負債100億円以上の倒産は6件にとどまり、低水準が続いている。


景気動向指数(景気DI)

・景気DIは37.9、前月比0.3ポイント増と3ヵ月ぶりに改善
 2012年7月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.3ポイント増の37.9となり、3ヵ月ぶりに改善した。
 復興需要が拡大し始めたことで、『東北』や『建設』『製造』など一部の地域や業界では底上げや下支えにつながった。梅雨明け後の気温上昇や8月の猛暑予想なども、涼感製品や節電・省エネ製品などの需要を押し上げた。

・自律回復しておらず、踊り場局面が続く
 しかし、総じて内需は弱く、外需も停滞しており、長期化する円高や食料品の原材料価格上昇なども企業収益を下押ししたことで、『製造』は前月と同水準にとどまり、4カ月連続で全体(37.9)を下回った。
 また、『小売』は2カ月ぶりに改善したが、その改善幅はわずかであった。消費税率の引き上げなど家計における新たな負担増への警戒感は根強く、夏季賞与の減少なども影響して消費マインドに力強い回復はみられず、全体として個人消費による景気回復のけん引力は低下傾向となった。
 さらに、住宅エコポイントは予算満了で終了し、エコカー補助金による底上げ効果もすでにピークアウトするなど政策支援も息切れが鮮明となっている。国内景気は自律回復しておらず、復興需要頼みの傾向を強めており、踊り場局面が続いている。
 国内景気は緩やかな回復基調を維持しているが、復興需要のほかに積極的な押し上げ材料はなく、力強さに欠ける局面が続いている。


【今後の見通し】

■倒産件数は2ヵ月連続で前年同月比減少となるも、負債総額は今年最大
 2012年7月の企業倒産は943件で、前月(896件)を5.2%上回ったものの、前年同月(965件)を2.3%下回り2ヵ月連続で前年同月比減少となった。復興需要が景気の下支えとなっている東北が前年同月比38.1%減少となったほか、建設業が9ヵ月連続で前年同月比減少となったことが大きい。一方、負債総額は7152億1200万円となり、前月比302.7%、前年同月比252.5%の大幅増加となった。エルピーダメモリ(株)が倒産した2月(6289億8000万円)を上回り、今年最大を記録。(株)クラヴィス(負債3268億8700万円、大阪府、消費者金融)、三光汽船(株)(同1558億7400万円、東京都、外航海上運送)の負債1000億円以上の倒産2件を含む負債100億円以上の大型倒産が6件発生したことで負債総額が大幅に増加した。負債1000億円以上の倒産が複数件発生したのは、2011年8月(2件)以来11ヵ月ぶりのことである。

■相次ぐ大型の「円高関連倒産」、産業空洞化の影響も出始める
 円高が止まらない。8月に入ってからも対ユーロの為替相場を中心として円の全面高が続いており、対米ドルも1ドル=70円台後半の推移となっている。こうした状況下、2012年上半期の「円高関連倒産」は前年同期の2倍超となったが、7月は17件で2008年1月の集計開始以来最多を記録した。そのなかには、為替デリバティブの運用失敗によって直近3期連続で億単位の為替差損を計上した(株)サン・ジャパン(負債98億5100万円、大阪府、クラフトテープなど製造)や、円高により対海外の価格競争力がなくなり輸出関連製品の売り上げが大幅に減少した(株)ホクリク鋳鉄(同19億3400万円、石川県、鋳物製造)などの大型倒産も含まれる。「円高関連倒産」がこのクラスの企業でも目立ち始めたことには注目するべきだ。また、中小の製造業者では、円高に伴い主力得意先メーカーが工場を海外に移したことにより、受注が急減し破綻する業者が散見されるなど、産業空洞化の影響も出始めている。これらの事象は、現在の円高水準が続けば「円高関連倒産」がさらに増加することを示唆している。

■「金融円滑化法利用後倒産」が過去最多を記録、検討中の各種施策の具体化が急務
 7月19日、金融庁は金融円滑化法に基づき2009年12月4日(施行日)から2012年3月31日までの間に行った返済条件の変更等の状況を公表した。申し込みは全国で約313万件あり、そのうち約289万件については返済猶予など債務者の負担軽減策が実行されている。それだけ同法は、中小企業の資金繰り破綻防止に寄与してきたわけだが、その分、来年3月に到来する同法期限後を不安視する声は多い。7月9日に開催された政府の成長ファイナンス推進会議でも、「金融円滑化法の期限到来も踏まえた中小企業等への支援」は大きな柱の一つとなった。企業再生支援機構中小企業再生支援協議会・金融機関が連携した経営支援を行うことを再確認。内閣府、金融庁、経済産業省が一体となって、ABL(動産・売掛債権担保融資)の利用促進、資本性借入金の積極的活用などの検討を進めている。一方で、同法の期限切れまで8ヵ月を切っているという現実もある。7月の企業倒産は前年同月比減少となっているが、「金融円滑化法利用後倒産」だけを見ると、41件(前年同月比141.2%増)発生しており、2009年12月の集計開始以来最多となっている。返済猶予期間中に業績回復できず、むしろ業況が悪化し行き詰まる企業が増えていることに他ならない。円高、政局不安、各種政府補助金終了後の需要急減など不安要素をあげればきりがない。一刻も早く検討中の各種施策を具体化していかなければ金融機関の企業選別の動きは一層激しさを増し、同法の期限切れを待たず「金融円滑化法利用後倒産」を中心として企業倒産が大幅に増加する可能性が高い。ひとまず落ち着きを見せている倒産件数だが、このままの減少傾向が続く環境にないことは明らかである。


 詳細は資料をご覧ください。

 *資料は添付の関連資料「詳細資料」を参照

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