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帝国データバンク、6月の全国企業倒産集計を発表

2012-07-12

倒産集計

<2012年 6月報>
 倒産件数は896件、2ヵ月ぶりの前年同月比減少
 負債総額は1776億2000万円、今年最小を記録


 倒産件数  896件
 前年同月比 ▲12.6%
 前年同月  1025件
 前月比   ▲11.5%
 前月    1013件

 負債総額  1776億2000万円
 前年同月比 ▲7.9%
 前年同月  1928億2600万円
 前月比   ▲30.1%
 前月    2540億8900万円


〔件数・負債総額の推移〕

 ※グラフ資料は添付の関連資料を参照


■件数
 ・ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比減少
  倒産件数は896件(前月1013件、前年同月1025件)で、前月比は11.5%、前年同月比も12.6%の減少となった。2ヵ月ぶりに前年同月を下回り、2011年9月(847件)の10.2%減以来、9ヵ月ぶりの前年同月比2ケタ減となった。

 ・要因・背景
  1.東北(24件)が宮城、秋田、福島の3県で減少し、前年同月比41.5%の大幅減少
  2.建設業(203件、前年同月291件)が2010年1月以来、2年5ヵ月ぶりに全地域で前年同月を下回り、30.2%の大幅減少

■負債総額
 ・ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比減少、今年最小を記録
  負債総額は1776億2000万円(前月2540億8900万円、前年同月1928億2600万円)で、前月比は30.1%、前年同月比も7.9%の減少となり、2ヵ月ぶりに前年同月を下回った。2012年4月の1810億6200万円を下回り、今年最小を記録した。


 ・要因・背景
  1.負債トップは、投資コンサルティングのARUJI GROUP(株)(東京都)で247億円
  2.負債50億円以上の倒産は3件、6ヵ月連続で1ケタにとどまる

■業種別
 ・ポイント 建設、製造など5業種で前年同月比減少
  業種別に見ると、建設業(203件、前年同月比30.2%減)、製造業(119件、同11.9%減)など7業種中5業種で前年同月を下回った。一方、卸売業(156件、同5.4%増)、不動産業(34件、同13.3%増)の2業種は前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.建設業…東北(7件、前年同月比46.2%減)が復興需要効果などで13ヵ月連続の前年同月比減、全体では8ヵ月連続で前年同月を下回る
  2.製造業…工具、工作機械などの機械製造業(10件、前年同月比44.4%減)が9ヵ月連続の前年同月比減少

■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比85.8%、37ヵ月連続で80%台の高水準
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は769件(前月848件、前年同月865件)となった。構成比は85.8%(前月83.7%、前年同月84.4%)で、前月を2.1ポイント、前年同月も1.4ポイント上回り、37ヵ月連続で80%台の高水準となった。なかでも販売不振(746件)の構成比は83.3%で、2011年11月の82.5%を上回り、過去10年で最高となった。
  倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

 ・要因・背景
  1.輸出不振や取引先の海外シフトによる受注減少などで、円高関連倒産は11件判明
  2.返済猶予後の長期業績不振などが影響し、円滑化法利用後倒産は16件判明

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別
 ・ポイント 負債5000万円未満の構成比53.0%、2ヵ月連続50%超の高水準
  負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は475件、構成比は53.0%を占め、2ヵ月連続で50%を上回った。一方、負債100億円以上の大型倒産は1件にとどまった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満が493件、構成比は55.0%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、896件すべてが中小企業に該当し、小規模企業は793件(構成比88.5%)となった。

 ・要因・背景
  1.負債5000万円未満の倒産は、地域別では関東、業種別では小売業が構成比トップを占める
  2.金融円滑化法をはじめとする各種支援策効果などで、大型倒産の沈静化続く

■地域別
 ・ポイント 東北、関東など7地域で前年同月比減少
  地域別に見ると、9地域中7地域で前年同月を下回った。なかでも東北(24件)は、宮城(3件)、秋田(5件)、福島(2件)の3県で減少し、前年同月比41.5%の大幅減少となった。また、関東(320件)は2011年10月以来、8ヵ月ぶりに2ケタ減となった。一方、北海道(34件、前年同月比3.0%増)、近畿(257件、同4.5%増)の2地域は前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.東北は、建設のほか、飲食店や自動車小売、貨物自動車運送などで減少目立ち、不動産を除く6業種で前年同月下回る
  2.関東は、東京の建設(27件、前年同月48件)、埼玉の製造(9件、同16件)などで減少

景気動向指数(景気DI)
 ・景気DIは37.6、前月比0.6ポイント減と2ヵ月連続で悪化
  2012年6月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.6ポイント減の37.6となり、2ヵ月連続で悪化した。復興需要やエコカー補助金などの政策支援によって一部地域や業種では底上げが続いた。
  しかし、円高や原材料価格の上昇などで企業の収益性は厳しさが続き、生産や出荷活動も低下傾向となった。また、これまでエコカー補助金がけん引してきた「輸送用機械・器具製造」も悪化したことなどで、『製造』は3カ月連続で悪化し、震災前(2011年2月)の水準を下回った。

