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大日本スクリーンと大阪大学、太陽電池の瞬間的な発電の可視化に成功

2011-10-28

大日本スクリーンと大阪大学、太陽電池の瞬間的な発電の可視化に世界で初めて成功

〜光と電波の性質を兼ね備えた「テラヘルツ波」により、太陽電池の発電効率向上へ〜


 大日本スクリーン製造株式会社と大阪大学はこのほど、太陽電池に極めて短時間のレーザー光を照射することで発生するテラヘルツ波(※1)の検出に世界で初めて成功。従来は確認できなかった、1兆分の1秒という瞬間的な太陽電池の発電状態の可視化を実現しました。この現象を太陽電池の発電効率向上につながる技術と考え、今後、実用化に向けた研究をさらに進めていきます。

 テラヘルツ波は、X線や可視光などの光と、無線やレーダーに代表される電波との境界の波長を持つ電磁波で、物質を透過しやすく、また相互作用によって物質を分析できるという特長を備えています。

 その半面、発生源や検出手法などに課題が多く、未開拓の電磁波領域といわれていました。しかし、近年の研究の進展によって開発が進み、現在では、空港のセキュリティーチェックや非破壊検査など、さまざまな分野での応用が期待されています。

 一方、太陽光発電は、地球温暖化防止だけでなく安全な自然エネルギーとして、その活用に一層注目が集まっています。しかし、一般家庭から発電所まで幅広い普及を実現するためには、製造コストや設置スペースなど長年の課題を克服する必要があるため、発電効率の向上は関連業界において最大のテーマとなっています。地球に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できれば、世界の年間消費エネルギーをわずか1時間で賄えるといわれていることから、太陽電池の発電効率の向上は今後のエネルギー問題を解決する大きな鍵となります。

 このような動向を受け、大日本スクリーンと大阪大学は、太陽電池におけるテラヘルツ波検出・分析技術に関する共同研究を進め、このたび1兆分の1秒という太陽電池の瞬間的な発電状態の可視化に世界で初めて成功。大阪大学が開発したレーザーテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM)(※2)と、大日本スクリーンが培ってきた計測・画像処理技術を活用し、太陽電池にレーザー光を極めて短い時間照射することにより、発生したテラヘルツ波の状態を非接触で計測することを可能にしました。これにより、太陽電池内部の発電の仕組みを詳しく解析できるため、より発電効率に優れた太陽電池の開発や評価につながる大きな可能性を持った技術となっています。

 大日本スクリーンと大阪大学は今回の共同研究の成果を踏まえ、今後もテラヘルツ波検出・分析技術の応用展開を推進し、エネルギー問題を解決する最有力手段として期待される太陽電池業界を担う、新たな製造技術の確立を目指します。そして、最先端のエネルギー分野における技術開発を通じて、安全な低炭素化社会の実現に向け、さらなる貢献を図っていきます。

(※1)テラヘルツ
 周波数がテラ(1テラは10の12乗)の領域にあることに由来。100GHz(ギガヘルツ)〜 30THz(テラヘルツ)までの周波数で、3mm 〜 10μmの波長を持つ電磁波。

(※2)レーザーテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM)
 大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの斗とのうち内教授が開発した、テラヘルツ波応用解析装置。レーザー光を約100フェムト秒という極めて短い時間半導体に照射することにより、発生するテラヘルツ波を検出し、可視化できる顕微鏡。(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)

 * この技術は、2011年11月24日(木)から大阪大学中之島センターで開催される「第1回 テラヘルツナノ科学国際シンポジウム(TeraNano 2011)」( http://www.ile.osaka-u.ac.jp/research/THP/TeraNano/THz2011JP.pdf )において、29日(火)に発表します。


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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