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KDDI研究所、M2M通信向けデータ転送技術「すきま通信」を開発
M2M(Machine to Machine)通信向けデータ転送技術「すきま通信」を開発
〜ネットワークやサーバの空いている時間を通信モジュールが探索して有効活用〜
株式会社KDDI研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中島康之)は、M2M通信のためのデータ転送技術「すきま通信」を開発しました。本技術を利用すると、ネットワークやサーバの負荷が低い時間を見つけて通信を行い、設備の利用効率を高めて不要な増設を抑制できます。また、自律分散型の制御ですので、災害などの想定外の事象が発生した場合にも安定した動作で、アクセス集中によるネットワーク輻輳やサーバダウンを回避します。
【背景】
産業機械や自動車など、さまざまな機器に通信モジュールを組み込み、こうした機器間で情報をやりとりするM2M通信が急速に普及しています。しかし、通信モジュール搭載機器を多数接続するM2M通信ネットワークでは、通信モジュールが一斉に通信を行うことによるネットワークやサーバへのアクセス集中が発生する可能性があり、過負荷状態に対するサーバ保護や不要な設備増強を避ける技術が求められています。特に通信モジュール搭載機器の増加と通信サービスの多様化が急速に進む中、利用環境の変化に柔軟に対応し、経済的で信頼性の高いシステムが必要とされています。
【今回の成果】
このたび、各種機器に組み込まれた通信モジュールが自らネットワークやサーバの利用状況を学習し、こうした設備が比較的空いている「すきま」時間を見つけ出して通信を行う技術を開発しました。この技術は、通信モジュール自らが通信時のスループットやサーバのレスポンスを基に設備の負荷が少ない時間を見つけ出して通信します(図1)。また、直ぐに送信する必要のないデータに関して転送のタイミングを調整し、アクセス集中を避けて設備増強コストの抑制を行います。特に、この技術では、通信モジュール自らが設備の利用状況を学習しているため、端末数が増えたり新しい通信サービスの導入により設備の利用状況が変わった場合にも柔軟に対応して「すきま」時間を見つけ出すことができます。また、回収が難しく長期に渡り稼働する機器などに組み込む場合でも、将来の環境変化に適応して設備利用効率の向上を図ります。本技術は、ネットワークやサーバの負荷を自律的に平準化してピークを抑制することにより、[1]設備コストの削減、[2]集中アクセスに対するサーバ保護、[3]データ転送やサーバ稼働の省電力化、[4]運用の簡易化を実現することを特長とします
【今後の展望】
今後も通信モジュールの組込み対象となる機器は増加し、M2M通信ネットワークが提供するサービスは多様化が進むと考えられます。こうした状況においても、通信モジュールが自律的に設備の利用状況を学習して「すきま」時間を活用することにより、複雑な設計や運用を必要としないM2M通信サービスの効率的な提供が可能となります。M2M通信サービスの普及と多様化が進む中、「すきま通信」は経済的で信頼性の高い設備利用をサポートします。なお、本技術は、2011年5月25日から東京ビッグサイトにて開催されるWireless JapanのKDDIブースにおいて展示されます。
以上