富士経済、２０１０年の加工食品市場調査結果を発表

２９カテゴリー３９０品目の加工食品の国内市場（輸出は含まず）
―２０１０年の加工食品市場を総括分析―

―２０１０年見込―　
◆国内加工食品市場は前年比０．５％増の２１兆４，８０２億円
◆伸び率（前年比）第１位は果汁飲料　２．８倍、２位は水割り洋酒　２．２倍


　総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町　社長　阿部　界　０３−３６６４−５８１１）は、２０１０年８月から２０１１年２月までに６回に分けて行った２９カテゴリー３９０品目の加工食品の国内市場（輸出は含まず）の調査結果を総括分析した。その結果を報告書「２０１１年　食品マーケティング便覧　総括編」にまとめた。
　この報告書では、加工食品２９カテゴリー３９０品目の市場調査結果の総括分析に加え、２０１０年の業界動向、注目トピックス、有力企業５０社のマーケティング分析などを行った。


＜調査結果の概要＞
１．国内加工食品市場（２９カテゴリー３９０品目）
　２０１０年見込の加工食品市場は、２００７年以来３年ぶりのプラスとなる前年比０．５％増の２１兆４，８０２億円である。
　全２９カテゴリーの内、２０１０年見込で前年比プラスとなるのは１９カテゴリーである。その中で最も高い伸びを示したのが健康飲料である。これは２０１０年が記録的な猛暑であったため、機能性清涼飲料やスポーツドリンクが大幅増となったことからである。また、２番目に高い伸びを示したのがフローズンデザートである。フローズンデザートの高成長も猛暑でアイスクリーム類が急増したことが寄与している。

　２０１０年見込の品目別伸び率ランキング第１位は果汁飲料である。サントリー食品インターナショナルが「なっちゃん！　オレンジ」の果汁を２０％から５０％へ引き上げたことによって、その実績が果汁飲料へ加算されたためである。
　伸び率ランキング第２位は「水割り洋酒」である。サントリー酒類をはじめ各社から缶入りタイプのハイボールが発売され、ヒットしたことからである。

　２００９年の伸び率ランキング第１位の脂肪０％ヨーグルト、第２位のビアテイスト飲料は、今回それぞれ第５位、第４位のランクインである。


＜注目商品群・カテゴリー市場＞
１．機能型食品
　ここではカロリー、脂質カットなどの機能性を付与し、健康効果、ダイエット効果が期待できる機能型ビール類、健康油、マヨネーズタイプ調味料・市販用、ローファット飲料を対象としている。２０１０年見込の市場は機能型ビール類で糖質ゼロ（オフ）＋αを訴求した商品の好調が続き拡大した。尚、ローファット飲料は、成長に頭打ち感が見られるが、一部の上位企業の実績に伸長が見られたことからほぼ横ばい、健康油、マヨネーズタイプ調味料・市販用の両市場は低価格志向などの影響から引き続き前年割れとなった。
　機能型ビール類は、２０１０年３月にキリンビールが「麒麟ＺＥＲＯ」をブラッシュアップした「キリンゼロ＜生＞」を、アサヒビールが「ストロングオフ」を投入している。特にアサヒビールは「ストロングオフ」の好調で実績が伸びた。
　ローファット飲料は、新商品の「緑の大地」や「すっきり飲めるＣａ＋鉄脂肪乳」のリニューアル「すっきりＣａ鉄」が好調な日本ミルクコミュニティ（現・雪印メグミルク）、２００９年にヒットした「まきばの空」が引き続き好調な森永乳業などの実績が伸びている。

