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免疫生物研究所、アルツハイマー病研究用「APP770測定キット」を販売
新しいアルツハイマー病研究用、「APP770測定キット」の販売開始について
当社は、明日より開催の認知症学会に合わせ、独立行政法人理化学研究所と共同開発を行ってまいりました新製品、「ヒト血管内皮由来のアミロイド前駆体タンパク質770(以下「APP770」という)測定キット」の販売を平成23年11月21日より行いますのでお知らせいたします。
【概要】
世界の認知症患者数は2010年時点で3,560万人に達すると推定されていますが、認知症全体の60%以上を占めると言われているアルツハイマー型認知症(以下「アルツハイマー病」という)は、最も代表的な認知症疾患です。このアルツハイマー病は、主としてアミロイドβ(Amyloidβ、(以下「Aβ」という)と呼ばれる異常なタンパク質が脳実質に蓄積し、脳の神経細胞が変性・脱落するためにおこると考えられています。一方で、9割近いアルツハイマー病患者で、脳血管壁にもAβが蓄積することが確認されています。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が2種類のプロテアーゼ(酵素)で切断されて生じることが分かっており、脳実質に蓄積するAβは、主にニューロンに発現するニューロン型APP(APP695)から生じると考えられています。これに対し共同研究者の理研グループは、脳血管内皮細胞にはニューロン型と異なるAPP(APP770)が発現していることを発見し、このAPP770から産生されたAβが脳血管壁に蓄積し得ることを報告しております(*1)。当社は理研グループとの共同研究により、APP695に反応せずAPP770のみに特異的に反応する抗体開発を行い、さらにヒトの体液(脳脊髄液や血液)中に存在するAPP770を定量的に測定できるキット開発を行い、今回の販売開始に至っております。なお、本測定キットは当社の強みであるアルツハイマー病関連の新製品であり、当社が開発に注力してまいりました製品の一つであります。
平成24年3月期の業績への影響は現在軽微と考えられますが、影響が確認できましたら別途適時開示いたします。
以上
【ご参考】
*1.研究成果についての報告について
脳血管内皮細胞特異的なアミロイドβ前駆体タンパク質を発見(−アルツハイマー病関連のアミロイドβ蓄積機構に新たな可能性−)として、下記に詳細が示されております。
http://www.riken.jp/r-world/research/results/2010/101021/image/101021.pdf