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王子製紙、基盤技術研究所が塗工工程にて微量な水分量をオンラインで測定する技術を開発
塗工工程における微量水分をオンラインで高精度に測定する技術を確立
王子製紙基盤技術研究所(兵庫県尼崎市常光寺)は、塗工工程において微量な水分量をオンラインで高精度に安定して測定する技術の開発に成功しました。
当初、水分計として赤外線方式を採用しましたが、長期的にやや不安定な面があること、周りの熱源の影響を受けることなど、微量な水分を高精度に測定するには問題がありました。そこで、基盤技術研究所では水の誘電物性に着目し、蓄積したマイクロ波技術を使って、独自に開発したマイクロ波共振器とネットワークアナライザを組み合わせることによって、塗工した製品に含まれる微量な水分を安定してかつ高精度で測定することに成功しました。
【特徴1】長期的に安定して、微量水分をオンラインで測定可能
水の誘電損失率は13(3GHz、室温)と非常に高く、PETフィルムの0.012と比べて1000以上大きいため、僅かな水分の変化でも試料の誘電損失率が大きく変わります。この誘電損失率をネットワークアナライザと独自のマイクロ波共振器を用いて共振カーブのピークレベルの変化として捉えることによって、微量な水分量を高精度に検知することが可能となりました。
【特徴2】周囲の熱源の影響を受けない
赤外線による方法は水分子の水素原子と酸素原子間の振動によって赤外線が吸収される共鳴吸収であるのに対して、マイクロ波による方法は水分子の双極子がマイクロ波電界の変化に追随できなくなって生じる緩和吸収によるもので、後者の場合は周囲の熱源の影響を受けないので、安定した測定ができます。
【特徴3】
本方法は共振カーブのピークレベルの変化から水分を測定しますが、ピーク周波数の変化から塗工量も測定可能です。
<微量水分測定装置の構成/塗工ラインに設置された検出部>
※添付の関連資料を参照
王子製紙では、本測定装置の外販を視野に入れながら、関連会社を含む社内での応用展開を予定しております。また、10月6日から始まる「紙パルプ年次大会」(10月6〜8日、富山県民会館)で発表を行う予定です。
以上