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富士通研究所、既存の携帯電話などカメラ付き端末で3D映像撮影を可能にする技術を開発
既存の携帯電話やスマートフォンで簡単に3D映像撮影を可能にする技術を開発
小型アタッチメントとクラウドでの映像処理により、見やすい3D映像を実現
株式会社富士通研究所(以下、富士通研究所)(注1)は、既存の携帯電話やスマートフォンなどのカメラ付き端末で3D映像を撮影できる技術を開発しました。
近年、映画やテレビで3D映像を見る機会が増えてきています。写真や動画の共有サイトでも3Dに対応したサイトが出てきており、自分で撮って楽しむことのできる3D撮影機器が求められています。しかしこれまでは、3D映像の撮影には専用の機器が必要で、誰もが簡単に撮影できるものではありませんでした。
今回、小型で安価なアタッチメントを既存の携帯電話やスマートフォンのカメラの前に取り付け、撮影した映像をクラウドで3D映像へ変換処理することで3D映像の撮影を可能にする技術を開発しました。
本技術により、ユーザーは簡単に3D撮影ができるようになるため、ブログやWebページ、写真や動画の共有サイトでの3Dコンテンツの普及が期待されます。
本技術の詳細は、2012年6月4日(月曜日)から米国・ハリスバーグで開催される国際会議「IEEE ISCE (International Symposium on Consumer Electronics)」にて発表予定です。
<開発の背景>
近年、映画やテレビで3D映像を見る機会が増えてきています。またインターネット上の写真や動画の共有サイト上でも3D映像に対応したサイトが増えてくるなど、3D映像を見る側の環境が整う一方で、3Dコンテンツの不足が指摘されてきました。このことから、ユーザー自身で3D映像を撮って楽しむ撮影機器が求められています。
<課題>
一般ユーザーが3D撮影を行う場合、2つのレンズと撮像素子がある専用機器を購入する必要があり、誰もが簡単に3D撮影できるものでありませんでした。また、撮影した2つの映像から歪みを除去し、見やすい3D映像に変換するためには高負荷の映像処理が必要となり、既存の携帯電話やスマートフォンなどでは処理能力の点で、困難であるという課題がありました。
<開発した技術>
今回、小型で安価なアタッチメントを既存の携帯電話やスマートフォンのカメラの前に取り付け、撮影した映像をクラウドで3D映像へ変換処理することで3D映像の撮影を可能にする技術を開発しました。
開発した技術の特徴は、以下の二つです。
1.小型で安価なアタッチメントの適用を可能にした独自の映像処理技術
左目用と右目用の映像を一つの撮像素子へ取り込むアタッチメントを携帯電話やスマートフォンに装着可能なサイズにするため、独自の映像処理技術と組み合せて小型化を図りました(図1(a))。開発したアタッチメントでは、(図1(b))の左目用と右目用の映像に示す歪みが発生しますが、この歪みをカメラ内の撮像素子に取り込んだ後で補正処理を行うことにより、アタッチメントを57ミリメートル(mm)×14mm×14mmのサイズに小型化しました。また平面ミラー4枚で構成することで、市販品と比べてコストを約1/10に削減しました。
2.高負荷の映像処理をクラウドで処理
アタッチメントのミラーで生じる歪みを補正する処理(図2)、および見やすい3D映像に変換する処理といった負荷の高い処理をクラウドで行うことで、携帯電話やスマートフォンに専用のソフトウェアやプロセッサの導入が不要となりました(図3)。
※「図1、図2、図3」は添付の関連資料を参照
<効果>
本技術により、ユーザーは専用機器を買わなくても既存の携帯電話やスマートフォンで3D撮影が可能になります。これにより、一般ユーザーの作成した3Dコンテンツが増え、3D映像に対応した写真や動画の共有サイトでのコンテンツ不足の解消が期待されます。またユーザーのブログやWebページ上で3D映像を使うことで、2D映像にない迫力や臨場感のある表現が容易になり、読者を惹き付ける情報発信ができるようになります。このようにして、3Dを利用した魅力的なコンテンツが増えていくことが期待されます。
<今後>
今後は撮って楽しむ用途以外に、距離の測定や、寸法や形状の測量など、3D映像の利活用を想定した技術開発を検討していきます。
なお本技術による3D映像変換を「ニフティクラウド」(注2)の仮想サーバ上に設置し、「デイリーポータルZ」(注3)と共同で実証実験を行う予定です。実施詳細につきましては、「デイリーポータルZ」編集部が企画・運営を行う3Dコンテンツのポータルサイト「3DポータルZ」のアタッチメント利用者募集ページ(http://portal.nifty.com/3d/fjlabs/)を参照ください。
<商標について>
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
■注釈
注1:株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市
注2:「ニフティクラウド(http://cloud.nifty.com/)」:
仮想化されたコンピューティングリソースを必要なときに必要な分だけ、オンデマンドで利用できるパブリック型クラウドコンピューティングサービス(2011年10月末現在の利用社数:1,000社以上)。
注3:「デイリーポータルZ(http://portal.nifty.com/)」:
2002年10月からニフティ株式会社が運営するコラム・特集サイト。日々の生活の中にある面白いこと、面白い場所、こんなことしたら面白いに違いないと思ったアイデアを通常1日4本の記事で毎日紹介。月間来訪者は約127万人(2011年9月末日現在)。