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富士経済、国内免疫血清検査市場の調査結果を発表

2011-10-18

国内免疫血清検査市場の調査を実施

―2011年の市場は前年比3.3%増の1,772億円―
BNPやNT‐proBNP、GHbA1c、プロカルシトニン、抗CCP抗体、MMP−3などが拡大を牽引


 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、2011年6月より国内の臨床検査市場を網羅する調査を開始した。調査は4回に分けて行い、今回はその第一回目として免疫血清検査(イムノアッセイ検査)の市場を調査した。その結果を報告書「2011 臨床検査市場 No.1(イムノアッセイ市場)」にまとめた。
 この報告書では、免疫反応(抗原抗体反応)を用いる免疫血清検査(免疫反応を用いる血液凝固・線溶系の検査については除外、別途調査)の検査数と検査薬市場、検査装置市場を検査分野毎に、また、測定方法毎に分析し、将来を予測した。
 検査分野は輸血検査、癌マーカー、ホルモン、感染症、自己免疫疾患、血漿蛋白、TDM(血中薬物濃度検査)、その他に分類した。また、測定方法はEIA、FIA、化学発光、LA定量、RIA、TIA、NIA、LA凝集、赤血球凝集、PA、CG(イムノクロマト)、その他に分類した。

<調査結果の概要>
1.免疫血清検査の検査薬市場

   2010年   前年比   2011年見込   前年比
 1,716億円  91.9%   1,772億円  103.3%

 2010年の市場は前年比8.1%減の1,716億円となった。EIAの普及期、EIAから化学発光への移行期に市場は、ユーザー層の拡大、新規参入等により年率5〜7%程度の高成長を続けてきたが、近年は市場の成熟により低成長となってきている。有望な新規検査項目は高成長期に比べ減少しており、たとえ大きく伸びる検査項目が登場しても市場の拡大に大きく貢献するのは難しい状況である。しかし、2009年は新型インフルエンザが大流行したことによりインフルエンザ迅速検査キットの実績が例年の約2倍に急伸し、市場が大きく拡大した。この拡大により検査薬の全体市場も顕著に拡大した。2009年の市場が例外的に拡大したことにより、インフルエンザの流行が例年並みであった2010年は大きなマイナス成長となっている。2011年は前年比3.3%増が見込まれ、2012年以降は年率2%前後の市場成長が予測される。

 インフルエンザの流行は市場の拡大・縮小に大きな影響を与える。インフルエンザ迅速検査キットの実績を除外すると、市場は年率3%程度のプラス成長を続けている。心不全マーカー(検査項目)のBNPやNT‐proBNPの普及が進んでおり、糖尿病マーカーのGHbA1cも患者数の増加、特定健診の普及により実績が拡大している。また、ホルモンや感染症分野では新規マーカーのプロカルシトニンやPOC(Point of care)関連検査の普及が進み、自己免疫分野ではリウマチマーカーの抗CCP抗体、MMP−3の普及が進んでいる。
 一方、既に普及飽和した検査項目の市場は価格競争により伸び悩んでいる。

1−1)主な検査分野の検査薬市場

             2010年  前年比   2011年見込  前年比
 癌          329億円 102.5%   338億円  102.7%
 ホルモン      294億円 105.8%   310億円  105.4%
 感染症       599億円  77.2%   615億円  102.7%
 自己免疫疾患   158億円  98.1%   162億円  102.5%

◆癌
 市場の27%を便潜血が占める(2010年)。便潜血に次ぐのがCEA、AFP、CA19−9である。2007年に保険適用となった抗p53抗体の動向が注目されるが、PIVKA−IIやPSA 、CA19−9などの既存の検査項目も堅調に拡大するとみられる。
 測定方法別にみるとLA凝集が便潜血で定着しているほか、EIAで一部の健闘が見られるが、全体的には化学発光の構成比が高まっている。

◆ホルモン
 市場の20%をBNPが占める(2010年)。心不全マーカーとして定着しているが、近年ではNT−proBNPも急成長している。NT−proBNPは欧州心臓会議等で高い評価を受けるなど、今後も普及拡大が予想される。また、プロカルシトニンも救急医療現場において検査ニーズが拡大している。

◆感染症
 2010年の市場はインフルエンザの流行が例年並みであったことから前年比22.8%減の599億円となった。従来は肝炎ウイルス関連の検査項目が中心の市場であったが、インフルエンザ迅速検査キットをはじめとするPOC検査、ヘリコバクター・ピロリノロウイルスなどの検査項目が伸びている。
 今後は肝炎ウイルス関連の検査数が横ばいになってくると予想される。また、インフルエンザ迅速検査キットのさらなる価格低下が懸念される。しかし、定性法からより高感度な定性法や定量法への移行により全体的な検査単価は上昇するため、市場は拡大すると予想される。

◆自己免疫疾患
 花粉症をはじめアレルギー診断に欠かせない特異IgEが市場の60%以上を占める(2010年)。近年では関節リウマチ診断に有効な抗CCP抗体が化学発光やイムノクロマトで製品投入され伸びている。
 今後も特異IgEが中心となって市場を牽引していくと考えられる。また、抗CCP抗体の検査ニーズも益々高まっていくと考えられる。


