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富士経済、スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望を発表

2011-09-17

スマートコミュニティ関連市場の現状と今後を予測

―2020年の国内市場―

最も市場規模が大きいのが電力貯蔵領域  1兆2,023億円

最も伸び率が高いのが次世代交通関連領域  2010年比47.6倍


 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、新しい社会インフラ「スマートコミュニティ」を構成するシステム/サービスの市場を調査した。その結果を報告書「スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望 2011」にまとめた。

 この報告書では、スマートコミュニティ関連としてクリーンエネルギー領域7品目、電力貯蔵領域4品目、系統・受配電・インフラ関連領域4品目、次世代交通関連領域5品目、構成要素技術領域5品目、エネルギーマネジメント領域4品目、スマート交通領域2品目、合計7領域31品目のシステム/サービス市場を調査分析した。

 スマートコミュニティとは、電気や熱、未利用エネルギーを含めたエネルギーを地域単位で統合的に管理し、交通システム、市民のライフスタイルの転換が複合的に組み合わさる地域社会であり、低炭素政策や再生可能エネルギーの活用に加え、「安全・安心」と「地域の復興」という役割をもつ。


<調査結果の概要>

― 国内スマートコミュニティ関連市場 ―

 領域                 2010年     09年比   2020年予測      10年比

 クリーンエネルギー      2,693億円    155.8%     8,977億円    333.3%

 電力貯蔵            4,249億円    107.6%  1兆2,023億円    283.0%

 系統・受配電・インフラ関連    536億円   115.8%       490億円     91.4%

 次世代交通関連          126億円    237.7%    5,995億円   4,757.9%

 構成要素技術           889億円    184.1%     4,913億円    552.6%

 エネルギーマネジメント      434億円    104.1%       485億円    111.8%

 スマート交通              1億円        ―           5億円   500.0%


■クリーンエネルギー領域
 2020年の市場は2010年比3.3倍の8,977億円が予測される。今後も市場拡大を牽引するのは太陽光発電システムの伸びである。また、2020年に向け最も伸び率が高いのが燃料電池コージェネ(定置用燃料電池システム)である。業務・産業施設向け中心であったSOFC(固体酸化物形燃料電池)が家庭向けに2011年秋から本格投入される予定である。SOFCは現行のPEFC(固体高分子形燃料電池)と比較して発電効率が高く、省スペース性にも優れることから普及が期待される。

■電力貯蔵領域
 2020年の市場は2010年比2.8倍の1兆2,023億円が予測される。その8割をEV/PHVのバッテリー用途を中心に伸長するリチウムイオン電池が占める。リチウムイオン電池はその用途以外に定置型電池用途が注目されており、価格面での課題はあるが今後市場が本格化すると予想される。NAS電池はスマートコミュニティの電力需給調整用途が期待される。

■系統・受配電・インフラ関連領域
 2020年の市場は2010年比縮小が予測されるが、柱上変圧器が太陽光発電の大量導入による電圧上昇対策として採用が進むとみられる他、超電導状態(抵抗ゼロ)になる材料を用い、大容量の電力を低損失で送電可能な超電導電力ケーブルが早ければ2016年頃からの実用化を目指している。
 自動電圧調整器では配電系統に接続される電圧・電流センサや分散発電側情報をICTにより監視、制御する開発が行われている。また、無効電力補償装置(Static Var Compensator)は低コスト・コンパクト化に向けた取り組みが進められている。

■次世代交通関連
 2020年の市場はEV/PHVの伸びにより2010年比47.6倍の5,995億円が予測される。EV/PHVはそのバッテリーをピーク時間帯の電力網の負荷を軽減するバッファとして利用することが可能で、且つバックアップ電源としても注目される。また、燃料電池自動車も70〜100kWの発電能力があることから、今後はV2G/V2H構想のなかでEV/PHVと同様に分散電源としての可能性を秘めている。国内ではV2Hが先行すると予想され、2013年前後にV2H対応住宅が登場すると予測される。

