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帝国データバンク、東北3県のメーンバンク調査と地銀・第二地銀の業績動向調査結果を発表
特別企画:東北3県のメーンバンク調査及び地銀・第二地銀の業績動向調査
東北3県のメーンバンク、地元地銀が5割
〜震災に伴う貸倒引当金繰入の積増額は758億円〜
<はじめに>
大型倒産の減少や中小企業金融円滑化法施行による影響から金融機関の不良債権処理費用が減少、2011年3月期の地銀・第二地銀の決算は、全体的に黒字計上が目立つ結果となっている。しかし一方で、東日本大震災の影響により、東北地区のとりわけ被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の地銀、第二地銀においては、被災した融資先向けの与信コスト増加により、大半が赤字計上を強いられている。
帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(収録企業数139万社)から、岩手県、宮城県、福島県の3県に本店を置く企業がメーンバンクと認識している金融機関について抽出し、集計するとともに、2011年3月期の地銀63行・第二地銀42位の決算状況についてまとめた。
※本調査は「COSMOS2」収録企業のデータであり、各金融機関がメーンバンクとして実際に取引している企業数とは異なる。また、複数のメーンバンクがあるケースでは、最上位の金融機関のみを調査対象としている。
※与信コスト:一般貸倒引当金繰入額+不良債権処理額+特定海外債権引当金−貸倒引当金戻入益。償却債権取立益及び偶発損失引当金戻入益、投資損失引当金戻入益などは、本調査では含めないこととする。
<調査結果(要旨)>
1.「岩手」「宮城」「福島」の企業、5万9156社のうち、メーンバンクと認識している金融機関で最も多いのは七十七銀行の1万3392社(構成比23%)。次いで「東邦銀行」の8663社(同15%)、「岩手銀行」の6022社(同10%)と続いている。
2.東日本大震災に伴う地銀・第二地銀の貸倒引当金繰入の積増額は9行合計で758億4900万円。震災以外の与信コストと合計すると9行で983億7800万円となり、9行の貸出残高合計に占める割合は0.92%となった。一方、それ以外(震災に伴う貸倒引当金繰入の積増額計上がない)の地銀・第二地銀の与信コスト合計が貸出金合計額に占める割合は0.26%となっている。
3.経常収益は、8割強の84行が前期比で減収となった。
4.与信コストの合計額は、地銀(63行)が前期比21.2%減、未公表の銀行を除く第二地銀(41行)が同37.4%減と、ともに大幅な減少となった。
5.貸出残高の合計額は、地銀(63行)が前期比1.8%増、第二地銀(42行)が0.9%増となり、105行合計では前期比1.6%増の201兆5594億600万円となった。貸出残高が前期比で増加している地銀及び第二地銀は、合わせて80行(構成比76.2%)に達している。
※調査詳細は添付の関連資料を参照