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日本ケミコン、自動車向けに電気二重層キャパシタ「DLCAP」を供給開始

2011-12-12

電気二重層キャパシタ「DLCAP(TM)」
自動車向けに供給開始



 日本ケミコンは、2012年より、マツダ株式会社に向けて電気二重層キャパシタ「DLCAP(TM)」の供給を開始いたします。マツダ株式会社から発売が予定されている車両の減速エネルギー回生システムに搭載されます。

 昨年10月、マツダ株式会社は、エンジン、トランスミッション、ボディー、シャシーの基本性能を向上させることで、燃費と環境性能を高める次世代技術「SKYACTIV」を発表しました。本年6月に発売された新型デミオでは、ハイブリッド機構を搭載しないガソリンエンジン車で30km/L(10・15モード)の優れた燃費性能を実現しており、新しいスタイルのエコカーとして内外から大きな注目を集めております。
 来年発売が予定されている車両では、減速エネルギー回生システムを新たに搭載することでさらなる燃費改善が図られる予定であり、その回生システムの蓄電デバイスには世界で初めて電気二重層キャパシタが採用されます。
 減速時に発生する回生エネルギーをキャパシタに蓄電し、蓄電したエネルギーをヘッドライトやカーオーディオ、カーナビゲーションシステムなど、電装機器の駆動電力の一部に使用いたします。これにより、オルタネータの負荷が軽減され、頻繁に加減速がある実用走行時において10%程度の燃費改善が見込まれています。

 今回採用される電気二重層キャパシタは、車載用途をターゲットに開発したDLCAP(TM)の新製品であり、内部抵抗を飛躍的に低減しているほか、耐環境性能(耐振動・衝撃性、耐熱性)の向上にも成功しております。その主な特長は、次のとおりであります。

(1)内部抵抗の超低抵抗化を実現しています
 減速エネルギー回生システムでは、減速するたびに大電流での充電が頻繁に繰り返されるため、電気二重層キャパシタの内部抵抗が高いと自己発熱を起こし、安全のために機能を停止させる必要が生じてしまいます。
 今回、エネルギー回生用に開発した製品は、独自の改良を行ったことで同じサイズの従来製品に比較して約3分の1に相当する内部抵抗値を実現しています。
 また、低抵抗化により、電気二重層キャパシタが得意とする大電流の充放電能力もさらに高まっています。

(2)優れた耐熱性を実現しています
 従来の電気二重層キャパシタの耐熱性は60℃でした。日本ケミコンでは、より過酷な条件下でも安全に使用できる製品として、2009年に耐熱性を70℃に高めた製品を開発しました。
 今回開発した製品の耐熱性も70℃保証です。これにより、エンジンルーム内への搭載が可能になったほか、頻繁なエネルギー回生による自己発熱への許容度も向上しています。

(3)電解液にアセトニトリルを使用していません
 アセトニトリルは、電気二重層キャパシタの電解液に使用される薬品の一種であり、一般に他の薬品に比べて内部抵抗の低抵抗化に有利とされています。しかしながら、万一の燃焼時に有毒なガスを発生させる恐れがあります。
 日本ケミコンでは、当初より安全性を最優先にする開発姿勢でキャパシタ開発に取り組んできたため、他のシリーズも含めて、製品の電解液にはアセトニトリルを含みません。安全性の高いプロピレンカーボネイトを電解液に使用しつつ、アセトニトリル使用品と遜色ない低抵抗化を実現しています。

(4)高い耐久性と優れた耐振性を実現しています
 今回採用される製品は、日本ケミコンが長年にわたって研究開発を続けてきた信頼性向上技術により、秀でた充放電サイクル特性(長寿命)を実現しています。これにより、定期的な交換が不要です。また、剛性の高いアルミケース構造であるため、耐久性にも優れています。
 一方、耐振性においては、今回、素子の固定に新たな構造を採用することで、アルミケース内の素子の振動対策を図りました。

(5)環境に優しい材料を使用しています
 電気二重層キャパシタの主要材料は活性炭であり、有害な重金属類を使用していない安全性の高い部品です。そのため、廃棄の際にも環境への負荷を減らすことができます。


 なお、今回の開発に関連して、20件の特許出願を行なっております。


<事業展開について>
 今回開発した製品は、2012年春からケミコン山形株式会社(山形県長井市:当社100%子会社)にて生産を開始いたします。
 生産開始後もケミコン山形における生産能力を段階的に拡大し、2013年のうちには、既存の生産拠点であるケミコン米沢株式会社(山形県東置賜郡川西町:当社100%子会社)と合わせて、現在の生産能力の2.6倍にあたる月産48万個体制を構築してまいります。ケミコン山形に新たに導入する生産ラインは、自動化率を飛躍的に向上させた当社として3世代目の生産設備となります。
 なお、モジュールへの組立はケミコン長岡株式会社(新潟県長岡市:当社100%子会社)で行い、DLCAP(TM)の生産体制に合わせて随時対応してまいります。
 今回開発した製品の性能は、自動車、建設機械など様々な運輸市場の回生用途や、大電力用途に対応した仕様になっており、DLCAP(TM)市場拡大の引き金になると考えます。当社では今後の需要拡大を見込み、2015年度までにはDLCAP(TM)事業全体で、100億円規模の販売を目指してまいります。


※製品画像は、添付の関連資料を参照

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