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清水建設、介護支援システム「高齢者見守りシステム」を開発

2011-10-14

高齢者見守りシステムが居室内の高齢者の行動を見える化

〜介護の質向上と介護負担の軽減を両立〜


 清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、高齢者に対する介護の質向上と介護負担の軽減を目的に、センサを用いて居室内における高齢者の行動を見える化し、必要な時にはナースコールなどの報知器を発報させる介護支援システム「高齢者見守りシステム」を開発しました。早ければ年度内にも商品化し、(株)ケアコムを通じて1セット(プログラムとセンサ1台)40万円程度での外販を検討中です。

 わが国の要支援者、要介護者の数は全人口の5%近くに相当する450万人に達しています。このため、十分な数の介護者を確保することが難しく介護の質が懸念される一方、介護者の負担軽減が喫緊の課題になっています。また、全世帯の8%が65歳以上の独居者で占められているという統計データもあり、孤独死をはじめとする居室内での事故防止が課題となっています。「高齢者見守りシステム」はこうした課題を踏まえて開発したものです。

 本システムは、居室内の入隅部に設置する3次元距離センサと、センサが認識する人間の3次元空間座標及びその動きとスピードから入床、離床や転倒といった行動を認識するプログラムで構成されています。3次元距離センサは、照射した赤外線が戻ってくる時間を計測することでセンサと対象物の距離を算出する測定器です。本システムの採用に当たっては、3次元距離センサで取得した距離情報をもとに居室の空間形状を示す3次元座標データを作成します。プログラムは、特定の方向に照射している赤外線の反射時間が短くなることでヒトの入室を認識し、反射時間が変化した赤外線の照射方向と反射時間からヒトの3次元座標を認識します。

 認識できる行動は、入・退室、入床、離床、ベッドからの起き上がり・転落、転倒、歩行です。プログラムは、ヒトの頂点(頭)および重心の座標の動きとスピード、両座標とベッドの位置との関係からヒトの行動を認識するというロジックを採っています。例えば、ベッドからの起き上がりを認識する場合の条件は、頂点の座標がベッドの高さから徐々に上がり、ベッドの高さから50cmを超えて1秒以上が経過し、かつ頂点と重心がベッドの領域内に収まっているということになります。転倒を認識する場合の条件は、高さ100cmを超えていた頂点または重心の座標が突然40cmを下回り、かつ両方の座標がベッドの領域外に出ているということになります。起き上がりの認識は徘徊防止に、転倒・転落の認識は迅速な事故対応に欠かせないことから、これらの行動を認識した場合にはリアルタイムに緊急通報を発して介護者に通知します。

 本システムの具体的なメリットは次の通りです。

 起き上がりを検知して通知することで介護者による迅速な徘徊対応ができるとともに、徘徊防止の為に介護者にかかる負担を軽減できます。 
 転倒など居室内での事故発生を直ちに通知でき、介護者による事故対応を素早く行うことができます。また、頻繁に転倒を繰り返す高齢者に対しては、転倒時の行動を分析し、転倒原因を把握し対策を講じることで、転倒の予防が可能になります。 
 高齢者を映像として認識するのではなく、座標として認識するので、高齢者のプライバシーを守りつつ、精度の高い監視ができます。 
 このように、本システムにより、介護の質が向上し高齢者と介護者の安心感が向上するとともに、介護負担を軽減することができます。


以上


※ 関連資料参照
 部屋の入隅に据え付けたセンサ(左)とシステム構成(右)
 起き上がりや転倒を把握するロジックの説明図

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プライバシー 清水建設 見える化 赤外線 孤独死

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