 ・財政出動の効果も息切れし始め、踊り場局面に
  さらに、個人消費の停滞によって『小売』が2011年11月以来7ヵ月ぶりに悪化した。『小売』9業種中で「自動車・同部品小売」はエコカー補助金の予算満了前の駆け込み需要の増加によって改善はしたが、その改善に力強さはみられなかった。また、生活必需品関連業種が悪化し、「繊維・繊維製品・服飾品小売」や「家電・情報機器小売」など季節商材関連の業種も悪化した。
  地域別にみても、復興需要に持続的な底上げの力はみられず、これまで改善傾向にあった『東北』は2ヵ月連続で悪化し、頭打ちが鮮明となった。国内景気は自律回復に至っておらず、財政出動の効果も息切れし始めており、踊り場局面を余儀なくされている。


【今後の見通し】
 ■倒産件数は3年連続で前年同期比減少、負債総額は3年ぶりの前年同期比増加
  2012年上半期の倒産は5760件で、前期を4.3%上回ったものの前年同期を1.5%下回り、3年連続で前年同期比減少となった。建設業と製造業で前年同期比2ケタの減少となったのが大きい。しかし、外食が376件(前年同期比6.5%増)となり過去10年間で最多を記録するなど、業種によって明暗が分かれた。一方、負債総額は1兆9982億9700万円で、前期比、前年同期比ともに増加となった。エルピーダメモリが負債4480億3300万円で製造業では過去最大の倒産となったほか、太平洋クラブ(ゴルフ場経営、負債1260億円)、NISグループ(事業者金融、同508億2300万円)など大型倒産が散発したことから負債総額が押し上げられた。

 ■件数は単月で減少するも、一時的要因か
  2012年6月の倒産件数は896件となり、2ヵ月ぶりに前年同月比減少となった。これは、建設業が前年同月比30.2%の減少(88件減)で8ヵ月連続の前年同月比減少となったことに起因する。なかでも東北では13ヵ月連続前年同月比減少を記録したほか、関東でも6月は前年同月比39.4%の大幅減少となった。しかし、これらは東日本大震災から復興需要効果が表れてきているといういわば特殊要因に基づく倒産減少である。仮に建設業が例年並みの倒産件数であれば、今月も前年同月比増加を記録していた可能性もある。「中小企業を取り巻く環境が改善している」と見るのではなく、「一時的に特殊要因が影響した」と見るべきだろう。

 ■消費税増税、増税分価格転嫁できるかが焦点
  消費税率が2014年4月に8%へ、2015年10月には10%まで引き上げられる見通しとなった。消費税(3%)が導入された89年はバブル景気の最中で、根強い個人消費に支えられ企業倒産は前年比28.5%減と、消費税導入の影響は表れなかった。一方、消費税率が5%に引き上げられた97年は、金融不安などから貸し渋りが問題化していたなか増税が消費不振に輪をかけ、倒産は前年比12.5%の大幅増加を記録した。現在は、各種倒産抑制策により倒産件数が抑えられている状況。それでも、増税分の価格転嫁交渉が難航すると予想される卸売業、小売業、サービス業の2012年上半期の倒産件数は前期、前年同期をともに上回っている。これらの業者が価格転嫁に失敗した場合、さらなる倒産増加の要因となる。もちろん、増税前までは高額商品を中心として駆け込み需要が見込め、企業の業績向上に寄与するだろうが、それは需要の先食い。駆け込み需要が一段落した後、一層厳しい経営状況に追い込まれる企業は多いであろう。

 ■先行き不透明な経済・政治情勢は2012年下半期も続く
  中小企業金融円滑化法の期限切れを控え、金融庁は5月17日、監督指針の一部改正を行った。これは、政府が4月20日に公表した「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」に基づくもの。その中で、従来年間300件台であった中小企業再生支援協議会による再生計画策定支援を「2012年度においては3000件程度を目指す」としている。もちろん、支援目標件数を増やしても返済条件の変更にとどまる再生計画では効果は薄く、抜本的な再生計画を策定できるかどうかが重要であり、すべてがうまくいくとは限らない。2012年下半期は、東日本大震災の影響や円高、各種公共料金の値上げといった上半期から続く倒産増加要因に加え、この夏の電力不足懸念、住宅エコポイントエコカー補助金終了後の需要急減のほか、政局不安により予算執行の遅れがみられるような行政機能の低下が新たな懸念材料となる。経済分野でも政治分野でも、先行きの不透明感が払拭されないなか、金融円滑化法の期限切れは刻々と近づいてくる。こうした状況下、上半期は1.5%とわずかに前年同期を下回った倒産件数だが、前述の通り不安要素は多く、下半期も倒産件数は一進一退を繰り返しながら増加していく可能性が高い。


 詳細は資料をご覧ください。

 ※資料は添付の関連資料「詳細資料」を参照

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