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帝国データバンク、「円高関連倒産」の動向調査結果を発表
第2回:「円高関連倒産」の動向調査
8月の円高関連倒産、今年最多
〜2011年1〜8月の累計は34件、前年同期比21.4%の増加〜
<調査結果(要旨)>
1.2011年8月の「円高関連倒産」は8件判明し、1月の7件を上回り、今年最多を記録した。2011年1〜8月の累計は34件(前年同期28件)で、前年同期比21.4%増となり、集計開始の2008年以降で最多だった2010年を上回るペースで推移している
2.倒産原因別では、8月も「デリバティブ損失」が8件中4件を数え、全体の半数を占めた。以下、「受注減少」(3件)、「輸出不振」(1件)が続いている
3.業種別では、8月は「製造業」が8件中3件を数えた。これに「卸売業」(2件)が続いており、上記2業種の関連倒産が依然として目立つ
※前回調査は、2011年8月8日
*下記表資料は、添付の関連資料を参照
・「円高関連倒産」の推移
・主な「円高関連倒産」(2011年8月)
・「円高関連倒産」原因別分類
・「円高関連倒産」業種別分類
<今後の見通し>
「円高関連倒産」は、前年12月の12件をピークにその後は小康状態が続いていたが、ここにきて再び増加に転じた。8月19日に戦後最高値を更新した円相場は、9月も依然76〜77円台の高値圏で推移している。現在の円高水準が続けば、大企業による海外シフト、取引先の輸出企業からの値下げ要請、海外企業との競争激化等を通じて、企業収益を圧迫しかねない。国内輸出企業3万3083社の約6割が、年商10億円未満の中小企業だ。業績が判明したうち約3割の企業が直近決算で赤字を計上しており、もともと厳しい中小企業の経営に今回の円高がさらなる追い討ちをかける。野田内閣は円高・空洞化対策を急ぐが、企業を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しており具体化が急務である。震災や原料高の影響も大きく、これから秋以降、年末にかけてこれまでの円高局面で疲弊している中小企業を中心に関連倒産が相次ぐおそれもある。2011年の「円高関連倒産」は前年の58件を上回り、集計開始の2008年以降で最多となる可能性も出てきた。
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