■構成要素技術領域
 2020年の市場は2010年比5.5倍の4,913億円が予測される。スマートメーターは電力、ガス共に2013年頃から普及が進むと予想される。パワーコンディショナは住宅用太陽光発電向け中心の拡大が期待される。高速PLC(Power Line Communications)はPLCモデムへの搭載のほか、電力モニタ通信、IPカメラ通信などの通信デバイスとしても注目される。一方、低速PLCは、産業用電源監視システムをはじめ、遠隔施錠/遠隔監視システム、スマートメーター、BEMS(Building Energy Management System)などへの採用が期待される。WiMAX、ZigBeeモジュールは、スマートメーター等の通信基盤としての採用が期待される。ZigBeeモジュールに関しては、家電等を制御する通信手段として携帯端末への採用も期待される。

■エネルギーマネジメント領域
 市場の90%以上を占めるBEMSとFEMS(Factory Energy Management System)は、エネルギー管理機能を強化したシステムや効率的な運営をサポートするシステムへのニーズが拡大しており、今後も堅調に伸長するとみられる。HEMS(Home Energy Management System)は、家電や照明、メーター等の機器の、主に「見える化」(一部はそれらを制御)として導入されているが、今後は予測を含めた自動制御システムとしての導入が進むとみられる。また、無線ネットワークを利用した安価で簡易なシステムが増え、既築住宅への導入が進むと期待される。
 スマートコミュニティ内のエネルギーの最適化や低炭素化などを図る配電系統の基盤システムとして期待されるCEMS(Community Energy Management System)は現在実証中であり、2016年から2020年頃に導入が始まるとみられる。

■スマート交通領域
 市場はバッテリー交換ステーションを対象としている。ベタープレイスが米国やイスラエル、デンマーク、オーストラリアで展開しており、日本でも経済産業省・資源エネルギー庁の支援のもと、2010年に日本交通と協力しバッテリー交換式EVタクシーの実証事業を実施、バッテリー交換ステーションをはじめ、EVタクシー、バッテリーなどの実証実験を終えている。エコタウン構想などを持つ、環境負荷低減志向の強い自治体が導入を進め、市場が立ち上がると予想される。


<注目市場>

1.燃料電池コージェネ

 2010年  150億円(09年比107.9%)   2020年  3,185億円(10年比2,123.3%)

 ここでは家庭や業務施設、産業施設で使用される「定置用」のPEFC、SOFC、PAFC(りん酸形燃料電池)を対象としている。PEFCは日本、SOFC、PAFCは海外が先行している。
 PEFCは2009年から「エネファーム」が発売されており、家庭向けが大部分を占めている。各社とも技術開発や量産によって低価格化を図っており、2011年に低価格品が投入され、2012年にも更なる低価格品が投入される予定であることから、出荷台数は増加すると予想される。SOFCは2011年からJX日鉱日石エネルギーをはじめ各社から10kW未満の小型システムの製品投入が本格化している。10kW以上のシステムでは、三菱重工業がマイクロガスタービンと組み合わせた業務・産業用のシステムを開発中であるが、市場への投入は2015年以降になると見られる。PAFCの用途は、ほぼ業務・産業用の大型システムに限定され、システムが高額となることから急激な増加は見込めない。今後は技術革新による低価格化が期待される。

2.大型リチウムイオン電池
 2010年 136億円(09年比469.0%)  2020年 9,454億円(10年比6,951.5%)
 ここではHV、PHV、EV向けや電動自動二輪車、定置用大型電池などのスマートコミュニティのインフラとして利用される大型チウムイオン電池を対象としている。市場は、EV市場の本格化や、HV・PHVに搭載されるバッテリーのリチウムイオン電池化によって大きく拡大すると予測される。
 今後新たに市場拡大が期待されるのは定置型電池用途である。普及が進む太陽光発電システムなどの余剰電力対策として定置型電池が注目されており、東日本大震災後は電力不足への懸念からその注目度が更に高まっている。太陽光発電システムの普及状況から市場が本格化するのは2015年前後とみられる。

