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日立ハイテク、ミラー電子式検査装置「Mirelis VM1000」を開発
ミラー電子式検査装置「Mirelis VM1000」を開発
―SiCウェーハの結晶欠陥・加工ダメージの非破壊検査を実現―
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:宮崎 正啓(◇)/以下、日立ハイテク)は、このたび、SiC(*1)ウェーハの検査を行うミラー電子式検査装置「Mirelis VM1000」を開発しました。本製品は、SiCバルクウェーハ(*2)の加工ダメージ並びにエピタキシャルウェーハ(*3)の積層欠陥や基底面転位といった結晶欠陥の非破壊検査を実現することで、次世代パワーデバイス用SiCウェーハの開発、工程管理、品質管理を強力にサポートする日立ハイテクの新製品です。
◇社長名の正式表記は添付の関連資料を参照
パワーデバイスは、電力の変換や昇降圧を行い、社会の省エネを支える基幹デバイスです。とりわけ従来のSi(*4)パワーデバイスに代わる次世代デバイスとして期待されているのが、SiCパワーデバイスです。SiCパワーデバイスは高耐圧・低損失、高周波動作・高温動作の特性により、従来主流であったSiパワーデバイスと比較し電力損失を最大1/2に低減でき、さらに冷却機構などシステムの簡易化による製品の小型化が可能なことから、近年は民生用機器、太陽光発電、鉄道など幅広い業界・製品への採用が開始されています。
SiCパワーデバイスはこのように優れた材料特性を有する一方で、基盤となるSiCウェーハの製造においては、結晶(*5)の成長速度がSiの数百分の一と非常に遅く、また結晶の欠陥密度が平方センチメートルあたり最大数万個と非常に高いことが、デバイスの低歩留り・低信頼性・高価格を招き、SiCパワーデバイス普及への課題となっていました。また、パワーデバイスの信頼性に影響する結晶欠陥やバルクウェーハの加工ダメージなどはウェーハ内部に存在することから、光学式検査装置などの表面検査では検査が難しく、従来は切断などの破壊検査が検査ソリューションとして用いられてきました。
このたび開発した「Mirelis VM1000」は、ミラー電子式と呼ばれる全く新しいコンセプトの電子線検査装置です。ミラー電子光学系により、入射電子線を試料にあてずに、試料直上の電位面ではね返った電子線から欠陥像を形成します。
これによりウェーハ内部の加工ダメ―ジや結晶欠陥を検出することが可能となります。また電子線を試料にあてないため試料を非破壊にて検査することができ、研究開発段階に加えウェーハの出荷検査での活用も可能となります。
「Mirelis VM1000」は、12月14日より16日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「SEMICON JAPAN 2016」でパネル展示を行います。
日立ハイテクグループは、今後とも、ハイテク・ソリューション事業におけるグローバルトップをめざすとともに、最先端・最前線の事業創造企業としてお客様視点に立ち、顧客および市場のニーズにスピーディーに対応してまいります。
*1 SiC(Silicon Carbide):炭化ケイ素
*2 バルクウェーハ:インゴットより切り出し研磨したウェーハ
*3 エピタキシャルウェーハ:気化させた複数の化学物質をバルクウェーハ上に加え加熱することで、バルクウェーハと同様の原子配列である結晶(膜)を、バルクウェーハ上に生成・成長させたウェーハ
*4 Si(Silicon):ケイ素
*5 結晶:バルクウェーハやエピタキシャルウェーハを構成する原子配列
※製品写真などリリース詳細は添付の関連資料を参照