富士経済、メカトロニクスパーツの市場調査結果を発表

メカトロニクスパーツの市場を調査

−２０１４年市場予測（２０１０年比）−
■メカトロニクスパーツ２６品目：１兆７，３４９億円（１２９．２％）　新興国需要が市場押し上げ
□産業用ＩＰＭモータ：２５０億円（２３１．５％）　高効率モータ需要、震災後の電力問題も要因に


　総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町　社長　阿部　界　０３−３６６４−５８１１）は、主にＦＡ（ファクトリーオートメーション）の制御を掌るメカトロニクスの構成部品、機器・装置（パーツ）の市場を調査した。その結果を報告書「２０１１年　注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」にまとめた。

　メカトロニクス（Ｍｅｃｈａｔｒｏｎｉｃｓ）とは、機械工学（Ｍｅｃｈａｎｉｃｓ）と電子工学（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ）を合わせた和製英語である。機械制御に電子技術を応用することで、制御の高性能化や多機能化、自動化を実現するものである。
　この調査では、プログラマブルコントローラや汎用インバータなどコンピュータ＆コントローラ領域（７品目）、ＡＣサーボモータやＸＹテーブルなどモータ＆メカ領域（９品目）、光電センサや近接センサなどセンサ領域（５品目）、産業用スイッチング電源など受配電機器領域（５品目）のメカトロニクスパーツ４領域２６品目の各市場について、現状を分析し今後を予測した。
　市場規模は、日系メーカーと外資系メーカーの国内販売額（＝国内市場）、及び、日系メーカーの海外販売額としている。

　なお、汎用インバータ、プログラマブルコントローラ、プログラマブル表示器、ＡＣサーボモータ、近接センサ、光電センサ、産業用配線用遮断器の主要７品目は、外資系メーカーの海外販売額を含めた世界市場も捉えた。


＜調査結果の概要＞

■メカトロニクスパーツ市場（国内市場＋日系メーカー海外販売額）■
　※添付の関連資料を参照

　２０１０年のメカトロニクスパーツ市場は、前年比１３９．３％の１兆３，４２９億円となった。
　国内外問わず旺盛なインフラ設備投資がなされたほか、自動車業界やエレクトロニクス業界の設備投資に支えられ、リーマン・ショックの影響で１兆円割れとなった前年から大きく反転した。

　２０１０年の市場を領域別に見ると、コンピュータ＆コントローラ領域ではＣＮＣ、モーションコントローラ、温度調節計、ビジョンシステムが前年比１５０％以上、モータ＆メカ領域では産業用リニアモータ、エアスピンドルが同２００％以上、センサ領域ではリニアエンコーダ、近接センサが同１５０％以上と実績を大幅に伸ばした。そのほか、各領域の多くの品目で前年比２桁増と高成長を遂げた。２００８年と同水準、または、それを上回る水準にまでに市場規模が回復した品目が多くみられる。

　２０１１年は、前年比１０８．３％の１兆４，５４０億円が見込まれる。東日本大震災の影響で生産調整が避けられなかったものの、上半期は海外の需要が牽引し前年実績を超える水準での推移がみられる。しかし、下半期に入り海外の需要が鈍化傾向にある。
　２０１２年以降は、国内の復興需要や省エネ設備案件が期待されるもののその伸びは限定的で、中国やインドといった新興国の需要が市場を押し上げていくと予測される。２０１４年には２０１０年比１２９．２％の１兆７，３４９億円が予測される。

　また、海外において需要の高い品目やセットメーカーからコストダウンの要請が高い品目は、海外での生産が拡大しており、今後もその比率が高まるとみられる。中国への生産移管に加え、東南アジアも生産地として浮上してきている。販売に関しても海外の比率が高まっているが、ローカルメーカーが展開しているインダクションモータやエアスピンドルなどは、日系メーカーの販売比率が高まりにくい分野と考えられる。


＜注目市場＞
１．産業用ＩＰＭモータ【モータ＆メカ領域】

　２０１０年　　２０１４年予測　　１４年／１０年比
　１０８億円　　　２５０億円　　　　　２３１．５％

　ＩＰＭモータ（埋込構造永久磁石同期電動機）は、高効率な運転を可能とする。インバータと組み合わせることで、通常の誘導モータなどと比較して省エネ効果がみられる。
　産業分野に占める産業用モータの電力消費量は多く、高効率化が求められている。国内ではインバータ駆動による高効率運転が主流であるが、日本でも今後、産業用モータの高効率化へ規制強化が予定されており、各メーカーともに新製品の開発を進めている。その中でより高効率なモータとしてＩＰＭモータが展開されており、設備投資の回復に合わせて市場が拡大していく見通しである。
　また、東日本大震災後の電力供給問題への対策としても、ＩＰＭモータは重要な位置を占めていくと考えられる。２０１４年には２０１０年比２３１．５％の２５０億円が見込まれる。

