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細胞小器官
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細胞死を司るカルシウム動態の制御機構を解明 〜アービットが小胞体−ミトコンドリア間のCa2+の移動を制御〜 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター 発生神経生物研究チームの御子柴 克彦 チームリーダー、ベンジャミン・ボノー 基礎科学特別研究員らの共同研究チーム(※1)は、細胞内カルシウムチャネル(注1)の制御因子「アービット(IRBIT)(注2)」が、小胞体(注3)からミトコンドリア(注4)へのカルシウムイオン(Ca2+)の流入量をコントロールすることで、「アポトーシス」を制御することを発見しました。 アポトーシスはプログラムされた細胞死と呼ばれ、多細胞生物に見られる細胞の死に方の一...
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ゴルジ体槽成熟の分子機構を解明 −COPI被覆タンパク質の機能が必須− ■要旨 理化学研究所(理研)光量子工学研究領域生細胞超解像イメージング研究チームの石井みどり研修生(東京大学大学院生)、須田恭之客員研究員、黒川量雄専任研究員、中野明彦チームリーダーらの研究チームは、生細胞4Dライブセルイメージング[1]によって、出芽酵母[2]のCOPI被覆タンパク質[3]の機能欠損株では、ゴルジ体[4]の槽成熟が完全に抑制されていることを明らかにしました。 ヒトや酵母を含む真核生物の細胞内には、細胞小器官[5]と呼ばれるさまざまな膜構造があります。その一つであるゴルジ体は、新たに作られる多種多様...
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止血役にはストレスが必要 −巨核球細胞での小胞体ストレスが血小板を生む− <要旨> 理化学研究所(理研)小林脂質生物学研究室の森島信裕専任研究員(研究当時)と中西慶子協力研究員(研究当時)の研究チームは、血小板[1]の形成には、巨核球[2]細胞内の小胞体[3]が「小胞体ストレス[4]」状態となることが必要であることを発見しました。小胞体ストレスとは、立体構造がうまく形成されなかったり、構造が壊れたりしたタンパク質が小胞体内に蓄積した状態のことです。 血小板は、傷口の止血にとって欠かせない血液成分です。血小板は骨髄中に存在する前駆細胞の巨核球細胞がばらばらになり、核を含まない...
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細胞の核と小胞体を分解する新しい仕組みを発見 −オートファジーの目印を特定、感覚神経障害との関連も示唆− 【要点】 ○細胞の核と小胞体がオートファジーで分解されることを発見 ○それぞれの分解の目印となるタンパク質を特定し、メカニズムを解明 ○小胞体分解の目印タンパク質は感覚神経障害の原因遺伝子と関連 【概要】 東京工業大学大学院生命理工学研究科の中戸川仁准教授と持田啓佑大学院生らの研究グループは、モデル生物「出芽酵母[用語1]」を用いて、細胞内の大規模分解システム「オートファジー(自食作用)」が核や小胞体をも分解の対象とすることを発見した。さらに核と小胞体に結合して「目印」...
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理研、カルシウム枯渇の指標となる多層化した小胞体膜構造を発見
筋肉を動かすカルシウムは筋肉を作る指令役も担う −カルシウム枯渇の指標となる多層化した小胞体膜構造を発見− <要旨> 理化学研究所(理研)中野生体膜研究室の中西慶子 元協力研究員(現 理研小林脂質生物学研究室協力研究員)、森島信裕 元専任研究員(現 理研小林脂質生物学研究室専任研究員)らの研究チームは、マウスの筋芽細胞内の小胞体[1]と呼ばれる細胞小器官[2]を観察し、小胞体内カルシウム濃度の低下が骨格筋形成前に起こり、筋分化のシグナルとして働くことを見いだしました。 哺乳類の骨格筋[3]は筋繊維細胞の束で構成されています。筋繊維細胞は、数多くの筋芽細胞が繰り返し細胞融合を...
