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富士経済、フィルム用高機能材料の世界市場に関する調査結果を発表

2011-07-13

フィルム用高機能材料の世界市場を調査

−2015年 世界市場予測(2010年比)−
 ・EVAフィルム:2.7倍、PETフィルム:1.3倍…拡大の続く太陽電池用途が牽引
 ・フィルム用透明導電コーティング材(酸化物系):1.8倍…タッチパネル用途で需要増


 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、FPD(フラットパネルディスプレイ)や太陽電池など高付加価値用途のフィルムと構成材料の世界市場を調査した。その結果を報告書「2011 フィルム用高機能材料の市場展望とフィルムメーカー戦略」にまとめた。

 この調査では、基材フィルム8品目、フィルム用コーティング材9品目、機能フィルム3品目の各市場の現状を分析し今後を予測した。また、フィルムメーカー及びコンバーター41社の事業戦略もまとめた。


<注目市場>

1.EVAフィルム【基材フィルム/半導体・基板、太陽電池用途】
 ※ 関連資料参照

 EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)樹脂は接着性や柔軟性などに優れており、酢酸ビニルの配合量により特性が変わる。EVAフィルムは耐衝撃性、柔軟性、低温シール性などに優れており、食品包装用シーラント材、農業用ビニル、合わせガラス用中間膜、太陽電池用封止フィルムなどに用いられている。ここでは、太陽電池用途と半導体・基板用途を対象とした。

 2010年のEVAフィルム市場は前年比2.1倍の1,692億円と大きく拡大した。太陽電池用途がEVAフィルム市場の大半を占めている。ドイツにおいて太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT,Feed−in Tariff)変更前の駆け込み需要があり、太陽電池用封止フィルム向けが急増した。また、半導体市場の回復に伴い、半導体・基板用途でもBG(バックグラインド)テープ基材向けの需要が戻ってきている。

 今後、太陽電池用途では、短期的には固定価格買い取り制度の変更などの影響を受けると考えられるが、長期的には太陽電池の導入が進み2015年まで年率2桁増を維持していく見通しである。EVA樹脂の不足も懸念されているが、EVA樹脂メーカーが生産増強を図っているほか、新規参入を予定しているメーカーもあることから、供給懸念は薄らぎつつある。EVAフィルム市場は2011年に前年比36.1%増の2,302億円が見込まれ、2015年には2010年比2.7倍の4,533億円が予測される。


2.PETフィルム【基材フィルム/FPD、半導体・基板、太陽電池、塗装代替用途 】
 ※ 関連資料参照

 PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは比較的安価であるが様々な特性をバランスよく備えており、工業材料、包装材料、磁気材料など幅広い用途に用いられている。このうちFPD、半導体・基板、太陽電池、塗装代替の各用途を対象とした。

 2010年の市場は前年比14.9%増の3,321億円と、2009年の世界的な景気後退から立ち直り2桁成長となった。中でもFPDや太陽電池用途の需要が高まり、需給のひっ迫も見られた。

 FPD用途は、偏光板用プロテクトフィルムやバックライトユニット用基材フィルム(プリズムシート、反射フィルム、拡散フィルム、レンズフィルム)を中心にPETフィルムが用いられており、PETフィルム市場の86.1%を占める。2010年秋頃から液晶パネル向け大型パネル生産は調整局面に入ったが、スマートフォンやタブレットPCなどモバイル機器向け中小型パネルの生産は好調である。

 太陽電池用途は、バックシート構成フィルム(機能付与フィルム、絶縁フィルム、防湿フィルム、耐候フィルム)を中心にPETフィルムが用いられている。太陽電池市場の拡大に連動して構成部材の材料であるPETフィルムの需要も急増している。太陽電池用途のPETフィルム市場は、2010年に前年比2倍に拡大した。

 FPDや太陽電池といった高成長市場の旺盛な需要に伴い、PETフィルム市場も拡大が続く見通しである。2011年は前年比7.9%増の3,583億円が見込まれ、2015年は2010年比34.2%増の4,456億円が予測される。特に太陽電池用途は年率2桁増で拡大していく見通しで成長幅が大きい。


3.フィルム用透明導電コーティング材(酸化物系)【フィルム用コーティング材/透明導電性フィルム用途 】
 ※ 関連資料参照

 フィルム用透明導電コーティング材(酸化物系)は、タッチパネルや電子ペーパーの構成部材である透明導電性フィルム用途のコーティング材を対象とした。ITO(酸化インジウム・スズ)が採用されており、透明性が高く帯電防止や低抵抗などの機能を持つ。

