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電通など、震災の影響を受けた全国中小企業の経営実態調査結果を発表
震災の影響を受けた全国中小企業の経営実態を調査
―震災の影響を受けた企業は62.2%、その内の33.7%が売上増加傾向―
株式会社電通(本社:東京、社長:石井直)と株式会社電通国際情報サービス(本社:東京、社長:釜井節生 以下ISID)は、大阪経済大学江島由裕教授の協力を得て、震災の影響を受けた「中小企業の経営実態調査」を実施しました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災により日本は甚大な被害を被むりました。震災という大きな環境変化に、中小企業は今、どのように立ち向かおうとしているのか。日本全国の中小企業を対象に、震災の影響を受けた中小企業の経営実態を把握し、彼らの持つ経営課題、事業課題、資金課題を明らかにすることを目的として調査を実施しました。特に、地方経済の低迷を受け金融機関による企業向け貸出が鈍化する中、彼らの預貸率の悪化を食い止め、地域経済の資金循環を活性化させるヒントを中小企業の声から導き出します。
【調査結果のポイント】
(1)全国の中小企業のうち、ビジネス面で震災の影響を受けた企業は62.2%(甚大な影響があった:10.7%、ある程度影響があった:51.5%)に上っており、震災は多くの中小企業のビジネスに影響を与えていることが明らかになった。(図1参照)
(2)震災の影響を受けた中小企業の中でも、現在、売上増加傾向の企業は33.7%、黒字基調の企業は76.1%あり、業績が改善しつつある企業が多いことが伺える。(図2参照)
(3)企業の経営姿勢を表す3つの要素(革新性・先進性・積極性)の値が高い企業の売上の増加傾向は43.3%と著しく、値が低い企業の売上増加傾向10.6%と比べて4倍の開きが見られた。経営姿勢が“前向き”か“後ろ向き”かで、経営成果に大きな影響を与えていることが明らかになった。(図3参照)
(4)経営ビジョンを有し行動としてそのビジョンが浸透している企業は、そうでない企業と比べ、売上増加傾向(41.8%)や黒字基調(87.0%)が強く、経営ビジョンの浸透も経営成果を大きく左右する重要な役割を担っていることが伺える。(図4参照)
(5)経営姿勢が前向きで、かつ経営ビジョンが浸透している企業は、「商品・サービスの企画開発力」「組織力・一体感」「社員の士気・能力」「技術力等知的資産」「経営陣の能力・リーダーシップ」等の経営資源を成長の源としていることが伺える。(図5参照)
(6)中小企業が自社の経営課題に関して、社外で最も頼りになる相談相手としているのは、「顧問税理士(23.3%)」、「関連会社(13.2%)」、「仕入・販売先(11.5%)」の順で、中小企業の事業支援を期待される「金融機関」は、第4位(11%)に留まっている。(図6参照)
(7)事業計画書を「金融機関に提出」している中小企業は31.4%に留まっており、「作成しているものの未提出」の回答(48.6%)を下回った。提出している企業の割合が少ない理由としては、金融機関からの借入れを行う企業が減少傾向にあることに加え、金融機関と経営情報を共有することにより得られる付加的なメリットへの期待が低いことも要因の一つと推察される。(図7参照)
(8)メインバンクの融資判断基準が「財務諸表等の経営状況」であると感じている中小企業が大半を占める(66.6%)一方で、「財務諸表」だけではなく、「知的資産・経営資源」(27.6%)、「長期的な関係から得られたソフト情報」(12.7%)を踏まえた融資判断を希望していることが明らかになった。(図8参照)
【調査概要】
◇調査地域:全国
◇調査対象:中小企業庁の中小企業定義に概ね準じた4業種(製造業・卸売業・小売業・情報サービス業)の経営トップ層
◇調査対象数:1000社(うちビジネス面で震災の影響があった企業は622社)
◇調査方法:郵送調査
◇調査期間:2011年7月15日〜8月12日
◇調査実施機関:株式会社電通マーケティングインサイト(旧電通リサーチ)
今回の調査を通じて、ビジネス面で震災の影響を受けた中小企業の中でも、経営姿勢が前向きな企業の多くは一定の経営成果をあげていることが明らかになりました。
しかしながら、中小企業の経営課題に関する社外の相談相手としての金融機関の位置付けは低く、また金融機関の融資判断に対しても、財務データ(顕在価値)だけではなく企業の競争優位の源泉となる「知的資産」「ソフト情報」等の潜在的価値を評価してほしいという声が中小企業から上がりました。
電通およびISIDでは、今回の調査結果をもとに、金融機関の法人営業戦略をコミュニケーションとITの両面で支援するソリューションを開発・提供していく計画です。これにより、金融機関の中小企業に対するコンサルティング機能の強化を支援し、地域経済の活性化に貢献してまいります。
【調査結果資料】
※添付の関連資料を参照