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細胞のナノ分子定規 〜細胞内で長さを測るタンパク質の発見〜 1.発表者: 小田賢幸(東京大学大学院医学系研究科 細胞生物学・解剖学講座 生体構造学分野 助教) 柳澤春明(東京大学大学院医学系研究科 細胞生物学・解剖学講座 生体構造学分野 助教) 神谷律(東京大学大学院理学系研究科 名誉教授 現在 学習院大学) 吉川雅英(東京大学大学院医学系研究科 細胞生物学・解剖学講座 生体構造学分野 教授) 2.発表のポイント: ・からだの中で長さをナノメートルの精度で正確に測り、細胞の微細構造を決定する「ナノ分子定規」タンパク質を発見しました。 ・細胞が長さを測る仕組みが解明された、...
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理研、神経細胞で働くmRNAを網羅的に同定する新しい手法を確立
神経細胞で働くmRNAを網羅的に同定する新しい手法を確立 −小脳の「プルキンエ細胞」の部位特異的な転写物全体の解析を実現− <ポイント> ・プルキンエ細胞で働く数千種類のmRNAを網羅的に同定 ・プルキンエ細胞の各部位特異的に発現するmRNAを分類 ・運動の学習などを担うプルキンエ細胞の働きの理解に大きく貢献 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、ラット小脳[1]のプルキンエ細胞[2]で翻訳中のmRNA[3]を、網羅的かつ細胞内部位特異的に同定する手法を確立しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)Launey研究ユニットのパスカル・ベガン研究員、トーマス・ローニー ...
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東大と奈良先端大など、タンパク質を細胞膜に組み込むメカニズムを解明
タンパク質を細胞膜に組み込むメカニズムを解明 −バクテリアから人まで共通した基本的な生命現象の理解− 1.発表者: 熊崎 薫(東京大学大学院理学系研究科 生物化学専攻 博士課程2年) 千葉 志信(京都産業大学総合生命科学部 准教授) 石谷 隆一郎(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 准教授) 塚崎 智也(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 准教授・JSTさきがけ研究者) 濡木 理(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授) 2.発表のポイント: ●タンパク質を細胞膜に組み込む「膜組み込みタンパク質YidC」の立体構造を世界で初めて決定しました。 ●バクテ...
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カネカ、還元型コエンザイムQ10による老化遅延などの作用メカニズムを確認
還元型コエンザイムQ10による老化遅延および 加齢性難聴進行抑制効果の作用メカニズムについて 〜サーチュイン遺伝子の発現を介したミトコンドリア機能の活性化によることを確認〜 株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:菅原公一)は、信州大学大学院医学系研究科疾患予防医科学系加齢生物学講座の樋口京一教授と共同で、還元型コエンザイムQ10(以下、還元型CoQ10)摂取によりみられる老化遅延及び加齢性難聴の進行抑制効果の作用メカニズムが、サーチュイン遺伝子(一般に長寿遺伝子と言われる)の発現を介したミトコンドリア(*)量増加およびその機能の活性化であることを確認しました。この研究成果は、レドック...
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理化学研究所や千葉大など、植物の大きさを制御する新たな手法を発見
植物の大きさを制御する新たな手法を発見 〜植物の原形質流動の本質的な役割を解明〜 <ポイント> ○植物では細胞質が運動する原形質流動という輸送現象があるがその役割は謎であった。 ○原形質流動を人工的に高速化・低速化すると、植物が大型化・小型化することを発見。 ○有用植物の増産や成長制御、さらにはバイオエネルギー生産などへの貢献に期待。 JST課題達成型基礎研究の一環として、理化学研究所 光量子工学研究領域の富永基樹 専任研究員らは、原形質流動の発生を司るモーターたんぱく質(注1)を人工的に高速化・低速化することで、植物を大型化・小型化させることに成功しました。 藻類から高等植...
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理化学研究所、ゴルジ体内のタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明
ゴルジ体内のタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明 −新開発の顕微鏡システムによりRab GTPアーゼの転換機構を証明− <ポイント> ・新しい高感度共焦点顕微鏡システムを開発 ・複数のRab GTPアーゼ間の転換機構を解明 ・ゴルジ体の成熟を担う分子機構の解明につながる <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、酵母を使い、細胞小器官のゴルジ体[1]でのタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明しました。これは、理研光量子工学研究領域(緑川克美領域長)ライブセル分子イメージング研究チームの中野明彦チームリーダー、須田恭之研究員らの研究チームの成果です。 ヒトや酵母を含む...
