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住友林業、短工期・コスト削減を実現の地盤補強工法「スミリン・テーパー・パイル工法」を開発

2011-07-26

高性能かつ短工期を実現し、コスト削減に成功した地盤補強工法

「スミリン・テーパー・パイル工法」の開発について

〜オリジナル工法により顧客メリットを訴求〜


 住友林業株式会社(社長:市川 晃 本社:東京都千代田区大手町)は、軟弱地盤地域における戸建住宅などの小規模建築物の地盤補強工法として、「スミリン・テーパー・パイル工法(以下、STパイル工法)」を新たに開発しましたので、お知らせいたします。

 今回開発した「STパイル工法」は、1/150の傾斜で先端を細くしたテーパー鋼管杭を用いることで、地盤へ回転圧入する時のエネルギーを低減でき、従来よりも少ない杭数で所定の支持力が得られることを特長としております。また、工期の短縮やコストの削減につながる工法であることから、地盤条件などを満たす場合においては、「住友林業の家」に積極的に採用することで顧客メリットの訴求につなげてまいります。

 なお、「STパイル工法」は、当社オリジナルの地盤補強工法として特許出願をしている技術を基に、新日本製鐵株式会社(社長:宗岡 正二 本社:東京都千代田区)と共同で開発を行ったものです。また、「STパイル工法」に用いるテーパー鋼管は、同社の名古屋製鉄所にてスピニング加工※したものを用いております。

 ※スピニング加工:一般構造用炭素鋼管を回転させながら絞り込み、杭の先端に向かって細くなるような傾斜を設けるように加工すること。 

■経緯
 当社は2005年度より、筑波研究所において、軟弱地盤より下層にある支持層(硬質地盤)に杭の先端を打設し、それによって建物を支える支持杭工法にかわる新たな地盤補強工法の開発に着手しました。軟弱地盤に対して摩擦力によって建物を支持する摩擦杭工法をベースに研究をすすめることとし、併せて地盤補強に必要な杭数の低減を目指し、同時に工期の短縮とコストの削減を目標としました。その結果、「STパイル工法」として、杭頭部から杭先端方向に1/150の勾配傾斜をもち、外部に突起物の無いテーパー鋼管杭を用いた地盤補強工法の開発に至りました。テーパー鋼管杭を地中に回転圧入することにより、杭周面の摩擦力を十分に発揮して建物を支持する工法として日本建築総合試験所における性能証明を取得しております。また、比較的簡易な地盤調査であるスウェーデン式サウンディング試験による調査結果に基づく設計を可能としております。

■テクノロジー概要
 「STパイル工法」は1/150の傾斜勾配をもつテーパー鋼管杭を用いて、所定の方法により施工を行うことで摩擦による支持力が得られる工法です。施工には通常の地盤補強工事に使用される機械を使用しますが、杭体に傾斜勾配をもたないストレート杭に比べ、杭先端を細くした形状のため回転圧入する時のエネルギーが小さくて済みます。また、その形状からもたらされる周面摩擦抵抗はストレート杭の1.5倍以上であり、摩擦杭工法のため地盤支持層に到達する必要がありません。地盤面の変化などによる地域的な沈下が発生した場合でも、摩擦杭工法のため抜け上がり事故が防止でき、必要な支持能力を保持しながら地盤と基礎が一体となって挙動する働きも併せ持っております。

 当社ではこのような高い効果を有する「STパイル工法」の開発に成功し、各種の技術的知見をとりまとめたことなどを踏まえ、「住友林業の家」に積極的な採用をすすめ、地盤補強工事の工期短縮やコストダウンなど、顧客メリットにつながるものと期待しております。


「STパイル工法」のメリット(左図はイメージ)
 従来のストレート杭は、硬質地盤(支持層)に杭先端を到達させ、その先端抵抗によって支持力を発揮して建物を支えます。一方、テーパー杭は軟弱地盤に設置し、1/150の勾配傾斜から生じるストレート杭の1.5倍以上もの周面摩擦抵抗によって支持力を発揮し、建物を支持します。なお、ストレート杭は支持層に到達するまで複数本必要になる場合がありますが、テーパー杭は基本的には1本で支持力を発揮します。 

 3月11日に発生した東日本大震災では、液状化現象による建物被害が多く見られましたが、建物荷重の支持と不同沈下防止を目的とする地盤補強工事として、「STパイル工法」を試験的に採用した埼玉県の戸建住宅においては、基礎の不同沈下等の被害はありませんでした。

 「STパイル工法」には、所定の施工方法と用いる杭の形状とに起因して、施工時に周辺の地盤を締め固めるという効果があります。この効果からは液状化を抑止する可能性も考えられますが、未検証の状況であり、液状化の抑止効果に関しては今後の研究課題と考えております。

■開発の背景
 軟弱地盤地域における戸建住宅などの小規模建築物の地盤補強工法として、一般的には柱状地盤改良や小口径鋼管杭が採用されています。施工の容易性の点から、柱状地盤改良が約60%程度を占め、次いで小口径鋼管杭が多くなっております(当社調べ)。しかしながら、一般的な柱状地盤改良では環境面の問題が懸念されており、小口径鋼管杭では深度の深い支持層までをスウェーデン式サウンディング試験では調査するのは困難であることと、同時にN値※15以上の支持層の調査が困難であると考えられます。また、小口径鋼管杭は施工時に杭周辺地盤を乱すことから、地盤補強工事の効果の低下などが指摘されています。

 ※N値:標準貫入試験において地盤の硬軟を表す指標。数値が大きいほど固い地盤であることを表す。


柱状地盤改良
 軟弱地盤が深くつづく場合、固化材を柱状に混入して改良する工法。

小口径鋼管杭
 軟弱地盤の深層にある地盤支持層にまで貫入したし小口径鋼管によって、地盤の支持力を強化する工法。


以上


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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