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飛島建設、構造物の維持管理や防災監視に活用できるFBG光ファイバセンサを用いた2次元変位計を開発
FBG光ファイバセンサを用いた高精度な2次元変位計を開発
−軌道や橋梁、トンネルの軸直角方向の変位分布を誤差1mm未満で計測−
飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)は、FBG光ファイバセンサを用いて、構造物の軸直角方向の変位分布を高精度に計測する2次元変位計を開発しました。この変位計により、軌道の沈下・移動やトンネルのはらみ出し・沈下、橋梁のたわみを、上下・水平方向の2次元で1.0mm未満の誤差で監視・モニタリングすることができ、既存の折れ角を利用した計測器と比較して、振動に強くメンテナンスが容易になります。また、対象点の座標を直接計測するトータルステーションやGPSなどの方法では計測が困難な、地中の構造物や障害物の近接箇所でも適用が可能です。ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で被覆したFBG光ファイバセンサの高耐久性とリアルタイム性を活かし、これまでに開発した構造物健全性モニタリングシステムや斜面防災監視システムなどとともに、構造物の維持管理のための長期モニタリングや防災監視に活用していく予定です。
<開発した2次元変位計の特長>
1.高精度で変位分布計測が可能(図1)
時間分割多重化方式(TDM)*1)のFBGを2m以下の高密度間隔で配置した3本のFBGセンサを、ガイド管内部に正確に平行配置します。これによって、軸方向10mの長さのどの位置でも、軸直角方向の変位を1.0mm未満の誤差で計測できることを精度検証試験で確認しました。
2.最大50mの高精度変位分布計測が可能(図1)
3.配線数は大幅に減少しメンテナンスが容易
2次元変位計では、TDM方式を用いて同一ファイバに多数のFBGを配置できるため、1つの2次元変位計で最大50mの長距離で高精度の変位分布計測が可能で、かつ配線数は大幅に減少しメンテナンスが容易になります。
4.高耐久性により長期間の計測が可能
2次元変位計に使用するFBGセンサ(図2)は、通常の外径0.15〜0.25mmのガラス製センサをFRPで被覆しているため、衝撃に強く、また外部からの水分などの侵入によるセンサの劣化もほとんど発生しません。
5.振動に強い構造
2次元変位計は、既存の折れ角を利用した計測器の各節点にある、ヒンジやバネなどの機械的な回転・固定機構を持たないため、振動に強く、損傷の可能性はほとんどありません。
※図1、2は添付の関連資料を参照
<高精度変位分布計測の実現と精度検証試験の確認>
(1)高精度変位分布計測実現のための実施事項
高密度にFBGセンサを配置できるFRPで被覆したTDM方式のFBGセンサを使用しています、スペーサーを用いて3本のFBGセンサをガイド管内部に正確に平行配置しました。また、ガイド管変形時にFBGセンサが移動しないように無収縮モルタルで空隙を充填し固定しました。
(2)精度検証試験の概要と結果
図3のように、長さ10mの2次元変位計の両端を固定し、中央部に所定の変位が生じるよう3台のジャッキで側面から変位を与え、計測結果を接触式変位計による実測値と比較しました。2次元変位計全体の精度を確認するため、接触式変位計は2次元変位計に沿って1m間隔で配置しました。両端をピンでとめ回転端とした場合(ケース1)と、金具で挟みこみ固定端とした場合(ケース2)の2通りの変形を与えた結果、FBG間隔(ひずみ間隔)を2m以下とした場合、図4および図5のように、誤差の最大値はともに1.0mm未満となり、高精度で変位分布が得られることを確認しました。
※図3〜5、リリース詳細は添付の関連資料を参照