武田薬品など、米国で腎性貧血治療薬「ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅ」の販売許可申請を提出

米国における腎性貧血治療薬ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅの販売許可申請について



　Ａｆｆｙｍａｘ，　Ｉｎｃ．（本社：Ｐａｌｏ　Ａｌｔｏ、米国カリフォルニア州、以下「Ａｆｆｙｍａｘ社」）と武田薬品工業株式会社（本社：大阪市中央区、以下「武田薬品」）は、このたび、両社が米国において共同開発している腎性貧血治療薬ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅ（一般名、旧製品名：Ｈｅｍａｔｉｄｅ［ＴＭ］）について、米国食品医薬品局（ＦＤＡ）に透析期患者（成人）を対象とした腎性貧血効能で販売許可申請を提出しましたので、お知らせします。Ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅは、赤血球産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンの受容体に結合し効果を発揮するＰＥＧ化した合成ペプチド製剤です。

　今回の販売許可申請は、透析期患者を対象にｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅの有効性および安全性を評価した２本の臨床第３相試験（ＥＭＥＲＡＬＤ［１］、［２］）の結果に基づいています。ＥＭＥＲＡＬＤ試験では、対照薬（ｅｐｏｅｔｉｎ　ａｌｆａまたはｅｐｏｅｔｉｎ　ｂｅｔａ）を投与中の透析期患者が、ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅ投与群または対照薬継続投与群に無作為割付され、ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅは４週間に１回、対照薬は添付文書に基づきｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅより高い頻度で投与されました。ＥＭＥＲＡＬＤ試験の結果から、ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅは対照薬と同等にヘモグロビン値を維持し、副作用の発現率も同等であることが示されました。

　Ａｆｆｙｍａｘ社のＣＥＯであるＪｏｈｎ　Ｏｒｗｉｎは、「販売許可申請は、当社と武田薬品にとって大きなマイルストンであり、承認取得後は、患者さんや医療関係者の皆さんに１ヶ月製剤という重要な治療オプションを提供できるものと期待しています。承認審査がスムーズに進むようＦＤＡと緊密なコミュニケーションを図ってまいります」と述べています。

　当社の１００％子会社である武田グローバル研究開発センター株式会社の社長Ａｚｍｉ　Ｎａｂｕｌｓｉは、「Ａｆｆｙｍａｘ社との緊密な連携により、ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅの販売許可申請を達成できたことを大変嬉しく思います。Ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅは、心血管系リスクの評価を予め組み入れた臨床第３相試験によって、その安全性が検証された初めてのＥＳＡ製剤（＊）です。透析を受けている慢性腎疾患患者さんの貧血治療のオプションは限られていますので、今回の申請が腎性貧血治療の新たなステップになるものと期待しています」と述べています。

＊Ｅｒｙｔｈｒｏｐｏｉｅｓｉｓ　Ｓｔｉｍｕｌａｔｉｎｇ　Ａｇｅｎｔ：赤血球造血刺激因子製剤


＜慢性腎疾患に伴う貧血について＞
　慢性腎疾患患者では、赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンが欠乏することから［１］、貧血は一般的に見られる合併症ですが、慢性腎疾患患者および透析期患者の生活に影響を与えるだけでなく、入院や死亡のリスクを高めることが示唆されています［２］。重篤あるいは長期の貧血患者では、赤血球によって運ばれる酸素量が不足するため、心臓やその他臓器に重篤あるいは致死的なダメージを与える場合があります［３］，［４］。貧血治療には、赤血球を増やすためにＥＳＡ製剤が広く使用されています［３］，［４］。メディケア／メディケイドサービスセンターによると、米国における透析期患者の９５％以上がＥＳＡ製剤の投与を受けています５。


＜ｐｅｇｉｎｅｓａｔｉｄｅについて＞
　本薬は、Ａｆｆｙｍａｘ社と武田薬品が米国において共同開発中の腎性貧血治療薬であり、承認取得後はコ・プロモーションを行います。米国外の市場については、武田薬品が単独で販売活動を行います。臨床試験で報告された主な有害事象は、下痢、咳、呼吸困難、吐き気、筋痙攣です。


１．　Ｎａｔｉｏｎａｌ　Ｋｉｄｎｅｙ　ａｎｄ　Ｕｒｏｌｏｇｉｃ　Ｄｉｓｅａｓｅｓ　Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ　Ｃｌｅａｒｉｎｇｈｏｕｓｅ．　“Ａｎｅｍｉａ　ｉｎ　Ｋｉｄｎｅｙ　Ｄｉｓｅａｓｅ　ａｎｄ　Ｄｉａｌｙｓｉｓ．”　http://kidney.niddk.nih.gov/kudiseases/pubs/anemia．　Ａｃｃｅｓｓｅｄ　Ｍａｒｃｈ　３，　２０１１
２．　Ａｓｔｏｒ　ｅｔ　ａｌ　“Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ　ｏｆ　Ｋｉｄｎｅｙ　Ｆｕｎｃｔｉｏｎ　ｗｉｔｈ　Ａｎｅｍｉａ：Ｔｈｅ　Ｔｈｉｒｄ　Ｎａｔｉｏｎａｌ　Ｈｅａｌｔｈ　ａｎｄ　Ｎｕｔｒｉｔｉｏｎ　Ｅｘａｍｉｎａｔｉｏｎ　Ｓｕｒｖｅｙ（１９８８−１９９２）．　Ａｒｃｈｉｖｅｓ　ｏｆ　Ｉｎｔｅｒｎａｌ　Ｍｅｄｉｃｉｎｅ　２００２；　１６２：　１４０１−１４０８
３．　Ｎａｔｉｏｎａｌ　Ｋｉｄｎｅｙ　Ｆｏｕｎｄａｔｉｏｎ．　“Ａｎｅｍｉａ　ａｎｄ　Ｃｈｒｏｎｉｃ　Ｋｉｄｎｅｙ　Ｄｉｓｅａｓｅ．”　http://www.kidney.org/Atoz/pdf/anemia.pdf．　Ａｃｃｅｓｓｅｄ　Ｍａｒｃｈ　２，　２０１１．
４．　Ｎａｔｉｏｎａｌ　Ｈｅａｒｔ　Ｌｕｎｇ　Ｂｌｏｏｄ　Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ　“Ｗｈａｔ　ｉｓ　Ａｎｅｍｉａ．”　http://www.nhlbi.nih.gov/health/dci/Diseases/anemia/anemia_whatis.html．　Ａｃｃｅｓｓｅｄ　Ｍａｒｃｈ　２，　２０１１．
５．　Ｃｅｎｔｅｒｓ　ｆｏｒ　Ｍｅｄｉｃａｒｅ　ａｎｄ　Ｍｅｄｉｃａｉｄ　Ｓｅｒｖｉｃｅｓ．　“ＭＥＤＣＡＣ　Ｍｅｅｔｉｎｇ　３／２４／２０１０　−　Ｅｒｙｔｈｏｐｏｉｅｓｉｓ　Ｓｔｉｍｕｌａｔｉｎｇ　Ａｇｅｎｔｓ　（ＥＳＡ）　ｉｎ　Ａｎｅｍｉａ　Ｒｅｌａｔｅｄ　ｔｏ　Ｋｉｄｎｅｙ　Ｄｉｓｅａｓｅ．”　http://www.cms.gov/medicare-coverage-database/details/medcac-meeting-details.aspx?MEDCACId=52．　Ａｃｃｅｓｓｅｄ　Ｍａｒｃｈ　４，　２０１１．