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東京商工リサーチ、第2四半期連結累計期間の「為替差損」調査結果を発表

2011-11-14

上場企業441社2012年3月期決算
第2四半期連結累計期間「為替差損」調査(11月4日現在)
〜為替差損合計は前年同期比3.3%増の3,009億円〜


 欧米経済の先行き不透明感を背景に投資資金の流入から、10月31日のオセアニア外国為替市場の円相場が一時1ドル=75円32銭へ急騰し、史上最高値を更新した。
 歴史的な円高が続くなか、2012年3月期決算の第2四半期連結累計期間(2011年4月〜9月)において、為替相場の変動などにより為替差損を営業外費用として計上した上場企業441社(3月本決算企業)では、為替差損の合計が3,009億円にのぼった。


■為替差損合計前年同期比3.3%増の3,009億円
 2012年3月期決算の第2四半期連結累計期間(2011年4月〜9月)において、為替差損を営業外費用として計上した上場企業441社(3月本決算、11月4日現在判明分)では、為替差損の合計が前年同期比3.3%増の3,009億1,900万円にのぼった。また、前年同期の為替差益計上から為替差損に転じた企業は21社を数えた。為替差損額は前年同期(合計2,911億6,800万円)より97億5,100万円上回り、各企業は想定為替レートを高めに設定するなど円高対策を講じたが、予想を上回る円高の進行から差損が膨らんだ。

■電気機器、自動車メーカーで為替差損計上が目立つ
 為替差損を計上した上場企業441社のうち、差損金額が大きかったのは、任天堂の524億3,300万円だった。次に、日産自動車(303億300万円)、マツダ(116億7,200万円)、信越化学工業(107億5,000万円)と続く。上位には、電気機器や自動車メーカーが占め、輸出産業を中心に歴史的な円高が業績に深刻な影響を及ぼしたことを示している。

■業種別の為替差損自動車・自動車部品が前年同期比233億円増
 441社の業種別の為替差損額では、最も多かったのは自動車・自動車部品29社の591億9,500万円だった。次に、サービス業43社が586億3,200万円、電気機器74社が499億7,600万円、化学工業52社が357億1,200万円、機械53社が193億4,100万円と続く。
 また、為替差損額の前年同期比では、前年同期より為替差損が最も増加したのは、自動車・自動車部品29社の233億8,700万円増だった。次に、医薬品8社が58億3,400万円、非鉄金属・金属製品20社が25億7,800万円増、パルプ・紙6社が18億2,900万円増の順。
 これに対し、前年同期より減少したのは、化学工業52社が101億900万円減、電気機器74社が100億7,200万円減、サービス業43社が90億9,400万円減で、業種により明暗を分けている。


 外貨建ての売掛金や現預金を期末の為替レートで評価する時に、円高が進んでいると為替差損が生じる。また、輸出企業が外貨建ての売掛金を回収する場合でも、販売時より円高が進行していると為替差損となる。
 上場企業441社の2011年4月〜9月の為替差損は、前年同期より金額が膨らんだ。外為市場では円がドルに対し高止まりで推移しており、この状況が長引くと大手企業の生産拠点の海外移転を促進させかねない。さらに、これまで経営リスクを避けるため海外進出をためらっていた中小企業にも今後の経営の選択肢として浮き上がってきた。海外進出の加速は、国内では産業の空洞化と雇用悪化が懸念され、中小企業では発注単価の低下、発注減少という悪要因がより一層現実味を帯びてくる。
 急激な円高の進行は、為替差損はもとより、売上高や営業利益を減らす要因となって、業績の下振れリスクとして企業活動の足を引っ張る。当面、円安に振れる要因が見当たらないことから、企業収益はさらに圧迫され、倒産件数の押し上げや雇用悪化へのリスクが高まっている。

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