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東京商工リサーチ、「全国女性社長」に関する調査結果を発表
2011年「全国女性社長」調査
名前は「和子」社長が最多女性社長率は「西高東低」の傾向
全国約233万社のうち10人に1人が女性社長だった。女性社長の産業別では飲食業などのサービス業他が約4割を占めた、また小売業や不動産業でも比率が高かった。出身校では日本大学が2年連続トップで、女性社長の名前では「和子」社長が最も多かった。
本調査は、東京商工リサーチの約233万社の代表者データ(個人企業を含む)から女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を24万3,632人(前年21万2,153人)を抽出した(調査時点2011年7月)。調査は前年に続いて2回目。
都道府県別の女性社長数最多は東京最少は鳥取
都道府県別で女性社長が最も多かったのは、東京の6万845人(前年5万3,119人)で2年連続トップだった。次に大阪2万1,645人(同1万8,235人)、神奈川1万6,447人(同1万4,911人)、愛知1万2,223人(同1万823人)の順で前年と順位が変わらず。これに対して女性社長数が少なかったのは、鳥取895人、島根1,038人、佐賀1,214人、福井1,215人だった。
企業の「女性社長率」全国平均が10.4%
女性社長数と企業数を対比した「女性社長率」は、全国平均が10.4%(前年10.1%)で前年より上昇し、都道府県別で全国平均を上回ったのは14都府県だった。
「女性社長率」の比率が最も高かったのは東京の12.9%(前年12.7%)だった。以下、神奈川11.7%、福岡11.5%、大阪11.4%と大都市圏が続き、これに千葉11.2%、兵庫11.1%、徳島11.02%、岡山11.00%の順となった。
これに対して比率が低かったのは、岐阜6.7%、石川7.12%、新潟7.17%、長野7.17%、山形7.2%の順だった。都道府県別では、大都市圏を除けば東日本に比べ、西日本の比率の高さが目立ち、「西高東低」の傾向がうかがえる。
産業別構成比サービス業他が約4割を占める
女性社長の産業別構成比では、最も比率が高いのが飲食業や教育関連などを含むサービス業他の37.1%(前年34.8%)だった。次いで、小売業16.0%(同16.2%)、不動産業14.1%(同14.4%)、建設業9.6%、製造業7.6%、卸売業7.5%と続く。
約233万社の代表者データ全体では、サービス業他が27.2%、建設業22.1%、小売業12.9%、製造業11.6%の構成比だったのと比べ、女性社長の10人に約4人が「サービス業他」だったほか、「小売業」や「不動産業」での比率の高さが目立った。
女性社長の出身大学日本大学が最多
女性社長の出身大学別では、トップが日本大学の210人(前年192人)で2年連続トップ。2位(前年3位)が慶応義塾大学の199人。3位(同2位)が青山学院大学186人、以下、日本女子大学182人、早稲田大学173人、同志社大学123人、共立女子大学120人と続く。
なお国公立大学は、前年31位だった東京大学が68人(前年42人)で18位に上昇した。また27位に広島大学51人、34位に京都大学44人となった。このほか上位30位までには医科大、美大など12校の女子大学がランクインした。
女性社長の名前トップ3 「和子」、「幸子」、「洋子」
女性社長の名前では、1位が「和子」の3,658人で2年連続で最多。2位は「幸子」3,000人、3位が「洋子」2,906人となり、トップ3は前年と変わらず。
以下、「裕子」2,074人、「京子」2,004人、「恵子」1,897人、「順子」1,795人の順。また前年の上位20位では、すべて名前に「子」がついたが、今回は20位に「明美」がランクインして世代交代の芽もみられた。
このほか名前カナでは、「ケイコ」が6,972人で最も多く、次に「ヨウコ」5,819人、「ヒロコ」4,432人、「ヨシコ」4,075人、「ジユンコ」4,045人の順だった。
女性社長企業の売上高上位
売上高別の上位5社では、トップが玩具販売の日本トイザらス(株)(神奈川、モニカ・メルツ社長)、2位が人材派遣の(株)リクルートスタッフィング(東京、長嶋由紀子社長)、3位が人材派遣のテンプスタッフ(株)(東京、篠原欣子社長)、4位が化粧品、健康食品製造販売の(株)ディーエイチシー(東京、高橋芳枝社長)、5位は生活協同組合のみやぎ生活協同組合(宮城、齋藤昭子理事長)だった。
女性社長の上場企業は24社
女性社長(代表執行役を含む)の上場企業は24社(判明分)だった。産業別ではサービスと小売が各4社、化学と情報・通信が各3社と続く。
これまで女性社長は、親や配偶者などから事業を引き継ぐ同族継承パターンが多かった。
しかし、最近は肩書きや属性にとらわれない人脈を活用したビジネスの立ちあげや、主婦経験や生活者の感覚を生かして多様なサービスや商品を提供しているところも出てきた。
こうした女性の視点を活かしたビジネスや起業などが、右肩上がりの成長が難しいなかで新たな経済活性化につながることが期待される。
※ 調査結果詳細は、関連資料参照