２．めん類
　ここではスナックめん（カップ入りインスタントめん）、即席めん（袋入りインスタントめん）、チルドそば・うどん、チルド中華めん、冷凍そば、冷凍うどん、冷凍中華めん、冷凍パスタ、乾めん、国産パスタ、輸入パスタを対象としている。市場は成熟し切っており、プラスとなる年もあるが、長期的に見ると縮小基調で推移している。２０１０年は、業務用を中心に競合の激化によって低価格化が進んだ冷凍そば、冷凍うどん（その他に含まれる）、記録的な猛暑の影響を受けた即席めん、チルドそば・うどんが縮小したが、猛暑の恩恵を受けた乾めんや、主要商品のリニューアルなどでスナックめんが伸びた。
　冷凍そばは、市販用が夏場の記録的な猛暑により需要を伸ばしたものの、冷凍うどんとともにウェイトの高い業務用が競合の激化による単価ダウンが続いた。即席めんは、６月まで例年と比べて低温であったため需要が増加していたが、７月以降の記録的な猛暑と９月末近くまで続いた残暑の影響を受けた。チルドそば・うどんは、夏場の記録的な猛暑により一部商品は恩恵を受けたものの、価格競争が続いている。
　一方、乾めんは、めん類の中で夏場の気温に最も左右されやすく、猛暑と長引いた残暑により、うどん・そうめん・そばなど、いずれも好調であった。また、めん類市場で最も規模が大きいスナックめんは、夏場に記録的な猛暑で消費者の購買意欲が減退したが、前年からの主要商品のリニューアル効果や「太麺堂々」「ＪＡＮＪＡＮソース焼そば」など新商品のヒットなどで市場が活性化した。

３．トマト加工品
　ここではトマトケチャップをはじめ、素材系トマト（トマトのジュース煮、水煮の缶詰、紙パック、レトルトパウチ、ＢＩＢ（※）などの商品）、トマトピューレ・ペースト、トマトソースを対象としている。素材系トマト、トマトピューレ・ペースト、トマトソースは、１９９０年代のイタリアンブームによりイタリア料理店の増加や家庭へのイタリア料理の普及で市場が拡大してきた。２０１０年は、素材系トマトの割安な輸入品が、またトマトソースでより簡便性を追求したトマトベースソースが需要を取り込み、低価格化で実績が伸び悩んでいるトマトケチャップをカバーしている。
　トマトソース、素材系トマトは、メーカー側がレシピ提案などを活発に行ったことで家庭内調理での使用を後押しし、市販用で大きく拡大した。
　一方、トマトケチャップは、市販用・業務用ともに低価格化し、数量ベースでは前年を上回ったが、金額ベースで下回り、トマトピューレ・ペーストは市販用・業務用ともに簡便な専用トマトソースなど、使いやすい素材トマトに需要がシフトし縮小した。
※Ｂａｇ　Ｉｎ　Ｂｏｘ：紙製の箱（段ボール）と特殊バッグ（プラスチック製袋など）を組み合わせた軽くて丈夫な廃棄処分しやすい液体容器。


　※参考資料入りの詳細は、添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照


以上


＜調査対象＞報告書「２０１１年　食品マーケティング便覧」Ｎｏ．１〜６収載の２９カテゴリー３９０品目
Ｎｏ．１（５８品目）：菓子３２品目、スナック菓子９品目、スープ類１２品目、育児用食品３品目、ペットフード２品目
Ｎｏ．２（６１品目）：冷凍調理済食品１１品目、チルド調理済食品６品目、その他調理済食品６品目、フライ類８品目、アルコール飲料３０品目
Ｎｏ．３（６３品目）：チルドデザート１３品目、フローズンデザート７品目、ドライデザート６品目、米飯類１０品目、めん類１５品目、その他ステープル１２品目
Ｎｏ．４（６８品目）：調味料４７品目、調味食品２１品目
Ｎｏ．５（６６品目）：農産加工品２２品目、畜産加工品１２品目、水産加工品１８品目、乳油製品１４品目
Ｎｏ．６（７４品目）：果実飲料１１品目、炭酸飲料８品目、乳性飲料１３品目、嗜好飲料１２品目、健康飲料９品目、その他飲料５品目、嗜好品１６品目

＜調査方法＞
　富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献、社内データベースを併用

＜調査期間＞
　２０１１年１月〜３月


資料タイトル　：「２０１１年　食品マーケティング便覧　総括編」
体　　　　裁　　：Ａ４判　　　２８６頁
価　　　　格　　：１００，０００円　（税込み１０５，０００円）
調査・編集　　：富士経済　東京マーケティング本部　第一事業部
　　　　　　　　　　ＴＥＬ：０３−３６６４−５８３１　　ＦＡＸ：０３−３６６１−９７７８
発　行　所　　：株式会社　富士経済
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