Article Detail
日本ヒュームなど4社、既製コンクリート杭の杭頭免震接合工法「BSLパイル」を開発
既製コンクリート杭の杭頭免震接合工法『BSLパイル』の開発
(株)アール免震(東京都千代田区、社長:横塚 克明)、日本ヒューム(株)(同港区、社長:野村 靜夫)、(株)ダイナミックデザイン(同新宿区、社長:宮崎 光生)、(株)オムテック(同豊島区、社長:後藤 泰博)は、共同で、既製コンクリート杭の杭頭免震接合工法「BSLパイル」を開発しました。「BSLパイル」は、高支持力既製コンクリート杭の杭頭部に免震装置を直接設置する構造で、杭頭部に作用する地震時水平力を免震装置で低減することによって、建物及び基礎杭の安全性を大幅に向上させることができます。
なお、免震装置の回転機構付すべり支承「BSL」は、国土交通大臣認定等の各種公的認証を取得しています。
【開発の背景】
近年我が国では、東日本大震災をはじめとする大規模な震災が相次ぎ、今後も全国的に大地震の発生が懸念されています。
このような中、建物の地震対策として免震構造への関心は一層高まっています。一般的な耐震構造でも建物の倒壊は防げますが、場合によっては居住不可能なほどの損傷を被ることもあります。しかし基礎と建物の間を「絶縁」する免震構造では、建物に伝わる地震エネルギーそのものが低減されます。その結果建物の揺れは小さくなり、人命や建物を損傷から守ります。さらには内部の財物も揺れから守るため、工場やデータセンター等、高価な機械類を有する施設にも適します。
しかし、免震構造は耐震構造に比べて建設コストが高くなるため、公共施設や高層マンション等を除いては普及が進まないのが現状です。
以上の背景から、既製コンクリート杭基礎に免震構造を採用する場合において、安価かつ実績ある免震装置の活用を含めた総合的なコスト縮減を目標とし、本開発を行いました。高支持力既製コンクリート杭と免震装置を組み合わせた本開発により、従来より低コストかつ短い工期にて、高性能な免震構造が提供可能となります。
【BSLパイルの特長】
(1)「BSLパイル」は、特殊な「鋼製金具」を介し、(図1)のように杭頭に直接免震装置「BSL」を取り付ける構造です。このため根切り工及びフーチング工に掛かる費用、並びに工期を縮減することが可能です。なお、基礎フーチングを用いての設置にも対応可能です。
(2)地震時の杭頭水平力を免震装置によって低減するため、基礎杭のコストダウンが可能です。
(3)基礎杭の施工法は、国土交通大臣の認定工法を標準として適用するため、信頼性の高いものです。
(4)特殊鋼製金具の施工は既製コンクリート杭施工の完了後に行いますが、特殊な技能は不要で、複雑な工程もなく短時間で施工が可能です(写真1)。
(5)免震装置「BSL」は、国土交通大臣認定並びに(財)日本建築センター性能評価を取得しており、施工実績も多数あります(写真2)。
(6)「鋼製金具」は、実物大の載荷試験とモデル解析及び施工試験を実施し、安全かつ合理的な構造を採用しています。その他の「BSLパイル」に用いる主要部材も、全て一定の品質管理の下工場生産されたものを使用します。
図1 「BSLパイル」構造概要図
写真1 「BSLパイル」施工完了状況
写真2 免震装置「BSL」
※ 関連資料参照
【適用範囲】
・PHC杭、SC杭等、各種の既製コンクリート杭に適用可能です。
・適用可能な杭径(杭頭部)の範囲は、φ500〜φ800を標準とします。
・鉛直荷重の範囲は、長期荷重で最大3000kNまでとしています。
(この荷重を超える場合はお問い合わせください。)
【今後の展開】
現状は、主に低〜中層住宅、工場等の免震化において積極的に採用を提案していきます。今後の施工実績の増加に伴い、適用可能な杭径及び鉛直荷重の範囲拡大を実施する予定です。
※ 参考資料は、関連資料参照