 スマートフォンやタブレットPCなどタッチパネルを搭載したモバイル機器の急増に連動して、透明導電性フィルムの需要も高まっている。コーティング材市場も2010年は前年比13.2%増の60億円となった。

 今後もタッチパネルの高需要が続く見通しであることや、電子ペーパー、太陽電池、有機ELなど用途の拡大が考えられることから、コーティング材市場も連動して拡大していくと予測される。2011年は前年比16.7%増の70億円が見込まれ、2015年には2010年比83.3%増の110億円が予測される。コーティング材への要求性能が高くなっている中、他の導電材料(金属インク、導電性ポリマー)は物性が不十分であり、当面はコーティング材が優位とみられる。


<調査結果の概要>
  ※ 関連資料参照

 各品目のうち、基材フィルムはFPD、半導体・基板、太陽電池、塗装代替などの用途、フィルム用コーティング材は反射防止フィルム、プロテクトフィルム、透明導電性フィルム、IMD(インモールド成型)/IML(インモールドラベル)、屈折率材料などの用途をそれぞれ対象とした。また、機能フィルムは、ハードコートフィルム、透明導電性フィルム、ハイバリアフィルムを対象とした。

基材フィルム 
 2010年の基材フィルム市場はFPD用途、太陽電池用途が牽引した。液晶パネルの生産においてプロセス部材や構成部材として基材フィルムが大量に用いられており、市場の67.4%をFPD用途が占めている。また、太陽電池用途でも、封止フィルム、バックシートといった太陽電池に欠かせない構成部材でEVAフィルムやフッ素系フィルムが用いられており、太陽電池市場の拡大に連動して需要が急増している。
 市場規模が最も大きいPETフィルムは、FPDから太陽電池、半導体・基板、塗装代替と、幅広い用途に用いられている。
 基材フィルム市場は今後、太陽電池に加えリチウムイオン電池やLEDなどの用途も成長していくと予測される。

フィルム用コーティング材 
 2010年のコーティング材市場は液晶パネルの生産が秋口を除き順調に増加したため、ほとんどの品目が拡大した。 液晶ディスプレイ用粘着剤とフィルム用ハードコーティング材の市場規模が大きく、ハードコーティング材は反射防止やIMD/IML、透明導電性フィルムなど幅広い用途がある。また、タッチパネル用途のフィルム用透明導電コーティング材、静電容量式タッチパネル用耐指紋・防汚コーティング材が急成長している。
 今後、 スマートフォンやタブレットPCなどモバイル機器へのタッチパネル搭載増加と連動して、タッチパネル用途のコーティング材市場が拡大していくと予測される。

機能フィルム 
 2010年の機能フィルム市場は液晶テレビやタッチパネル搭載機器の増加に伴い、ハードコートフィルムや透明導電性フィルムの需要が旺盛だった。

 今後もタッチパネル搭載機器が増える見通しであることから、透明導電性フィルムの成長は続くと予測される。また、 ハイバリアフィルムは軽量薄型化、フレキシブル化を目的に、有機ELや有機薄膜太陽電池などの次世代デバイス基板として研究開発がおこなわれており、2013年頃には採用が本格化すると考えられる。


<東日本大震災の影響>
 東北や北関東の工場において、生産設備損傷などの被災や電力・上下水道などインフラ被災の影響による操業停止が生じたほか、一時操業停止も見られた。3月末までに操業を再開した工場が多いものの、被害の大きかった工場は復旧に時間を要し5月、6月の操業再開となった。今後の生産・販売計画に支障の生じているメーカーもある。


以上


<調査対象>
 ※ 関連資料参照 


<調査方法>
 富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業、関連団体などへのヒアリング調査

<調査期間>
 2011年4月〜6月

 資料タイトル :「2011 フィルム用高機能材料の市場展望とフィルムメーカー戦略」
 体裁:A4判 348頁
 価格:97,000円 (税込み101,850円)
     CD−ROM付き価格 117,000円(税込み122,850円)
 調査・編集:富士経済 東京マーケティング本部 第二事業部
 TEL:03−3664−5821  FAX:03−3661−9514
 発行所:株式会社 富士経済
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL:03−3664−5811 (代) FAX:03−3661−0165  e−mail:info@fuji−keizai.co.jp

 この情報はホームページでもご覧いただけます。
  URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
       https://www.fuji-keizai.co.jp/


※ 詳細は、関連資料参照

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