２．汎用インバータ【コンピュータ＆コントローラ領域】

　　２０１０年　　　２０１４年予測　　１４年／１０年比
　１，４９８億円　　２，２７０億円　　　　１５１．５％

　汎用インバータは、主に３相かご形誘導モータを駆動する際に使用する可変速装置である。速度制御ニーズに応じて駆動制御方式が使い分けられている。
　省エネを背景とした需要が旺盛で、２０１０年は前年比１３６．１％の１，４９８億円となった。搬送装置、空調などのファン・ポンプ関連、建設・土木機械、食品機械をはじめ多様な用途に採用されている。
　２０１１年は、東日本大震災で生じた影響が回復してきており、海外の需要も堅調である。今後、国内では復興需要やモータの高効率規制などの動向が成長要因となるものの早期の立ち上がりは期待できず、当面は中国・韓国・台湾・インドなどのアジア市場が成長を牽引していくと考えられる。２０１４年には２０１０年比１５１．５％の２，２７０億円が見込まれる。

３．光電センサ【センサ領域】

　２０１０年　　２０１４年予測　　１４年／１０年比
　６６８億円　　　９１０億円　　　　　１３６．２％

　光電センサは、半導体開閉素子を備えＬＥＤ、レーザーなど可視・不可視光線の反射や輻射、遮光により物体の存在を検出する非接触センサである。検出範囲内の物体を検知し、機器・装置などのコントロールを行う。
　２０１０年は、主要アプリケーションである半導体、電子部品、ＦＰＤ（フラットパネルディスプレイ）の製造装置や検査装置の設備投資が牽引し、市場は前年比１４４％の６６８億円と大幅に回復した。
　今後、国内ではスマートフォンやタブレットＰＣなどの成長機器向けの電子部品を始め、半導体、ＦＰＤ、ＬＥＤ（発光ダイオード）といった各種部品製造装置やライン、また、電気自動車、太陽電池や二次電池などの分野において、需要が続くと考えられる。
　また、中国市場への直接需要および間接輸出による需要に牽引される状況が続き、台湾や韓国などの市場も成長が続くと見込まれる。２０１４年には２０１０年比１３６．２％の９１０億円が見込まれる。

４．プログラマブルコントローラ【コンピュータ＆コントローラ領域】

　　　２０１０年　　２０１４年予測　　１４年／１０年比
　１，５４２億円　　１，９２０億円　　　　１２４．５％

　シーケンス制御装置であるプログラマブルコントローラ（ＰＬＣ）は、工場の自動生産設備の機械制御などに使われている。
　２００９年後半より需要が戻り始め、２０１０年の市場は前年比１３０．１％の１，５４２億円と２００８年の市場規模を僅かに下回るまでに回復した。中国をはじめ韓国、台湾などアジアにおける需要が旺盛だった。中でも中国ではＦＰＤ、半導体関連などで急激に需要が拡大している。
　２０１１年は東日本大震災の影響が生じたものの、大手メーカーでは大口需要に応えられる状況にまで回復してきている。アジアにおける需要が拡大していく見通しであるほか、大手メーカーも大量の受注残を抱えており、供給面でこれに応えられることを前提とすれば、引き続き市場の拡大が見込まれる。２０１４年には２０１０年比１２４．５％の１，９２０億円が見込まれる。


＜調査対象＞
　※添付の関連資料を参照

＜調査方法＞
　富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業、関連団体などへのヒアリング調査

＜調査期間＞
　２０１１年５月〜８月


以上


資料タイトル　：「２０１１年　注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」
体　　　　裁　　：Ａ４判　２６６頁
価　　　　格　　：１３０，０００円　（税込み１３６，５００円）
　　　　　　　　　　電子版セット価格　１５０，０００円　（税込み１５７，５００円）
調査・編集　　：富士経済　大阪マーケティング本部　第一事業部
　　　　　　　　　　ＴＥＬ：０６−６２２８−２０２０　　ＦＡＸ：０６−６２２８−２０３０
発　行　所　　：株式会社　富士経済
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