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神鋼建材、微細多孔吸音構造を用いた透明な防音壁「エコキューオンクリア」を販売開始
透明な防音壁の開発と販売開始について
〜世界で初めての商品『微細多孔吸音構造を用いた透明な防音壁』の開発に成功 〜
当社は、小さな孔を無数に開けた「ポリカーボネートを用いた微細多孔吸音構造による透明な防音壁(商品名:『エコキューオンクリア』)」を、(株)神戸製鋼所と共同で世界で初めて商品化に成功し、この11月から販売を開始致します(図1および図2をご参照下さい)。
既に、アルミ微細多孔板および多孔箔を用いた吸音構造を持った防音壁(商品名:『エコキューオン』)を2006年に販売を開始し、道路や鉄道の沿線、工場の内外で広く使用されています。この製品を拡販していく中で、道路や鉄道の沿線における日照権問題や観光地での景観、あるいは工場内での騒音職場への適用など様々な場面で、透明な防音壁を求める声が多数ありました。これらの強い要望に応えるため、このたび、『吸音性能』と『透光性能』とを両立する新製品を開発しました。エコキューオンおよびエコキューオンクリアを合わせて、2015年度に15億円程度の売上を目指します。
一般的に防音壁は、騒音が直進的に拡散するのを壁により阻止する「遮音部分」と、その内壁側に設けられ、直進する騒音を吸収し、壁または車体に反射された音が拡散するのを防止する「吸音部分」から構成されています。このほど開発した防音壁は、「遮音部分」にポリカーボネート板(厚さ約8mm)、「吸音部分」には小さな孔を無数に開けた薄いポリカーボネート板およびフィルムを用いています。ポリカーボネート板およびフィルムには、表面積に対して数パーセントの割合 (以下開口率と称する) で、直径数mmの孔を開け、このポリカーボネート板およびフィルム、遮音用のポリカーボネート板との間に空気層を確保した構造としています(図2および図3をご参照下さい)。
本商品も、アルミ微細多孔防音壁(エコキューオン)と同様に、音の圧力により振動する空気が微細な孔を通過する際に発生する摩擦と渦とにより、音のエネルギーを熱エネルギーに変換させることで高効率な吸音性能を実現しています。ポリカーボネート板およびフィルムを複数枚配置し、それぞれ適切な開口率、孔径と空気層を確保することにより、高い吸音性能を確保しています。本製品は高速道路に用いられている防音壁に適用されている吸音および遮音に関する基準を満足するとともに、アルミ製の枠材を除くすべての部材に透明なポリカーボネート材を使用しているため、正面、斜めなどいずれの方向からも優れた透視性を確保することが可能となりました(図4および図5をご参照下さい)。
当社の親会社である(株)神戸製鋼所の技術開発本部では、1960年代から様々な分野における静音化の研究を行ってきました。当社は、こうした長年の研究の成果を活用して開発したアルミ微細多孔板・箔を用いた防音壁(エコキューオン)に加え、このたび透明なポリカーボネート製防音壁(エコキューオンクリア)の製造・販売も開始致します。神戸製鋼グループの強みや特長を最大限発揮する「オンリーワン製品」の1つとして、今後採用の拡大に注力して参ります。
以 上
※付属資料は添付の関連資料を参照