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東京商工リサーチ、「下期想定為替レート」調査結果を発表

2011-11-14

東証1部・2部上場メーカー90社
「下期想定為替レート」調査(2012年3月期決算)
〜下期想定レートの9割が1ドル=70円台〜



 歴史的な円高水準が続いている。10月31日、オセアニア外為市場で円相場が1ドル=75円32銭へ急騰し、史上最高値を更新した。円高が想定以上に進んだことで、東証1部、2部に上場するメーカー90社のうち、約9割の80社(構成比88.8%)が今年10月以降の下期想定為替レートを1ドル=70円台に変更した。

※本調査は、東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機械メーカー(3月本決算企業)のうち、2012年3月期決算の業績見通しで第3四半期以降(10月以降)の下期想定為替レートが判明した90社を抽出した。資料は決算短信、業績予想等に基づく。


<下期想定為替レート1ドル=75円〜79円が約9割>
 東京証券取引所1部、2部に上場する主なメーカー90社(3月本決算企業)のうち、2012年3月期決算の下期(第3四半期以降)業績見通しで、対ドル相場を1ドル=75円〜79円に想定した企業が80社(構成比88.8%)と約9割を占めた。
 内訳は、75円と77円がそれぞれ24社、76円が17社、78円が11社、79円が4社だった。想定レートの最安値は80円。期初時点ではレートの上限が80円だったが、急激な円高の進行から想定レートを一気に75円〜79円に変更する企業が続出した。

<期初との想定為替レート比較1ドル=80円から75円への変更が最多>
 対象90社は期初において、対ドル相場を1ドル=80円とした企業が35社(構成比38.8%)で、全体の約4割を占めていた。
 2012年3月期決算の期初と下期の想定為替レートを比較すると、想定レートを80円→75円に変更した企業が17社で最も多かった。次に、80円→77円に変更が7社、85円→80円に変更が6社、80円→76円に変更が6社と続く。期初時点では、震災直後の3月17日に海外市場で一時1ドル=76円25銭と当時の史上最高値を更新したことを反映して、想定為替レートを1年前に比べて高めに設定するところが多かった。しかし、想定を上回る円高進行で、さらなる想定為替レートの変更を強いられた。

<対ユーロ相場1ユーロ=105円の想定為替レートが最多>
 ユーロの想定為替レートでは、対象90社のうち69社で想定レートが判明した。2012年3月期決算の下期業績見通しで、下期のユーロ想定為替レートの最多は、1ユーロ=105円が29社(構成比42.0%)だった。次に、110円が13社と続き、最安値は115円だった。なお期初時点では110円の想定が最も多かった。

 東証上場の主なメーカーでは、2012年3月期決算において円高基調に対応して事業計画での想定為替レートを前年より高めに設定して臨んだ。しかし、想定以上の円高ドル安が進行し、為替レートの見直しを迫られた。さらに、欧州の債務危機懸念からユーロが一時、10年4カ月ぶりに1ユーロ=101円を割り込むなど歴史的な円高水準が展開している。
 国内経済が震災発生から予想以上に早くサプライチェーンが復旧し、景気の持ち直し機運が高まるなかで、高止まりした円高の長期化は、輸出企業には業績の下振れリスクとなっている。
 一方、円高は輸入関連にはメリットもあるが、海外からの安価商品の流入は、中小企業に製品・部品価格の引き下げを強いて、企業体力を消耗させることにもつながる。また、デリバティブ金融派生商品)取引での損失が拡大すると、一服状態にあった「円高関連」倒産が再び増勢に転じる可能性も高まってくることが懸念される。


*グラフ資料などは、添付の関連資料を参照

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