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田中貴金属、「非磁性合金を用いた脳動脈瘤用塞栓治療コイル」が経産省委託事業の採択候補

2012-08-13

田中貴金属工業らによる「非磁性合金を用いた脳動脈瘤
塞栓治療コイルの開発」が、経済産業省の委託事業に採択へ

〜MRIで金属アーチファクトを生じない世界初の塞栓コイル、2017年以内に市場投入を目指す京都大学、マルホ発條工業と共同開発〜



 田中貴金属工業株式会社(※1)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岡本英彌)は、国立大学法人京都大学再生医科学研究所の岩田博夫教授及び児玉智信研究員、並びにマルホ発條工業株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:奥康伸)と共同で開発する「非磁性合金を用いた脳動脈瘤用塞栓治療コイル」が、経済産業省の委託事業「平成24年度課題解決型医療機器等開発事業」(※2)の採択候補に決定したことを発表します。

 委託契約を締結し、採択事業として確定した後、今年度から国の助成を受け、MRI(※3)(磁気共鳴画像装置)下で金属アーチファクト(※4)(虚像)を全く生じない、世界初の脳動脈瘤用非磁性コイルの開発を行い、2017年以内に市場投入を目指します。

 近年、脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術をはじめとした脳血管内治療(※5)は目覚しい進歩を続けています。しかし、普及が進むにつれて新たな問題点も指摘されており、特に従来の金属コイルは金属アーチファクトを生じるため、治療方針を左右する大きな問題となっています。

 こうした問題を解決するため、今回の委託事業では、現有製品よりも金属アーチファクトの発生を顕著に抑制でき、血管内治療後のMRIによる検査を可能にする非磁性の塞栓コイルを共同開発します。開発にあたり、田中貴金属工業は金属組成および加工プロセスの評価を、京都大学は磁性評価およびMRIによる画像評価を、マルホ発條工業はコイル加工の技術開発を行います。

 これまでの共同研究では、JSTイノベーションプラザ京都(京都府京都市)で2009年度から2011年度まで行った育成研究「低侵襲血管内治療用デバイスの研究開発」の成果として、高い生体親和性と機械的特性が期待できる白金−金ベースの非磁性金属の開発に成功しております。今後は委託開発の中で、より実用化に耐えうる製品にすべく、加工プロセスや組織形状評価、磁化率評価、MRI下でのアーチファクト評価、コイル加工を進めてまいります。


■金属アーチファクトによる影響
 脳卒中(※6)の一つである破裂脳動脈瘤には、動脈瘤の中にコイルを詰め込んでいく瘤内塞栓術と呼ばれる治療方法が広く行われるようになってきています。しかし、本塞栓術においては、治療後に残存動脈瘤の再増大などにより、再治療を要する症例や再出血を生じる症例が多いことも指摘されており、治療後も定期的に画像検査を行って塞栓状態の評価を継続していくことが必要です。

 これまで、画像検査には脳血管撮影が行われてきましたが、これはカテーテルを血管内に挿入して造影剤を注入する検査であり、検査自体が侵襲性(※7)を有するため危険を伴います。そこで、最近では、撮影技術の進歩が目覚しいMRIによる血管撮影検査が行われることが多くなっており、非侵襲的かつ従来に比べて簡便に画像検査を繰り返すことができます。

 しかし、MRIでは、脳動脈瘤塞栓用コイルにより金属アーチファクトが生じるため、正常な親血管(脳動脈瘤が発生している正常血管)が一部描出されない現象や(写真1ご参照)、コイルが入りきっていない残存動脈瘤があたかも塞栓されて血流が無いように描出される現象が起こることがあります。親血管が金属アーチファクトにより狭窄様に描出された場合、コイル塊が動脈瘤から逸脱しているのか、それとも塞栓された動脈瘤内での血栓形成が正常血管内までに波及しているのかを鑑別することは困難です。また、残存動脈瘤が描出されない場合は再治療の可能性を過小評価する可能性もあります。


※参考写真、研究の背景などリリース詳細は、添付の関連資料を参照

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