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ミクログリア
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東北大、脳内炎症の抑制が恐怖記憶に伴う行動異常を改善することを発見
脳内炎症の抑制が恐怖記憶に伴う行動異常を改善する 〜心的外傷後ストレス障害の治療法開発の可能性〜 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)の富田博秋教授(メンタルヘルスケア推進室長、本務:災害科学国際研究所)と災害科学国際研究所の兪志前助教らのグループは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のモデルマウスで認められる恐怖体験の記憶が持続することに伴う行動異常に伴って、脳内ミクログリア細胞(*1)において炎症に関わるサイトカインというタンパク質の1つであるTNFα(*2)の産生が増加し、行動異常の改善とともに産生が減少することを発見しました。さらに、ミノサイクリン(*3)の投与によ...
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九大、脊髄ミクログリアに発現するモルヒネ誘発性痛覚過敏の原因分子を同定
脊髄ミクログリアに発現するモルヒネ誘発性痛覚過敏の原因分子を同定 〜モルヒネの副作用軽減へ期待〜 <概要> 九州大学大学院歯学研究院の林 良憲助教、中西 博教授らの研究グループは、脊髄ミクログリア(※1)に特異発現するチャネル分子がモルヒネなどオピオイド鎮痛薬(※2)の長期間使用による痛覚過敏の原因分子であることを同定しました。 モルヒネなどオピオイド鎮痛薬を長期間投与すると痛みの増強(痛覚過敏)が生じ、臨床的に大きな問題となっています。研究グループはマウスを用いた実験で、モルヒネの連日投与がμオピオイド受容体(※3)を介し、脊髄ミクログリアに特異発現するBKチャネル(※4)α...
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九大、8−オキソグアニン(DNAの酸化体)の蓄積が神経突起の変性を引き起こすことを発見
8−オキソグアニン(DNAの酸化体)の蓄積が神経突起の変性を引き起こすことを発見 −アルツハイマー病などの神経変性メカニズムの一端が明らかに− <概要> 老化とともに発症頻度が急激に上昇するアルツハイマー病をはじめとする認知症における神経変性の原因の1つとして、酸化ストレスが注目されています。しかし、なぜ酸化ストレスが神経変性を引き起こすのか、その分子メカニズムは明らかにされていません。 九州大学生体防御医学研究所の中別府雄作主幹教授らの研究グループは、DNA塩基の主要な酸化体である8−オキソグアニン(8−oxoG)に注目し、そのDNAへの蓄積が神経細胞に及ぼす影響を詳細に解析しました。ヌク...
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東大、発達途上にある脳が放射線で損傷を受けたときのミクログリア細胞の働きを解明
メダカで明らかにされた免疫細胞ミクログリアによる脳組織防衛システム 1.発表者 保田隆子(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 特任研究員) 尾田正二(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 准教授) 朽名夏麿(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 特任准教授) 相良洋(東京大学医科学研究所附属疾患プロテオミクスラボラトリー微細構造形態解析グループ 助教) 三谷啓志(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 教授) 2.発表のポイント ■どのような成果を出したのか 発達途上にある脳が放射線により損傷を受けたとき、ミクロ...
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名大など、慢性疲労症候群モデル動物での異常な痛みを抑えることに成功
慢性疲労症候群モデル動物での異常な痛みを抑えることに成功 −脊髄内のミクログリア活性化が原因の可能性− 【ポイント】 ○慢性疲労症候群のモデル動物に筋肉の痛みや知覚異常(アロディニア)が生じることが明らかになりました。一方、この動物の末梢組織には炎症や損傷は見られません。この現象は慢性疲労症候群の患者さんで見られる原因不明の痛みとよく似ています。 ○このモデル動物では、脊髄の後角に活性化したミクログリアが増殖し集まっていることが明らかになりました。 ○ミクログリアの活性化を薬剤で抑制すると異常な痛みは抑制されました。 ○慢性疲労症候群をはじめ機能性身体症候群などで見られる原...
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神経障害性疼痛の仕組みを解明 〜ミクログリアを「痛みモード」にかえる実行役を特定〜 <概要> 九州大学大学院薬学研究院薬理学分野の井上和秀主幹教授と津田誠准教授を中心とする研究グループは、神経のダメージで発症する慢性的な痛み(神経障害性疼痛)の原因タンパク質として「IRF5(*1)」を突き止めました。IRF5は、神経の損傷後に脳・脊髄の免疫細胞と呼ばれる「ミクログリア(*2)」の中だけで増え、IRF5を作り出せない遺伝子操作マウスでは痛みが弱くなっていました。さらに、研究グループは、2003年にP2X4受容体(*3)というタンパク質のミクログリアでの増加が神経障害性疼痛に重要であることを英...
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JSTと大阪大学、脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見
脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見 −ALSなど運動機能障害性の脳神経疾患への新たな治療法に光− 【ポイント】 >脳と脊髄からなる中枢神経系の神経細胞を維持する仕組みは分かっていなかった。 >脳のミクログリアが運動の神経細胞の保護に関わっていることを発見。 >運動機能に重篤な障害を引き起こすALSなどの脳神経疾患の新たな治療法の開発に期待。 JST課題達成型基礎研究の一環として、大阪大学 大学院医学系研究科の山下 俊英 教授、上野 将紀 元助教(現 シンシナティ小児病院 研究員)、藤田 幸 特任助教らは、脳を修復する免疫細胞とみられていたミクログリア(注1)が、運動機能...
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東大、認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明
東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果 プログラニュリンは脳内炎症反応を軽減する −認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明− <発表者> 田中良法(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 博士課程、日本学術振興会 特別研究員) 松脇貴志(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 助教) 山内啓太郎(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 准教授) 西原眞杉(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 教授) <発表のポイント> ・脳傷害部位に集積する活性化ミクログリア(注1)は、プログラニュリンを発現する。 ・プログラニュリン欠損マウスでは...
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神経難病・筋萎縮性側索硬化症の原因に蛋白質分解異常が関与する可能性 −遺伝子改変マウスでの知見から− 神経難病の一つである筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因は未だに多くの謎に包まれ、治療法が確立されていないのが現状です。今回、高橋良輔 医学研究科教授、田代善崇 同教務補佐員、漆谷真 滋賀医科大学分子神経科学研究センター准教授らの研究グループは、蛋白質分解異常に着目した遺伝子改変マウスの作製により、ALSの疾患再現に成功しました。この新たなALSモデルマウスの病巣で蓄積する異常蛋白質の解析や同定により、さらなるALSの機序解明や治療法の開発が期待できます。 この研究成果は、米国科学誌「ジャ...