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東京商工リサーチ、全国ビアガーデン状況の調査結果を発表

2011-09-23

全国ビアガーデン状況調査
〜来店客半数が昨夏に届かず〜



 全国の主なビアガーデンの半数は、来客数が昨年夏に届かなかった。“夏の風物詩”の一つだったビアガーデンも、景気低迷や消費者の嗜好が変化するなかで、曲がり角にきているようだ。
 ビアガーデンの営業に最も影響を及ぼす天気は、8月中旬まで前年並みの猛暑が続いたが、後半は台風や涼しい日が多かった。だが、天候不順は地域により異なり、天候に恵まれた北海道や北陸、中国の3地区では客足が伸びた。規模別では300席以上の大型店が好調だったが、生き残りをかけて大々的な広告、料理の工夫、さらには女性客を取り込むアノ手コノ手のイベント企画など、模索が続いている。
 東京商工リサーチでは、全国の主要ビアガーデンを対象にアンケート調査を実施し、141店から有効回答を得た。


<小規模店は苦戦大規模店では来客増>
 回答のあったビアガーデンの席数は最多が2,400席(北海道)最少が10席(福島県)だった。1店あたりの平均は285席。規模別での増減状況を見ると300席未満の89店では「増加」(20%以上)、「やや増加」(5〜20%)36店(構成比41.3%)、「変化なし」24店(同27.5%)、「減少」29店(同33.3%)だった(未回答2店を除く)。
 300席以上の大型店では「増加」25店(同50.0%)、「変化なし」が9店(同18.0%)、「減少」が14店(同28.0%)となり、300席以上の大型店で来客数の増加が目立った。
 「席数を増やしたことが来客増加に繋がった」と回答した4店のうち2店は400席以上の規模だったが、より広いスペースで収容力を確保したことが来客増の1つの要因となったようだ。

 [席数分布/来客数、席数分布]

  ※添付の関連資料「表・グラフ資料」を参照


<全国的には苦戦気味北海道、北陸、中国地区では来客増>
 地区別では北海道、北陸、中国の3地区で「増加」が過半数を占めた。この3地区は比較的好天に恵まれた地区だった。ほかの地区では、特に夏の後半で気候が「涼しかった」、台風襲来などの「天候不安定」により増加と減少が拮抗した。


<客足増加理由は気温休日パターンの変更が寄与した地区も>
 来客が増加した61店中、理由として「暑かった」を22店が1位要因とした。2番目の要因とする店も6店あり、61店のうち28店(構成比45.9%)が「暑かった」ことを理由にあげている(「減少」、「変わらず」の理由では11店が回答、構成比14.4%)。
 このほか増加理由としては、「店舗・会場のリニューアル」(北海道、関東、中部地区)、「開店からの営業年数による知名度アップ」(関東、中部、近畿地区)、「自動車産業の休日変更」(中国地区)、「口蹄疫事件の反動」(九州地区)、「火山灰が少なかった」(九州地区)、「広告や料理充実などの営業努力」(北海道、関東、北陸、近畿、中国、四国、九州地区))など。
 天候が来客数を左右しがちだが、自助営業努力により集客に努める姿勢もうかがえた。
 一方、今夏は電力不足に伴い、製造業を中心に休日パターンの変更を実施したところも散見された。「休日の変更が来客に影響した」と答えた17店のうち、増加理由の1位にあげた店は7店、2位、3位としたところを含めると12店(同70.5%)だった。特に中国地区では地元の自動車メーカー、マツダの休日パターン変更が来客増に繋がった。

 〔来客の増減/変動要因〕

  ※添付の関連資料「表・グラフ資料」を参照


<営業時間の変更は1割効果は限定的>
 サマータイム導入などの企業の動きに伴って営業時間を変更したのは、137店(無回答4店を除く)のうち14店(構成比10.2%)にとどまった。変更の程度も開店・閉店ともに最大1時間だった。14店の来客数の増減を見ると、「増加」1店、「やや増加」5店(合計6店の構成比42.8%)である一方、「やや減少」が5店、「減少」が1店(同42.8%)となった(未回答2店)。
 1時間程度の延長による効果は限定的といえる。
 123店(構成比89.7%)は営業時間を変更しなかったが、「メニュー充実やイベント開催」、「広告実施」などの営業努力により55店が来客増(「増加」8店、「やや増加」47店、合計構成比44.7%)となった。しかし32店(同26.0%)は「変わらなかった」、29店は「やや減少」、7店は「減少」(合計構成比29.2%)とし、営業時間以外の要素が大きかったことが分かる。

 [営業時間変更の状況/営業時間の変更]

  ※添付の関連資料「表・グラフ資料」を参照


<客単価は2割が増加・1割が減少>
 客単価は、136店(無回答の5店を除く)中、96店(構成比70.5%)が「変化なし」(±5%)と回答。集客のため「飲み放題コースの設定」、「多媒体での広告」、「前売りチケット」などの努力は見られたものの、単価アップに繋げることができなかった。
 「増加」(20%以上)3店と「やや増加」(5〜20%)24店の合計は27店(同19.8%)。「料理メニューの見直し」(北海道、関東、中国、四国、九州地区)、「イベント開催」(関東、四国、九州地区)、「雨天対策」(北海道、四国地区)など、各店の営業努力が奏功した。

 [客単価の増減/客単価〕

  ※添付の関連資料「表・グラフ資料」を参照



 今年8月のビール大手5社のビール類出荷量は、下旬の気温低下や台風により92年以降最低だった。気候に左右されがちなビアガーデンでは、特にシーズン前半は好天に伴う「暑さ」に恵まれ、概ね好調な結果となったものの、後半では冷夏や台風襲来などに見舞われた。こうしたなか、各店ではメニューやサービスの充実、お徳感のある料金設定など独自性を打ち出すことにより集客に努めている姿が垣間見えた。
 客の取り込み手段としての回答では、「女性向けの料理と飲料の充実」(東北、中国、四国地区)、「浴衣の女性を対象とするキャンペーン」(関東、四国地区)、「レディースデーの実施」(関東、北陸、近畿、中国地区)、「女性向け週替わりイベント」(九州地区)、「女性割引」(九州地区)など、女性を意識した姿勢が目立った。
 今後も店側の営業努力により、客数増加に向けての競争が拡大しそうだ。天候という大前提に加え、いかに創意工夫を重ねるかによって客足に変動が起こっている。これからのビアガーデンは、ニーズに合致したサービス提供による差別化で、来店客をつかめるかどうかの岐路に立っている。


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