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理化学研究所、オリゴ糖転移酵素が糖鎖修飾中に遊離糖鎖を生成することを発見
オリゴ糖転移酵素(OST)は糖鎖修飾中に遊離糖鎖を生成する −生命活動の維持に重要なOSTの触媒機構の謎に迫る− <ポイント> ・タンパク質に糖鎖結合する機能とは逆の糖鎖分解反応も触媒することを発見 ・OSTの触媒機能を担う部位が、この相反する2つの触媒を行う ・OSTの反応制御機構が分かれば活性低下による疾患の治療薬開発につながる <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、酵母において、糖鎖の結合(糖鎖修飾)を触媒する酵素「オリゴ糖転移酵素(OST)」が、本来のタンパク質の糖鎖修飾を触媒する機能だけでなく、それとは逆の分解活性の触媒機能も持ち、遊離糖鎖を生成することを明らかにしました...
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理化学研究所と東大、オートファジーが糖鎖の代謝に関わることを発見
オートファジーが糖鎖の代謝に関わることを発見 −正常時に働くオートファジーはリソソームの機能維持に重要− <ポイント> ・オートファジーが欠損した細胞ではシアル酸を持つ糖鎖が細胞内に蓄積 ・シアル酸を持つ糖鎖の蓄積の原因は、リソソーム上の膜タンパク質の機能変化 ・オートファジーの機能不全ががん化のメカニズムに密接に関与する可能性 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、細胞内の不要なタンパク質などを分解するオートファジーが特定の糖鎖の効率の良い代謝に関与し、リソソーム[1]と呼ばれる細胞小器官の機能維持に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。これは、理研...
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京大、ペルオキシソーム病の肢根型点状軟骨異形成症RCDP−1の分子機構を解明
ペルオキシソーム病RCDP−1の分子機構の解明 加藤博章 薬学研究科教授(理化学研究所客員研究員兼務)、中津亨 同准教授、潘東青 同研究員(当時は同研究科大学院生)らの研究グループは、文部科学省の「ターゲットタンパク研究プログラム」の支援のもと、重篤なペルオキシソーム病である肢根型点状軟骨異形成症RCDP−1の分子機構を解明しました。ペルオキシソームはエネルギー産生のための長鎖脂肪酸の分解など、重要な働きを持つ細胞小器官であり、その形成異常は重篤なペルオキシソーム病を引き起します。RCDP−1型はペルオキシソームの構成蛋白質を認識するPex7という輸送蛋白質の機能異常が原因です。本研究ではX線...
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理化学研究所、1つの受容体がさまざまな刺激に応答できる仕組みの一端を解明
1つの受容体がさまざまな刺激に応答できる仕組みの一端を解明 ―感覚受容の重要な役者TRPチャネルの理解を進める一歩に― <ポイント> ・今まで知られていなかったTRPチャネルの機能制御領域の立体構造を解明 ・機能制御領域のタンパク質が束になったり離れたりして複数の刺激に柔軟に応答 ・重要な創薬の対象であるTRPチャネルの分子機能理解に貢献 <要旨> 理化学研究所(野依良治理事長)は、生体膜に存在する受容体の1つ「TRPチャネル[1]」が、たった1種類でさまざまな刺激に柔軟に応答できる仕組みの一端を解明しました。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)分子シグナリング研究...
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理化学研究所、酵素「Man2C1」に酵素活性と無関係に細胞死を抑制する機能を発見
糖鎖を分解する酵素「Man2C1」に新たな機能を発見 − Man2C1は酵素活性の他に細胞死抑制機能を持つ − ◇ポイント ・Man2C1が細胞死を抑制する分子メカニズムの詳細が明らかに ・酵素活性と細胞死抑制はそれぞれ独立して機能する ・がんの増殖・転移を抑える新たな抗がん剤開発に寄与すると期待 理化学研究所(野依良治理事長)は、糖鎖を分解する酵素「Man2C1」が、酵素活性と無関係に細胞死を抑制する機能を持つことを発見しました。これは、理研基幹研究所(玉尾皓平所長)糖鎖代謝学研究チームの鈴木匡チームリーダー、王麗(ワン リー)特別研究員らの研究チームによる成果です。 生体内の細胞分化やホ...
