富士経済、２０１２年２月〜４月での国内清涼飲料市場の調査結果を発表

２０１１年の東日本大震災の影響と今後の展望
２０１２年版清涼飲料市場調査
−１１年実績と１２年市場（見込）−

●清涼飲料全体：前年比０．７％減、４兆８，５５０億円、１２年４兆９，０２６億円、３分野で前年割れ
●ミネラルウォーター類：同１７．６％増、３，０４２億円と大震災影響、同３，０１９億円　国産に伸び



　総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町　社長　阿部　界）は、１２年２月から４月にかけて国内の清涼飲料市場を調査した。
　その結果を報告書「２０１２年　清涼飲料マーケティング要覧」にまとめ１１年の飲料市場の結果分析および１２年春の速報データを収載した。
　この調査では、果実・野菜飲料（１００％果汁、野菜系など）、炭酸飲料（コーラフレーバー、透明炭酸など）、乳性飲料（飲用牛乳、ドリンクヨーグルトなど）、嗜好飲料（缶コーヒー、無糖茶系など）、ミネラルウォーター類、機能性飲料（健康サポート、スポーツドリンクなど）、その他飲料（豆乳類、ゼリーなど）の７分野１８カテゴリーについて、市場の現状を分析し今後を予測した。


＜調査結果の概要＞

　＊表形式の「調査結果の概要」は添付の関連資料を参照

　１１年の全体市場は、前年比０．７％減の４兆８，５５０億円となり、１０年の前年比プラスから再びマイナス成長となった。東日本大震災、福島原発の放射能漏れによる被害の影響が今後どれだけ続くか、一年を経た今でも先行きは見えない。飲料業界は生産・物流拠点の被災とともに、資材・包材不足による生産制限など、安定供給が可能な企業とそうでない企業との差が顕著となった。
　果実・野菜飲料は、多くの参入企業が果汁原料の価格高騰から１００％果汁飲料の優先順位を低く位置づけ、震災後の売上回復が遅れる企業が相次いだ。
　そのなかで野菜飲料は福島原発事故による放射能汚染問題から生鮮野菜の代替として需要が高まるという追い風により１１年は前年比１１３．４％、５１６億円と大幅増となった。
　ミネラルウォーター類は、１１年には前年比１１７．６％、３，０４２億円と放射能汚染問題から生活水需要が急激に高まり、国産ミネラルウォーター類における上位企業を中心に大幅に売上を伸ばした。しかし輸入ミネラルウォーター類は追加発注のタイムラグが影響したうえパーソナルサイズで国産ミネラルウォーター類と競合が激化し、日本人になじまない硬水という特性と高価格設定から国産に競り負け、１２年の需要は前年比９０．５％に低下し５８４億円と見込まれる。
　炭酸飲料は東日本大震災後に原料・包材不足に見舞われ、また近年盛り上がりを見せていたゼロタイプ商品のアイテム集約もあって１１年は前年比９６．８％、４，７３９億円と苦戦した。１２年はサントリー食品インターナショナル「オランジーナ」、キリンビバリッジ「キリンメッツコーラ」など大型新ブランドが投入されたほか、新たな健康系炭酸飲料としてトクホ商品の投入が見られ始めている。
　乳性飲料は、チルドが大半であることから震災直後は牛乳やドリンクヨーグルトに大幅な縮小が予想されたが、結果的に１兆１，０２５億円と前年比９９．１％に留まり比較的健闘した。ボリュームが最も大きい飲用牛乳は、１１年５，７５６億円で前年比９７．５％とマイナスとなったがおおむね例年並みの減少幅であり各社の生産体制や生乳需給に深刻な問題は起こらなかった。ドリンクヨーグルトは前半こそ震災による影響で低迷したが後半高まる需要を背景に大きく盛り返した。また乳飲料は白物乳飲料が牛乳から需要シフトして前年超えとなり、乳性飲料市場のマイナス幅を緩和した。
　嗜好飲料は、１１年は最大規模の缶コーヒー市場が７，３６４億円、１０１．０％と微増し、各社の缶コーヒーへの注力度の高さが伺えた。収益性を重要視する観点から今後も缶コーヒーに対する注力度は非常に高く、成熟市場ながら１２年も各社とも最注力品目として臨む構えである。
　機能性飲料は、震災後一時的に機能性清涼飲料やスポーツドリンクの需要が拡大したものの、前年の猛暑の反動により減少した。１２年はオリンピックを迎えスポーツドリンクの拡大が見込まれるほか、話題性の高い新ブランドが続々投入されており、これらが含まれる食系ドリンクが前年比１０５．４％、１，４０７億円、健康サポート飲料も同１０２．９％、７８７億円など市場は活性化すると見込まれる。



＊以下、「注目市場」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照



【報告書　目次】

　＊添付の関連資料を参照