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東北大学、下水汚泥から高純度の水素を高効率で発生する手法を発見
下水汚泥から高純度の水素製造
〜無機添加物と600℃程度の加熱で収率90%以上達成〜
(説明)
多元物質科学研究所の張其武助教と齋藤文良教授の研究グループは、下水汚泥(◆)(含水率約80%)から高純度の水素を高効率で発生する手法を見出しました。
水素は、燃料電池用ガスや燃料ガスなどとして利用が拡大することが期待されております。張助教・齋藤教授の研究グループはこれまでにも木質バイオマスから純度98%の水素をセルロース基準で97%の収率で発生させることに成功しましたが、今回は、その手法に工夫を凝らし、下水汚泥(仙台市広瀬川浄化センター提供)から粉砕と乾燥工程なしに高純度水素を高収率で発生させることに成功しました。その手法は以下のとおりです。
1.下水汚泥に無機粉体を添加・混合後、600℃程度で加熱するとH2:89.4%、CH4:0.7%で、CO:2.1%、CO2:7.8%が発生
2.無機粉体は低廉な物質で、ガス発生促進剤の役割を果たす
3.加熱時の雰囲気は水蒸気
下水汚泥は細かい粒子になっており、無機粉体と簡単に混合でき、それを加熱すると上記の濃度のガスが発生します。加熱後の固体残渣は、炭酸カルシウムが主です。
本手法は、混合−加熱処理のみであり、先に発表した木質バイオマスからの高純度水素発生法における粉砕処理がありません。したがって、処理コストが大幅に低減できますし、加熱して水素などの有価ガスが得られます。
◆下水汚泥
下水汚泥は、排水や下水の処理過程で、沈殿・ろ過等により取り除かれる泥状の物質で、有機物と無機物より成ります。排水・下水から容積比で5〜8%排出されます。
下水汚泥の処理は、一般に濃縮−脱水前処理−脱水の順で行われ、コンポスト(生ごみ処理容器)として利用されたり、焼却や溶融されて埋立てられています。下水汚泥は、都市圏での人口集中や水の使用量に比例して年々増加傾向にあり、排水・下水処理場における負荷の増大、最終処分場の逼迫の一因となっています。このため下水汚泥の資源化に関心が寄せられますが、生活排水中の界面活性剤や蛍光増白剤、アンモニアや農薬などさまざまな有害物質の混入、また産業排水の流入による重金属等を含む可能性もあり、有機肥料化あるいは土壌改良材としての利用には慎重論があります。
現在は、嫌気発酵による発生するメタンガスをエネルギーとして利用したり、乾燥させて石炭火力発電所用の燃料にすること、さらにはセメント(エコセメント)やレンガの材料、路盤材等への利用がなされています。