1−2)主な測定方法の検査薬市場

          2010年   前年比    2011年見込   前年比
 EIA      335億円   97.1%    335億円   100.0%
 化学発光   602億円  107.5%    637億円   105.8%
 LA定量    204億円  104.6%    213億円   104.4%
 CG       280億円   61.1%    293億円   104.6%

■EIA
 RIA、化学発光、そしてEIAが、高感度定量の主要な測定方法である。EIAは装置を導入する必要はあるものの、RIAのように放射性同位元素を使用しないため専用設備は不要であり、検査センターや特殊な病院のみならず一般病院にも採用され広く普及してきた。現在はさらに高感度な化学発光に移行しているが、それに匹敵する高感度なEIAは依然拡大している。

■化学発光
 より高感度・迅速な測定方法として開発されたのが化学発光である。参入企業はEIAとほぼ同じであり、各社とも事業の力点をEIAから化学発光に移している。当初、検査項目の品揃えの進め方は各社各様であったが、現在は癌マーカー、ホルモン、感染症をはじめ、各社ともにほぼ同じ検査項目を揃えている。また、ユーザーの施設規模に合わせ各社とも小型から大型の専用検査装置を発売している。さらに、生化学検査装置と化学発光の装置を結合させた検査システムも提案している。

■LA定量
 LA定量は、血漿蛋白(CRP)、感染症(梅毒)、GHbA1c、TDM等の検査数の割合が大きい。LA定量装置の専用検査薬と自動化学分析装置用の汎用検査薬があり、近年は簡便で迅速に定量検査ができることから汎用検査薬が伸びている。

■CG
 CGは、操作の簡便性、精度の高さ等で、他の定性法のニーズを取り込み、検査数を伸ばしている。2009年にインフルエンザ迅速検査のCGキット(検査薬)の市場が急拡大し、POC検査の有効性が示されたかたちとなった。各社とも、インフルエンザに続く有望項目を模索している。


<注目検査薬の動向>
1.BNP、NT−proBNP

             2010年   前年比   2011年見込  前年比
 BNP        59.2億円 109.4%   63.6億円 107.4%
 NT−proBNP  12.0億円 151.9%   14.5億円 120.8%

 BNPは入院中の患者に対し、急性心不全又は慢性心不全の急性増悪時の病態把握のための検査として、1996年に保険適用された。最初はRIAのキットが発売され、検査数を伸ばした。2003年以降に化学発光やEIA、イムノクロマトのキットが発売され、普及拡大している。一方、NT−proBNPは2007年に保険適用された。同時にBNP、NT−proBNPの保険適用範囲が拡大し、心不全診断への使用が認められた。
 臨床的な性能においては甲乙つけがたい。事実、BNPの実績は後発のNT−proBNP発売以降も伸び続けている。BNPとNT−proBNPは測定ニーズが高く、今後検査装置を新規又は更新で購入する場合にはBNPまたはNT−proBNPを測定できることが検査装置選択のポイントの一つになると思われる。

2.抗CCP抗体、MMP−3

            2010年   前年比    2011年見込  前年比
 抗CCP抗体   4.5億円  112.5%     5.1億円  113.3%
 MMP−3   11.2億円  116.7%    12.3億円  109.8%

 抗CCP抗体は感度、特異性に優れているのが特徴であり、特に特異性が他マーカーに比べて高く、2007年に保険適用された(EIA)。診察、リウマチ因子測定、画像診断等の結果から、関節リウマチと確定診断できない者に対して診断の補助として検査を行った場合に算定できる。保険適用前からリウマチに特化した一部の医療機関において保険外の検査が実施されており、保険適用とともに億単位の市場を形成した。現在は化学発光やCGでの製品投入が相次いでおり伸びている。
 関節リウマチの病状の把握、薬剤投与の効果判定では、直接関節軟骨破壊に関与するMMP−3測定の普及が進んでいる。薬剤の投与効果判定で繰り返し測定されるため、大きな市場を形成している。


<調査対象>
検査分野:輸血検査、癌、ホルモン、感染症、自己免疫疾患、血漿蛋白、TDM(血中薬物濃度検査)、その他
測定方法:EIA、FIA、化学発光、LA定量、RIA、TIA、NIA、LA凝集、赤血球凝集、PA、CG(イムノクロマト)、その他

<調査方法>
 富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献を併用

<調査期間>
 2011年6月〜9月


以上


資料タイトル:「2011 臨床検査市場 No.1(イムノアッセイ市場)」
体    裁 :A4判   353頁
価    格 :200,000円(税込み210,000円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第ニ事業部 
         TEL:03−3664−5821  FAX:03−3661−9514
発 行 所 :株式会社 富士経済
         〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
         TEL03−3664−5811(代) FAX 03−3661−0165
         e−mail: info@fuji-keizai.co.jp
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