博報堂、独自調査パネル「ダイバーシティ・ヴィレッジ」のメンバーを起用した商品開発サービスを開始

博報堂、多種多様なユーザーとの共同による商品開発サービスを開始

〜米ユニバーサルデザイン専門機関との共同開発による手法採用〜


　ユニバーサルデザイン視点でのコンサルティング業務および制作業務を行う目的で、２００９年６月に設立した専門組織「博報堂ユニバーサルデザイン」が、米ユニバーサルデザイン専門機関ＩＨＣＤ（＊１）と共同開発した手法を採用の上、予てから構築していた独自調査パネル「ダイバーシティ・ヴィレッジ」（＊２）のメンバーを起用し、商品開発サービスを開始しましたのでお知らせいたします。

　博報堂ユニバーサルデザインは、より多くの人に情報を伝えることを目的としたユニバーサルデザインのオリジナル書体「つたわるフォント」（＊３）や、広告制作物（新聞・雑誌・交通広告等）を開発、サービス提供し、ユーザーやクライアント企業より高い評価をいただいてまいりました。

　しかし、企業が提供する商品やサービスの高度化・複雑化に伴い、生活者が感じる「わかりにくさ／使いにくさ」「不満／ストレス」といった課題を実用化前に抽出・検証し、デザインに反映するシステムが確立されていないため、いまだかなり多くの生活者が満足を得られていないのが現状です。

　また、これは企業にとっても収益機会損失が発生していることを意味しています。

　博報堂ユニバーサルデザインは、商品開発のプロセスそのものにユーザーが関与していく「新しい制作プロセスの設計」が課題解決に必須と考え、ユーザーの代弁者となる１００人の調査パネル「ダイバーシティ・ヴィレッジ」を起用した商品開発サービスを開始しました。　今回、その商品開発手法として、世界にユニバーサルデザインを普及啓発した米国のＩＨＣＤと共同開発した「Ｕｓｅｒ−Ｅｘｐｅｒｔ　Ｉｎｆｏｒｍｅｄ　Ｄｅｓｉｇｎ」を採用しました。　本手法は、利用者の多種多様なストレスや不満を「エラー指数」という、開発に携わる全員が共有できる数値として可視化したことが大きな特徴で、それにより様々な課題が漏れることなく、最大限に制作プロセスに反映されることになります。　さらに、エスノグラフィー（人類学的方法による人間・社会の洞察）、アイトラッキング（視点追跡技術）、弱視シミュレーション装置等といった調査ツールを複合的に組み合わせることが可能で、商品やサービスをより高水準なデザインに仕上げることを支援します。

　尚、この手法に基づいて開発された商品、サービス、広告などにはＩＨＣＤのロゴ入りのマーク（＊４）が付与されます。そのマーク利用料は有償となっており、ＩＨＣＤの教育事業などへと寄付されユニバーサルデザインの普及と推進に使用される予定です。
博報堂は今後も、フィロソフィーである「生活者発想」に立ったユニバーサルデザインを推進し、これまで以上に高品質サービスをクライアント企業に提供してまいります。


＜参考資料＞

（＊１）ＩＨＣＤ（Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ　ｆｏｒ　Ｈｕｍａｎ　Ｃｅｎｔｅｒｅｄ　Ｄｅｓｉｇｎ）
　世界にユニバーサルデザインを普及啓発させた米国ボストンにある国際ＮＰＯ。１９７８年にボストンに創設された国際的なユニバーサルデザインの指導的な組織であり、１９９８年のニューヨークなど過去５つの会議を主催または共催してきた。ボストン市内環状線の計画、港湾地区・ウォーターフロントの計画など地域開発、景観だけでなく内装、工業デザイン、情報・コミュニケーションに渡り、優れた研究・デザインコンサルティングの実績と実務経験を有している。

（＊２）ダイバーシティ・ヴィレッジ
　博報堂ユニバーサルデザインが開設に伴い構築した独自調査パネル。見え方や、聞こえ方、移動や行動にさまざまな特性がある人、国籍や言語、環境や年齢の違いがある人など、多様な人達が１００人で構成されている。　これら“村人”の多様な意見は、普段見過ごしがちな課題を発見してくれる貴重な提案やアイデアの宝庫になっている。

（＊３）つたわるフォント
　株式会社博報堂が２００９年６月に新設した専門組織「博報堂ユニバーサルデザイン」で、ユニバーサルデザインの発想に基づき、株式会社タイプバンク、慶應義塾大学と共同で開発したもの。誤認を防ぐこと、可読性を高めることを目的に開発された書体。

（＊４）商品等に付与されるロゴマーク
　※　関連資料参照