イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

産総研、室温で高いリチウムイオン伝導性を示すセラミック電解質シートを開発

2011-09-20

次世代蓄電池用セラミック電解質シート
−高いリチウムイオン伝導率を示す柔軟で薄い大面積シート−



<ポイント>
 ・耐水性・熱安定性が高く、室温で1×10−3 S/cmのリチウムイオン伝導率を実現
 ・従来品に比べて製造エネルギーを大幅に低減
 ・次世代蓄電池として期待されるリチウム−空気電池開発を加速する可能性


<概要>
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)先進製造プロセス研究部門【研究部門長 村山 宣光】機能集積モジュール化研究グループ 濱本 孝一 研究員および藤代 芳伸 研究グループ長は、室温で高いリチウムイオン伝導性を示す、セラミック電解質シートの開発に成功した。

 今回、開発したセラミック電解質シートは、新たな焼成プロセス技術によって従来困難であった粒界抵抗の低減を実現し、室温で高い総合伝導率(1×10−3 S/cm)を示す。また、大面積で薄い電解質シートを従来よりも少ない製造エネルギーで作製することができる。このため、安全性の高い全固体型のリチウムイオン電池用のセラミックス電解質として期待される。さらに、耐水性に優れているため、次世代蓄電池として期待されているリチウム−空気電池の電解質材料として利用でき、高性能蓄電池開発を大きく加速させる期待ができる。

 ※参考図は添付の関連資料を参照


<開発の社会的背景>
 リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度や高電圧などの優れた特性をもつため、小型携帯型情報端末機器で広く利用されている。今後は、自動車等の輸送機器、電力貯蔵・負荷平準化、産業用機械・工作機械等に、大型リチウムイオン電池の本格的な使用が予想され、より一層の安全性確保が求められている。リチウムイオン電池の安全性向上には、固体電解質の利用が有効と考えられている。中でもセラミック電解質は、高密度で不燃性や長期安定性に優れるため、その応用が期待されている。現状では有機電解質並みの高いリチウムイオン伝導性をもつ硫化物系セラミック電解質が有望視されているが、薄膜等での機械的強度が低いこと等、大型化への課題が残っている。また、耐水性が低いため次世代の高性能電池として期待されているリチウム−空気電池への応用は難しいと考えられる。

 セラミック電解質の中で、例外的に耐水性の高い材料として、NASICON型の結晶構造をもつLTAP系のガラスセラミック電解質が開発されているが、それを材料とした既存の製品では、結晶粒子内部のリチウムイオン伝導性は高いものの結晶粒子間の伝導性が低いために、多結晶体としての総合伝導率が室温で1×10−4 S/cm程度と低いことが問題であった。このため、実用化に向けて伝導率の向上が望まれていた。さらに、製造エネルギーが大きいこと、大面積で薄く平坦なシート状の材料の作製が難しいなどの問題もあった。


<研究の経緯>
 産総研では、イオン伝導性をもつセラミックスに着目して、次世代自動車用や移動体向けの小型電源として応用可能な、新規ハイブリッド電源技術に関する研究を行っている。これまでに、酸化物イオン伝導性セラミックスを利用した高性能マイクロSOFC技術(Science 2009、産総研TODAY 2011 Vol.11 No.08)など、多種類の燃料を利用できる高効率エネルギー変換技術を開発している。今回、これらと組み合わせて使用する革新的蓄電池のための、室温で高いリチウムイオン伝導性を示し、耐水性のある大面積シート状セラミック電解質の製造プロセス技術の研究開発を行った。



※以下、「研究の内容」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照


Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版