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帝国データバンク、「東日本大震災関連倒産」の動向調査結果を発表
第3回:「東日本大震災関連倒産」の動向調査<5月17日時点速報>
東日本大震災による倒産、累計100社突破
〜阪神大震災時の2倍の速さ、「自動車関連企業」が増加の兆し〜
<調査結果(要旨)>
1.東日本大震災による直接、間接の影響を受けて倒産に至った企業は、5月17日時点で累計102社判明し、100社を突破したことが分かった
2.今回の震災による倒産が100社を突破したのは、震災発生後67日目にあたる。阪神大震災時には震災から129日目で100社を超えており、ほぼ2倍の速さとなった
3.地域別では、岩手、宮城、福島の3県が20社(19.6%)。5月に入り、被災地の倒産が少しずつではあるが、判明しはじめてきた。震災の直接被害を受けた東北と関東以外でも、北海道8社、北陸8社、中部9社、近畿5社、四国1社、九州9社が倒産
4.倒産パターン別では、「直接被害型」が13社(12.7%)に対し、「間接被害型」が89社(87.3%)と大部分を占める。間接被害型の中では、「得意先被災等による売上減少」が32社(31.4%)、「消費自粛のあおり」が26社(25.5%)を数える
5.業種別では、「旅館・ホテル」(13社)が最も多い。「機械・金属製造」(9社)、「建設」(8社)が続いた。また、各種部品製造・販売、金型製造などの「自動車関連企業」が10社に達するなど、ここにきて増加の兆し※ 本調査は、2011年5月6日、12日に続いて3回目
※東日本大震災による企業倒産(表形式)などは、添付の関連資料を参照
<今後の見通し>
東日本大震災による企業倒産は、震災発生から67日経過時点で100社を突破した。95年の阪神大震災時は129日かかったのに比べ、ほぼ2倍の速さである。102社の内訳を見ると、旅館・ホテルや自動車関連企業などの被災地以外の「間接被害型」の倒産が大部分を占める。こうした点が、被災地の「直接被害型」の倒産が中心であった阪神大震災時とは大きく異なる。5月に入り、被災地の倒産も津波の被害の少なかった内陸部から徐々に判明し始めている。沿岸部にある企業の現状確認が進んでいけば、「直接被害型」の件数が全体を押し上げる形で、関連倒産はさらに増加することは間違いない。
ここにきて、震災後の資材不足や受注減で行き詰まる建設業者の倒産が散発し始めた。政府は2011年度予算の公共事業費等の5%分の執行を留保し、被災地向け事業に重点配分する方針を示しており、被災地以外ではそのあおりを受けた形での建設業者の倒産が相次ぐことが予想される。このほか、原発問題が未だ収束の気配を見せておらず、旅館・ホテル、外食といった観光・レジャー関連を中心に、”不要不急”のモノやサービスを提供する企業の倒産は引き続き高水準で推移する見通し。夏の電力不足や部品供給難による影響が拡大している自動車業界においても、すでに関連倒産が増加の兆しを見せ始めている。リーマン・ショック後の生産調整ですでに体力をすり減らしている中小・零細業者を中心に、全国にある下請けメーカーの倒産多発が懸念される。