3.電力・ガス用スマートメーター
 2010年 142億円(09年比308.7%)  2020年 2,675億円(10年比1,883.8%)
 ここでは、通信機能付き電力用メーターとガス用メーター(超音波式ガスメーター)を対象としている。電力用は電力会社とリアルタイムで電力料金や使用量などのデータをやり取りするほか、家電製品と繋げて制御する。一方、ガス用はリアルタイムでガス料金や使用量などのデータをやり取りするほか、ガス漏れ検知器や火災報知器などと連携し、ガス供給を遠隔停止できる。
 試験段階ではあるが電力用の導入が先行している。ガス用も比較的早期から取り組まれてきたが、データ送信にアナログの電話回線を使用していることが阻害要因となっており、拡大には至っていない。本格導入が始まるのは電力・ガス用共に2013年頃からと予想される。
4.太陽光発電用パワーコンディショナ
 2010年 600億円(09年比147.4%)  2020年 1,300億円(10年比216.7%)
 太陽光発電システムの市場は、住宅用が2009年の補助金制度復活と新たな電力買い取り制度開始、非住宅用が「新エネルギー等導入加速化支援対策事業」やスクールニューディール構想により拡大し、これに伴いパワーコンディショナの市場も拡大してきた。2011年の太陽光発電システムの市場は住宅用が引き続き堅調であるが、非住宅用は支援対策事業における新規の助成が打ち切りとなり、前年を下回るとみられる。そのため10kW未満の住宅用太陽光発電システム向けパワーコンディショナは増加するが、10kW以上の非住宅用太陽光発電システム向けパワーコンディショナは減少が見込まれる。
 今後は再生可能エネルギーによる電力の全量買い取り制度がどのように進むかで太陽光発電システム市場の伸び方が変わり、それに伴いパワーコンディショナの需要が左右される。また、スマートコミュニティの進みかたによっても需要の拡大幅が変化するとみられる。


以上

<調査対象>
 調査対象品目
  クリーンエネルギー領域(7品目)
   太陽光発電、小型風力発電、風力発電、小型水力発電、バイオマス・廃棄物ガス化発電、未利用エネルギー(太陽熱・地熱)、燃料電池コージェネ
  電力貯蔵領域(4品目)
   NAS電池、ニッケル水素電池リチウムイオン電池、鉛電池
 系統・受配電・インフラ関連領域(4品目)
  超電導電力ケーブル、柱上変圧器、自動電圧調整器(SVR)、無効電力補償装置(SVC)
 次世代交通関連領域(5品目)
  EV/PHV、燃料電池自動車、普通・急速充電器、水素ステーション、V2G/V2H
 構成要素技術領域(5品目)
  スマートメーター(電力・ガス)、パワーコンディショナ、PLC(電力線搬送通信)モジュール、WiMAXサービス、ZigBeeモジュール
 エネルギーマネジメント領域(4品目)
  HEMS(Home Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)、CEMS(Community Energy Management System)
 スマート交通領域(2品目)
  充電インフラシステム(充電インフラ+課金)、バッテリー交換ステーション

<調査方法>
 富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献を併用

<調査期間>
 2011年5月〜8月

資料タイトル:「スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望 2011」
 体裁:A4判 320頁
 価格:100,000円 (税込み105,000円)
 電子版セット価格 120,000円(税込み126,000円)
 調査・編集:富士経済 東京マーケティング本部 第三事業部
         TEL:03−3664−5821  FAX:03−3661−9514
 発行所:株式会社 富士経済
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL03−3664−5811(代)
       FAX 03−3661−0165
       e−mail:info@fuji−keizai.co.jp

この情報はホームページでもご覧いただけます。
 URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
     https://www.fuji-keizai.co.jp/

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