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帝国データバンク、1月の全国企業倒産集計を発表

2012-02-13

倒産集計

【2012年 1月報】
 倒産件数は951件、2ヵ月連続の前年同月比減少
 負債総額は3983億7900万円、2ヵ月連続の前年同月比増加

 倒産件数   951件
 前年同月比 ▲2.6%
 前年同月   976件
 前月比    +9.9%
 前月     865件

 負債総額   3983億7900万円
 前年同月比 +59.6%
 前年同月   2496億8400万円
 前月比    +23.7%
 前月     3220億2000万円


 〔件数・負債総額の推移〕

  ※グラフ資料は添付の関連資料を参照


■件数
 ・ポイント 2ヵ月連続の前年同月比減少
  倒産件数は951件(前月865件、前年同月976件)で、前月比は9.9%の増加となったものの、前年同月比は2.6%の減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。

 ・要因・背景
  1.復興需要の効果もあり、建設業が3ヵ月連続で減少。東北(5件、前年同月比58.3%減)、関東(70件、同12.5%減)などで減少目立つ
  2.東北が前年同月比45.1%の大幅減少、8ヵ月連続で前年同月下回る

■負債総額
 ・ポイント 2ヵ月連続の前年同月比増加
  負債総額は3983億7900万円(前月3220億2000万円、前年同月2496億8400万円)で、前月比は23.7%、前年同月比も59.6%の増加となり、2ヵ月連続で前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.負債トップは、ゴルフ場経営の(株)太平洋クラブ(東京都)で1260億円。関連会社6社とあわせ、負債総額全体の47.5%を占める
  2.負債1000億円以上の倒産が2011年8月の(株)安愚楽牧場(栃木県)以来、5ヵ月ぶりに発生するも、負債100億円以上の倒産は3件にとどまる

■業種別
 ・ポイント 建設、製造など5業種で前年同月比減少
  業種別に見ると、建設業(207件、前年同月比6.3%減)、製造業(135件、同13.5%減)など5業種で前年同月を下回った。一方、卸売業(153件、同7.0%増)、サービス業(194件、同8.4%増)の2業種は前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.建設業…内装、大工工事などで増加も、一般土木、舗装工事などで前年同月下回る
  2.製造業…鉄鋼業、非鉄金属・金属製品(10件、前年同月比54.5%減)、一般機械(16件、同15.8%減)などで大幅減少
  3.サービス業…ゴルフ場経営(10件)、ホテル・旅館(14件)などで増加

■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比83.1%、32ヵ月連続で80%台の高水準
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は790件(前月707件、前年同月808件)となった。構成比は83.1%(前月81.7%、前年同月82.8%)で、前月は1.4ポイント、前年同月も0.3ポイント上回り、32ヵ月連続で80%台の高水準となった。

 ・要因・背景
  1.輸出不振や取引先の海外シフトによる受注減少などで「円高関連倒産」は11件判明
  2.「金融円滑化法利用後倒産」は32件、5ヵ月連続で月間最多を更新

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別
 ・ポイント 負債5000万円未満の構成比50.7%、8ヵ月連続で50%台の高水準
  負債額別に見ると、負債1000億円以上の超大型倒産が2011年8月以来、5ヵ月ぶりに発生した。一方、負債5000万円未満の倒産は482件、構成比は50.7%を占め、8ヵ月連続で50%を超えた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満が511件、構成比は53.7%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、949件(構成比99.8%)が中小企業に該当し、小規模企業は827件(同87.0%)となった。

 ・要因・背景
  1.負債5000万円未満の倒産では、九州(29件、前年同月比93.3%増)が大幅増加
  2.負債100億円以上の倒産は3件、2009年5月以降33ヵ月連続で1ケタにとどまる

■地域別
 ・ポイント 東北が前年同月比45.1%の大幅減、8ヵ月連続の減少
  地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を下回った。なかでも東北(28件、前年同月51件)は、青森(2件、同6件)や宮城(7件、同10件)など4県で前年同月を下回り、前年同月比45.1%の大幅減少となった。一方、中部(130件、前年同月比4.0%増)、九州(65件、同10.2%増)など、西日本を中心とする5地域では前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.東北は、各種金融支援策や復興需要の効果により、2011年6月から8ヵ月連続で前年同月下回る
  2.中部は、建設(28件)、卸売(24件)、サービス(23件)の3業種で増加

■上場企業倒産
 1月は、4ヵ月連続で上場企業の倒産が発生しなかった。
 2011年度の累計は3件にとどまり、前年同期の9件を大きく下回っており、上場企業の倒産は沈静化が続いている。

■大型倒産
 1月の負債額トップは、ゴルフ場経営の(株)太平洋クラブ(東京都、民事再生法、負債1260億円)で、関連会社を含めて上位30社のうち6社を数えた。負債1000億円以上の倒産は、2011年8月の(株)安愚楽牧場(栃木県)以来、5ヵ月ぶりに発生した。
 しかし、負債100億円以上の大型倒産は3件にとどまり、大型倒産の沈静化が続いている。