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東大など、カルシウムイオンを赤く光らせて可視化する蛍光試薬を開発
赤い蛍光試薬で細胞内カルシウムイオン濃度の変動を画像化 ―緑色蛍光試薬との併用で生命現象のマルチカラー観察を可能に― <ポイント> >細胞質中のカルシウムイオン濃度分布は緑色のカルシウム蛍光試薬で可視化できるが、一般的な蛍光試薬やたんぱく質の多くも緑色に光るため、両者の併用が難しかった。 >細胞質内に一様に分布する赤い蛍光試薬を独自開発し、カルシウムイオンの画像化に成功。 >この蛍光試薬は2013年4月に販売開始する予定。 JST 研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)の一環として、東京大学 大学院薬学系研究科の花岡 健二郎 准教授らの開発チームは、カルシウ...
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理化学研究所、抗がん剤による細胞の形の変化から薬剤の作用を予測する手法を開発
がん細胞の「かたち」で簡単に抗がん剤の作用を予測 −抗がん剤創薬に向けた新しいアプローチ− ◇ポイント◇ ・細胞形態の変化パターンをデータベース化した「モルフォベース」を構築 ・さまざまな薬剤の作用をモルフォベースで分類、形態変化と薬理作用を関連付け ・モルフォベースを活用し新規有用物質の標的分子や既知薬剤の副作用を予測 抗がん剤の作用予測手法開発とテルペンドールE生合成メカニズム解明 http://www.youtube.com/watch?v=yyGXCi5WSfc&feature=player_embedded 理化学研究所(野依良治理事長)は、さまざまな抗がん剤をがん細胞に添加することで起きる細胞形態の変化パターンをデータベース化した「モルフォ...
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生物種を越えた16S rRNA遺伝子の機能相補性を確認 −バクテリアの系統分類学の根本に疑問を投げかける− <ポイント> ・大腸菌の16S rRNA遺伝子機能を置き換えることが可能な異種生物の16S rRNA遺伝子を発見 ・生物種に固有と思われてきた16S rRNA遺伝子が細菌の種を越えて水平伝播する可能性を示唆 ・バクテリアの系統分類学の指標となる16S rRNAの種特異性に疑問を投げかける <概要> 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)生物プロセス研究部門【研究部門長 鎌形 洋一】合成生物工学研究グループ 宮崎 健太郎 研究グ...
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東北大、環境ストレスに対応するセンサータンパク質の分解制御機構を解明
酸化ストレス・センサータンパク質の分解機構を解明 (タンパク質分解による恒常性の維持) 東北大学大学院医学系研究科医化学分野の山本雅之教授らは、公益財団法人東京都医学総合研究所の小松雅明副参事研究員の研究グループとともに、活性酸素種や毒物などのセンサーであるKeap1がオートファジー(*1)機構により分解されていることを発見しました。今回の研究成果は、生体のストレス応答を担うKeap1−Nrf2制御システム(*2)の主要因子であるKeap1とNrf2が、それぞれプロテアソーム系(*3)とオートファジー系という異なるメカニズムによる分解を受けていることを示すものであり、ストレ...
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大阪大学と名古屋大学など、元素の識別が可能な大視野・高分解能X線顕微鏡を開発
元素の識別が可能な大視野・高分解能X線顕微鏡を開発 本研究成果のポイント ・電子顕微鏡では観察の困難な厚い試料内部の電子密度分布および特定元素の分布を可視化 ・10ナノメートルから10マイクロメートルまでの空間スケールをシームレスに観察 大阪大学大学院工学研究科の高橋幸生准教授、名古屋大学大学院工学研究科の是津信行准教授、理化学研究所播磨研究所放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)の石川哲也主任研究員らのグループは、物質中の電子密度分布および特定元素の分布を大視野かつ高空間分解能で観察することのできるX線顕微鏡を開発しました。 ナノテクノロジーやナノサイエンス...