Article Detail
武田薬品など、「ADCETRIS」を化学療法と併用した際の臨床第1相試験結果を発表
第53回米国血液学会年次総会における
ホジキンリンパ腫のフロントラインとしてADCETRIS(TM)を併用した臨床第1相試験の結果について
Seattle Genetics, Inc.(米国ワシントン州ボセル、以下「シアトルジェネティクス社」)と武田薬品工業株式会社(大阪市、以下「武田薬品」)ならびにその100%子会社であるMillennium Pharmaceuticals, Inc.(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ミレニアム社」)は、新たにホジキンリンパ腫と診断された患者を対象に、ADCETRIS(TM)(米欧製品名、一般名:brentuximab vedotin、開発コード:SGN−35)を化学療法と併用した際の臨床第1相試験の結果を発表しましたのでお知らせします。詳細については、本年12月10日から13日まで、米国カリフォルニア州サンディエゴにおいて開催された「第53回米国血液学会年次総会」において、オーラルプレゼンテーションで発表されました。本薬は、CD30抗原を標的とした抗体薬物複合体(ADC:antibody−drug conjugate)です。
テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター教授であるAnas Younes医師は「ホジキンリンパ種のフロントライン治療では、何十年もの間、伝統的な化学療法の有効性を高め、重篤な毒性発現と長期投与における副作用を軽減することを目的に研究が進められてきました。例えば、伝統的な化学療法に含まれるブレオマイシンは、ホジキンリンパ腫患者の肺毒性のリスクを高めることが一般的に知られています。そのため、本試験結果を踏まえ、新たにホジキンリンパ腫と診断された患者に対する、ADCETRISとブレオマイシンを含まないAVD療法(※1)との併用効果について、さらなる評価を行う意義があると考えています」と述べています。
シアトルジェネティクス社とミレニアム社は、未治療の進行性ホジキンリンパ腫を対象に、ADCETRISとAVD併用療法群のABVD療法(※2)群に対する無増悪生存期間を比較する、無作為割付の臨床第3相試験を実施する予定です。
(※1)アドリアマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン
(※2)AVD療法+ブレオマイシン
※「SGN−35の臨床第1相試験の結果について」は、添付の関連資料「リリース詳細」を参照
<ADCETRIS(TM)について>
本薬は、CD30抗原を標的とする抗体と微小管阻害作用(※4)を持つ低分子薬剤(モノメチルアウリスタチンE:MMAE)とを、シアトルジェネティクス社の特許技術を用いてリンカーで結合させた抗体薬物複合体です。この複合体は血中では安定であり、CD30抗原を発現した腫瘍細胞に取り込まれた後、タンパク質分解酵素によりリンカーが切断されてMMAEを放出するよう設計されています。
(※4)微小管は、細胞分裂に重要な役割を担うたんぱく質です。モノメチルアウリスタチンは、その微小管を阻害することで細胞分裂を停止させ、癌細胞の増殖を抑制します。
シアトルジェネティクス社とミレニアム社は、共同事業化契約に基づき、本薬を共同開発しています。同契約により、タケダグループは米国・カナダを除く全世界を対象とした独占的販売権を獲得するとともに、海外における開発費用の50%を負担しています。なお、日本における開発費用はタケダグループが全額を負担します。
ADCETRISは、2011年8月、自己幹細胞移植後に再発したホジキンリンパ腫、あるいは自己幹細胞移植が不適合で2度の多剤併用による化学療法後に再発したホジキンリンパ腫および少なくとも1度の多剤併用による化学療法後に再発した未分化大細胞リンパ腫という2つの適応症について米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得しています。
なお、ADCETRISは米国以外ではまだ承認されておらず、武田薬品の100%出資子会社である武田グローバル研究開発センター(欧州)株式会社が、再発・難治性のホジキンリンパ腫および再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫を適応症とした販売許可申請を欧州医薬品庁(EMA)に提出し、2011年6月に受理されています。
以上