景気動向指数(景気DI)
 ・景気DIは35.9、前月比0.2ポイント増と2ヵ月連続で改善
  2012年1月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.2ポイント増の35.9となり、2ヵ月連続で改善した。
  被災地域において復興需要が「建設」をはじめ「製造」、「卸売」、「小売」など幅広い業界の改善をけん引したことで、「東北」は5ヵ月連続で全国10地域中、第1位となった。特に「宮城」は全国47都道府県で唯一、50を上回って、6ヵ月連続の第1位となった。
  また、消費面では全国的に生活必需品が底堅く推移した。さらに、「繊維・繊維製品・服飾品小売」は厳冬により初売りなどが好調で、「自動車・同部品小売」もタイの洪水被害による悪影響が緩和されてきたことで、いずれも3ヵ月ぶりに改善し、これらの結果、「小売」は2ヵ月連続で改善した。

 ・内外需ともに弱含みの状況、踊り場局面続く
  しかし、地域別でみると「近畿」や「中国」などの西日本では復興需要の恩恵が少なく、内需の停滞が続いたことなどで回復が遅れ、地域間での格差が鮮明となった。
  また、外需の弱含みや円高の長期化が企業の生産活動を下押ししたほか、内需にも景気全体を底上げするほどの回復力はみられなかったことから、「製造」は3ヵ月連続で悪化した。
  復興需要による底上げは限定的で、内外需とも弱含みの状況にあり、国内景気は踊り場局面が続いている。



<今後の見通し>
 ■件数は2ヵ月連続の減少、負債は太平洋クラブの倒産で2ヵ月連続の増加
  2012年1月の倒産は951件と、前年同月の976件を2.6%下回り、2ヵ月連続の前年同月比減少となった。中小企業金融円滑化法や「震災復興緊急保証」などの金融支援策によって、多くの企業が資金繰り破たんを依然として回避しており、企業倒産は小康状態が続いた。
  一方、負債総額は3983億7900万円となり、前月、前年同月を上回った。これは、大手ゴルフ場の太平洋クラブ(東京)が負債1260億円を抱えて民事再生法を申請した影響が大きく、負債1000億円以上の超大型倒産は、安愚楽牧場(8月)以来、5ヵ月ぶりの発生となった。
  地域別では、東北が前年同月比45.1%の大幅減少で、8ヵ月連続で前年同月を下回った。各種特例措置と復興需要の効果もあり、倒産減少が続いた。業種別では、円滑化法の利用が多いと見られる建設業が3ヵ月連続、同じく製造業も12ヵ月連続で前年同月を下回った。

 ■震災後の地域格差拡大、「円高倒産」は5ヵ月連続で2ケタ発生
  1月17日発表の月例経済報告によれば、国内景気の現状は「震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」として、政府は景気判断を12月から据え置いた。各種政策効果や復興需要などを背景に、景気の持ち直し傾向の持続が期待される。とくに、被災地では建設、不動産、小売など幅広い業種で、復興需要による景気回復が進んだ。
  しかし、復興需要は限定的で内需全体を押し上げるまでには至っていない。1月に入り、「東日本大震災関連倒産」が再び増加したが、依然として被災地以外の間接被害型の倒産が大部分を占める。地域的には関東が目立つものの、復興需要の恩恵が少ない中部、近畿、九州などで増加に転じるなど、東日本との地域格差が拡大しつつある。
  円相場も依然、1ドル=76円台の高値水準が続いている。昨年夏から歴史的な円高局面が続くなか、1月の「円高関連倒産」は11件判明。2011年9月から5ヵ月連続で2ケタの発生となり、円高に起因する「受注減少」「輸出不振」による倒産が目立った。

 ■「金融円滑化法利用後倒産」、5ヵ月連続で月間最多を更新
  震災直後から実施された「手形・小切手の不渡報告への記載猶予措置」が、3月末に終了する見通しが明らかとなった。この措置が適用された手形は12月末時点で2474枚(23億9051万円)にのぼる。震災後3ヵ月間は、同制度で多くの企業が資金繰り破たんの表面化を免れたものの、12月はわずか4枚(881万円)にとどまるなど、実質的な効果はほぼなくなっていた。
  他方、12月末に1年延長方針が発表された「中小企業金融円滑化法」は、依然として倒産抑制に効果を発揮し続けている。しかし、倒産件数の減少は必ずしも、個別企業の経営改善の進展を意味しない。復興需要にわく東北を除けば、むしろ外部環境の悪化で業績回復が遅れている企業が多い。1月の「金融円滑化法利用後倒産」は32件判明し、5ヵ月連続で月間最多を更新するなど、返済猶予期間中に業績回復できず、行き詰まる企業が後を絶たない。推定30万社前後とみられる円滑化法利用企業のうち、経営改善計画の遅れから事業継続を断念するケースが今後増加するおそれがあるうえ、各金融機関も来年3月の法期限に向けて企業選別の動きを徐々に強めていくことが予想されることから、潜在的な倒産増加リスクは依然高いままだ。
  業種別にみても、被災地以外の倒産増が懸念される建設業、円高の影響本格化が予想される製造業、消費税増税等の将来不安から高水準が続く小売、サービス業など、懸念材料が山積している。全体の倒産件数が減少するなか、負債5000万円未満の倒産は高止まりが続くなど、零細企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、企業倒産は現在の横ばい推移から、年後半にかけて緩やかに増加するとみられる。



詳細は資料をご覧ください。

※資料は添付の関連資料「詳細資料」を参照

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