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ヤクルトなど、乳酸菌ラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品の高齢者の高血圧発症リスク低減効果を発表
乳酸菌ラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品
の習慣的摂取が高齢者の高血圧発症リスクを低減
株式会社ヤクルト本社(社長 根岸 孝成)と、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームの青柳 幸利専門副部長は、群馬県吾妻郡中之条町(以下、中之条町)に在住の高齢者を対象に、乳酸菌ラクトバチルス カゼイ シロタ株(以下、L.カゼイ・シロタ株)を含む乳製品の摂取頻度と高血圧発症リスクを調査した結果、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の週3回以上の習慣的摂取は、高齢者の高血圧発症リスクの低下に繋がることが示唆されました。
なお、本研究成果は、科学雑誌「Beneficial Microbes」の電子版(12月1日付)に公開されました。 http://www.wageningenacademic.com/doi/abs/10.3920/BM2016.0135
1.背景
L.カゼイ・シロタ株は、これまで多くのヒト臨床試験が実施され、腸内菌叢改善、感染予防およびがん再発予防などが報告されている乳酸菌です。また、疫学調査により、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の摂取による膀胱がんおよび乳がんの発症抑制効果が報告されましたが、その他の疾病に対する疫学的な予防効果は明確ではありませんでした。
高血圧症は世界的に広く認められる疾患ですが、特に日本においては成人の人口1億人あたり4300万人が高血圧症との報告もあります。一般に高血圧症自体の自覚症状はありませんが、虚血性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、視力喪失、慢性腎不全といった疾患を引き起こすことが知られており、本疾患の予防は健康の維持、増進に重要と考えられます。
東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チームの青柳 幸利専門副部長らは、2000年より中之条町において「高齢者の日常的な身体活動と心身の健康に関する疫学調査(中之条研究)」を実施しており、身体活動量が多いほど、メタボリックシンドローム、動脈硬化、加齢性筋肉減少症および骨粗しょう症などの疾病リスクが低下することを明らかにし、これらのデータは中之条町や他の自治体の運動目標値の設定に活用されています。
株式会社ヤクルト本社と青柳 幸利専門副部長は、中之条町に在住の高齢者を対象として、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の摂取頻度と高血圧発症リスクを調査しました。
2.研究の内容
中之条町に在住の65才から93才の高齢者352名(男性125名、女性227名、5年前までに高血圧症を発症されていない方)を対象に、過去5年間のL.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の摂取頻度と高血圧発症の関係を調べました。高血圧症の判定は、安静時の収縮期血圧が140mmHg以上および/または拡張期血圧が90mmHg以上の方もしくは医師から高血圧症の診断を受けた方、降圧剤を処方されている方としました。対象者は、栄養士によって過去5年間のL.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の摂取頻度を聞き取り調査したのち、摂取頻度により、週3回未満摂取群(254名)と週3回以上摂取群(98名)に群分けし、過去5年間の高血圧発症率を比較しました。結果は以下のとおりです。
高血圧発症率について、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品、週3回以上摂取群の過去5年間の高血圧発症率は6.1%であり、週3回未満摂取群の発症率14.2%に比べ、統計学上有意に低い値でした(図1、危険率 P=0.037)。さらに、高血圧発症に関与すると言われている主要な交絡因子(年齢、性別、体格指数、喫煙、飲酒)を調整した多変量解析の結果、週3回未満摂取群と比較して、週3回以上摂取群の高血圧発症リスクは半分以下であり、有意に低い値を示しました(リスク比:0.398【95%信頼区間 0.167−0.948】、危険率 P=0.037)。また、Kaplan−Meier法により未発症率曲線を作成したところ、週3回未満摂取群と比較して、週3回以上摂取群の高血圧発症リスクは有意に低い値を示しました(図2、危険率 P=0.038)。
これらのことから、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品を週3回以上習慣的に摂取することにより、高齢者の高血圧発症リスクの低下に繋がることが示唆されました。
※リリース詳細は添付の関連資料を参照