浜松ホトニクス、独自技術によるトランスの小型化で小型高安定な高圧電源を開発

独自技術によるトランスの小型化で、

他社製小型サイズの高圧電源に比べ安定性とノイズを２ケタ以上向上に成功

小型高安定な高圧電源を開発


　当社は、独自の技術でトランス（昇圧部）を小型化することで、高安定で低ノイズな高圧電源を小型化することに成功し、他社製小型サイズの従来品に比べ安定性とノイズを２ケタ以上向上した小型高圧電源の新製品を１０月１日より国内外の高圧電源を使用する小型携帯機器メーカーに向けて販売します。また、電源の形状変更が可能なため、標準品と同時に顧客の仕様に合わせた製品にも対応します。

　なお、本製品は、９月７日（水）から幕張メッセ・国際展示場（千葉市美浜区）で開催される、分析に関する日本最大規模の展示会「分析展２０１１」に出展します。


＜製品の概要＞

　本製品は、高圧電源を小型化するためのトランスを開発したことで、大きさ約４．（１５ｍｍ×１５ｍｍ×１８ｍｍ）と小型サイズに収めると共に、変動率，ノイズをそれぞれ０．０１％以下、５０ｍＶ以下で入力電圧５Ｖ、出力電圧１２００Ｖ、出力電流０．６ｍＡを実現しています。

　小型化するために、高い電力変換効率を実現したことや、制御部や昇圧部の部品点数も削減しました。さらに小型でありながら、低ノイズ、高安定を実現しています。また、外部制御が容易なインターフェイス回路を内蔵したタイプもあります。


＜主な特長＞

１、高精度な携帯機器開発に向く小型高圧電源
　独自の技術でトランスの巻き線間に存在する静電容量成分（コンデンサ）を減少させスイッチング時の不要な電荷充放電をなくし、電圧と電流が同時に発生しないタイミングでスイッチング（共振型スイッチング）を行う高電圧発生回路により損失低減（発熱抑制）することで電力変換効率を高めました。高い電力変換効率に加え、制御部や昇圧部の部品点数を削減することで小型化を実現しています。

２、低ノイズで高安定なうえ、駆動損失も最少
　共振型スイッチング技術とノイズ対策フィルタを内蔵することによって、同時に低ノイズ化も両立しています。さらに、安定化回路を内蔵しているため、良好な温度特性と長期駆動安定性が得られます。
　また、トランス駆動周波数は小型化とトレードオフの関係にあり、小型化すると共振周波数が低くなって駆動損失が生じますが、開発したトランスは共振周波数が高く、駆動周波数範囲を超えていることと共振点が少ないため、小型でありながら駆動損失が大幅に少なく高い電力変換効率となっています。

３、外部制御が容易なインターフェイス回路を内蔵

　本製品は、パソコンとデータ通信ができるインターフェイス回路として工業分野の通信方式ＲＳ４８５を内蔵しているので外部制御が容易です。これにより、電圧制御や信号の監視、及び最大３２台の小型電源の並列制御が可能です。


＜開発の背景＞

　近年、極微弱光検出器の光電子増倍管が小型化するなかで、持ち運びができる医療用検査機器や環境計測機器が開発され、放射線計測、環境計測、家庭用血液検査、衛生モニタ、マイクロチップ計測、マイクロ流路計測などに応用されています。

　光電子増倍管は、通常１ｋＶ程度の高圧電源が必要となります。光電子増倍管は、使用する高圧電源の安定性によって、ゲインの安定性に影響を与えるため変動率を０．１％以下にする必要があります。また、アバランシェフォトダイオードなどの光半導体素子でも高いゲインを要求される製品には、高圧電源が使用されることがあります。

　また、光検出器を用いない、生化学分野の電気泳動、有機化学や生化学分野の質量分析器、アクチュエータやセンサなどに用いられる圧電素子などでも高安定な高圧電源が用いられています。

　これらの機器は、高性能化するなかで簡易にリアルタイムに測定するため小型化が進み、それに応じて駆動電源の小型化が求められていました。


●主な仕様
　入力電圧：＋５±０．５Ｖ
　入力電流：２３０ｍＡ　Ｍａｘ
　出力電圧：−１０〜−１２００Ｖ
　出力電流：０．６ｍＡ　Ｍａｘ
　負荷変動率：０．０１％　Ｍａｘ　（０〜１００％負荷に対して）
　リップルノイズ：５０ｍＶｐ−ｐ以下
　寸法（Ｗ×Ｈ×Ｄ）：１５×１５×１８　ｍｍ

●サンプル出荷開始日
　２０１１年１０月１日

●サンプル価格（税込）
　小型高圧電源「Ｃ１０９４０」１７，５００円

●販売目標個数
　初年度１０００個／年　、３年後１０，０００個／年


お問い合わせ先
　浜松ホトニクス株式会社　電子管営業推進部
　　〒４３８−０１９３　静岡県磐田市下神増３１４−５
　　ＴＥＬ０５３９−６２−３１５１　ＦＡＸ０５３９−６２−２２０５
　　Ｅ−ｍａｉｌ：hikita@etd.hpk.co.jp:


　※　製品画像は、関連資料参照