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ノボノルディスク、次世代超持効型溶解「インスリンアナログ インスリン デグルデク」などの第2相試験結果を発表

2011-06-10

次世代の超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデクに関する新しいデータについて
−国内および海外の第2相試験の結果を第54回日本糖尿病学会で発表−


 ノボ ノルディスクが開発中の、次世代の超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデク(IDeg)およびIDegと超速効型インスリンアナログ インスリン アスパルト(IAsp)との配合製剤であるインスリン デグルデク/インスリン アスパルト(IDegAsp)の国内・海外の第2相臨床試験の結果および両剤の作用動態が、第54回日本糖尿病学会年次学術集会(2011年5月19日−21日、於:札幌)で発表されました。

 IDegは平坦で安定した薬力学的作用および薬物動態を示し、作用は投与後24時間以上持続します。1型糖尿病におけるベーサルボーラス(BB)療法のベーサルインスリンとして使用した場合、夜間低血糖の発現頻度が低く、対照薬と同様の血糖コントロールが得られることが示されました。また、IDegAspはIDegを70%、IAspを30%配合した製剤で、2型糖尿病患者への1日1回または2回投与で良好な血糖コントロールが得られ、低血糖の発現は少ないという結果が得られました。

 第54回日本糖尿病学会年次学術集会にてIDegの試験結果を発表された東京女子医科大学 岩本安彦先生は、「糖尿病患者さんがインスリン治療を行ううえで、最も心配されるのは低血糖である。その発現頻度を高めることなく、良好な血糖コントロールを可能にすることが治療における目標であり、今回報告されたインスリン デグルデクの薬理学的作用プロファイルは既存インスリン治療による低血糖の課題を改善することが期待できる」と述べています。


学会発表

●IDegは平坦で安定した薬力学的作用および薬物動態プロファイルを有し、作用は投与後24時間以上持続する(※1)
 IDegは、皮下でマルチヘキサマー(多数の六量体からなる集合体)を形成し、そこから持続的かつ緩徐に血中に吸収され、長時間にわたり平坦かつ安定した作用を示す。

 IDegはIAspとの配合が可能であり、IDegAspは基礎分泌を補う超持効型画分と、追加分泌を補う超速効型画分が明確に区別されたことにより、低血糖の発現頻度が低下することが期待される。

●1型糖尿病におけるIDegを用いたBB療法は、夜間低血糖の発現頻度が低く、対照薬と同様の血糖コントロールを得られることが示唆された(※2)
 1型糖尿病患者を対象としたBB療法における、IDegおよび持効型インスリン製剤の1日1回投与による有効性と安全性を検討する無作為割り付け、非盲検、多施設共同、並行群間比較試験を実施した。追加インスリンとしてインスリン アスパルトを併用した。本試験では、投与量の最適化(Treat to Target)を行った。

 海外試験において、インスリン治療を行っている1型糖尿病患者118例をIDeg群、インスリン グラルギン(IGlar)群に1:1の割合で無作為割り付けし、1日1回夕食時に16週間投与した。国内においては、BB療法を行っている1型糖尿病患者65例をIDeg群、インスリン デテミル(IDet)群に無作為割り付けし、1日1回就寝前に6週間投与した。

【結 果】
 海外試験の空腹時血糖値の平均低下量は、IDeg群29.2mg/dL、IGlar群19.1mg/dLとなり、国内試験の6週後の空腹時血糖値はIDeg群146.7mg/dL、IDet群135.7mg/dLとなった。夜間低血糖は、海外試験で、IGlarと比較してIDegで58%有意に少なかった。国内試験の夜間低血糖はIDeg群で67%有意に少なかった。


●2型糖尿病患者へのIDegAsp1日1回または2回投与により良好な血糖コントロールが得られ、低血糖の発現は少なかった(※3)
 IDegAspは、IDegを70%、IAspを30%配合した溶解型のインスリンである。IDegAspの2型糖尿病患者における有用性を検討する試験を実施した。この試験では、投与量の最適化(Treat to Target)を行った。

 海外試験において、インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者119例をIDegAsp群またはIGlar群に無作為割り付けし、1日1回16週間投与した。国内試験においては、2型糖尿病患者66例をIDegAsp群または二相性インスリン アスパルト(BIAsp)30群に無作為割り付け、1日2回6週間投与した。

【結 果】
 海外試験の投与終了時の平均空腹時血糖値はIDegAsp群で122.4mg/dL、IGlar群で126.0mg/dLだった。国内試験の投与終了時の空腹時血糖値の変化量はBIAsp30群5.2mg/dL、IDegAsp群−23.6mg/dLで、IDegAsp群で大きな低下がみられた。夜間低血糖は海外試験で投与群間に差は認められず、国内の試験ではいずれの群でも少なかった。

References:
1.次世代の超持効型溶解インスリン アナログinsulin degludecの作用動態(2011年5月21日 日本糖尿病学会 口演 III−3−23)

2.1型糖尿病患者における次世代の超持効型インスリンinsulin degludecを用いたBasal−Bolus療法;海外・日本での第2相臨床試験成績(2011年5月21日 日本糖尿病学会 口演 III−3−22)

3.次世代超持効型インスリンinsulin degludecと超速効型インスリンとの配合製剤の有用性:海外及び日本における第2相臨床試験成績(2011年5月19日 日本糖尿病学会 口演 I−3−19)


■用語解説
 ベーサルボーラス(BB)療法:常時一定の割合で少しずつ分泌される基礎分泌(ベーサル)と食事時に血糖値が上昇するのに合わせて追加的に分泌される追加分泌(ボーラス)の両方のインスリンの不足を補充する治療法。

 インスリンアナログ製剤:ヒトインスリンアミノ酸配列を一部置換し、インスリン作用動態をより生理的に近づけるように開発されたインスリン製剤

六量体:6つのインスリン分子からなるユニット

低血糖:血液中のブドウ糖(血糖)の量が異常に下がる状態。はじめは、空腹感やあくび、悪心、冷や汗、手指のふるえや動悸などの症状がでて、さらに進むと、意識消失、痙攣、昏睡といった症状が現れ、長びくと生命にかかわる危険な状態になる。

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