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東北大学、「肥満になると血圧が上がる」メカニズムを解明

2011-08-15

東北大学大学院医学系研究科

「肥満になると血圧が上がる」メカニズムを解明

メタボリックシンドロームの発症機序明らかに〜


 東北大学大学院医学系研究科代謝疾患医学コアセンター・片桐秀樹教授、分子代謝病態学分野・宇野健司助教、岡芳知教授らのグループは、太っていくにつれて血圧が高くなるメカニズムを解明しました。

 過食などの生活習慣にもとづく肥満は、糖尿病・高血圧・高脂血症を併発しやすいことから、これらはまとめてメタボリックシンドロームという一つの症候群と考えられています。メタボリックシンドローム患者は、動脈硬化を生じやすく、患者数の急増と相まって、医学的にも社会的にも大きな問題となっています。この度、研究グループは、肝臓に脂肪が蓄積するのに応じて発せられる神経シグナルが肥満の際の血圧上昇に関わることを発見し、メタボリックシンドロームの主徴候である高血圧が生じるメカニズムを解明しました。

 本成果は、欧州循環器学会誌European Heart Journalに掲載されます。


 過食の際、体は代謝を活発にして、すぐには体重が増えないですむようにしています。研究グループは、以前、動物実験により、肝臓に脂肪が蓄積するのに応じて発せられる神経シグナルを発見しています。また、この神経シグナルが、過食時に交感神経活動を高め代謝を活発にすることにより、体重をすぐには増やさないですませるようにするメカニズムであることを示しました(Science誌、2006)。今回は、さらにこの研究を発展させ、肥満マウスでこの神経シグナルを遮断すると、血圧上昇が起こらないことを見出しました。このことなどから、この神経シグナル自体が、肥満の際の血圧上昇に関わることを発見しました。

 肝臓はカロリー摂取に応じ脂肪蓄積量をダイナミックに変えることができることから、肝臓がカロリー蓄積のセンサーとして働き、過栄養時に基礎代謝を活発にして体重が増えないように調節していると考えられます。しかし、このカロリー過剰状態が持続している飽食の時代においては、この体に備わったフィードバック機構自体が、皮肉にも、交感神経の活性化を持続させてしまい、高血圧を発症させることにつながっていることがわかりました。本研究成果は、メタボリックシンドロームの本態やその概念を明らかにするとともに、発症機序に基づいた新たな治療法の開発にもつながるものとして、大いに期待されます。


論文:Hepatic peroxisome proliferator−activated receptor−γ−fat−specific protein 27 pathway contributes to obesity−related hypertension via afferent vagal signals (邦訳: 肝臓ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)−脂肪特異的タンパク質27(FSP27)経路が求心性迷走神経シグナルによって肥満にともなう高血圧をひきおこす)

掲載誌: European Heart Journal(欧州循環器学会誌)電子版 8月9日付 <雑誌の2010年度のImpact Factorは10.046>

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