Article Detail
NEDO、ラオスで省エネルギー型データセンターの実証を開始
ラオスで省エネルギー型データセンターの実証を開始
―従来型データセンターに比べ電力消費量40%削減目指す―
NEDOはこの度、ラオス・ビエンチャンにデータセンター設備の設置を完了し、省エネ性に優れたコンテナ型データセンターの実証運転を開始しました。
今回設置したコンテナ型データセンターは、従来型であるビル型データセンターに比べて3分の1程度の工期で設置が可能で、本実証事業では従来比で40%の電力消費削減を達成することを目指します。
本実証事業では、2018年2月までの約1年間、同国の環境に適した運用を実施し、二国間クレジット制度(JCM)を活用して温室効果ガス排出削減効果を検証します。
*参考画像は添付の関連資料を参照
1.概要
NEDOは「地球温暖化対策技術普及等推進事業」において、2016年1月26日、ラオス人民民主共和国科学技術省(MOST)と二国間クレジット制度(JCM)(※1)を活用する省エネルギー型データセンター実証事業のMOU(基本協定書)に署名し、ラオス初となる本格的な国営データセンター整備に際し、日本の有する高品質・高効率なコンテナ型データセンター技術の導入を進めてきました。
今般、本事業において、ラオス・ビエンチャン郊外に高品質・高効率なコンテナ型データセンターの設置が完了し、省エネ性に優れたコンテナ型データセンターの実証運転を開始しました。今回導入したコンテナ型データセンターは、あらかじめコンテナの中にデータセンターの各構成機器の据え付けと配線を済ませて、コンテナのまま現地まで輸送し、設置するため、施工にかかる時間が大幅に節約でき、従来型のおよそ3分の1程度の工期で設置が可能です。また、全コンテナに間接外気冷却方式(※2)を採用し、外気を用いた熱交換によってIT機器の排熱を間接的に冷却し、年間の電力消費を削減することができます。また、データセンター内に設置するサーバについて、高温対応機器を採用することで夏場は高温となるラオスにおいても、データセンター内の冷却にかかる電力消費を抑えることができます。これらの省エネ性能により、従来型であるビル型データセンターに比べて40%の電力消費削減を達成することを目指します。
また本実証事業は、JCMを活用して、温室効果ガス削減量の計測・報告・検証を実施し、本技術の有効性を見える化することで、将来の本技術の普及による温室効果ガス削減活動の促進を目指しています。今後、12月からの試運転を経て、実際にWEBサービス、ファイルシェアサービス、メールサービス等の利用によるデータセンターの運用を開始するとともに、JCMプロジェクトとしての登録申請、承認手続きを進め、温室効果ガス削減量の計測・報告・検証を実施します。
本実証事業の実施および将来的に本技術が普及することにより、ラオスの情報通信分野における温室効果ガス削減と、情報基盤の向上による産業の活性化に寄与することを目指します。
*図は添付の関連資料を参照
2.開所式
今般、データセンターの設置完了に伴い、11月29日(現地時間)、現地ビエンチャンにて開所式を開催しました。日本側はNEDO土屋理事、在ラオス日本国大使館引原大使、委託先である豊田通商株式会社松平専務取締役、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)保条専務取締役、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社亀田執行役員、ラオス側は科学技術省からヴォンダラー大臣、フムファン副大臣、ケワナコン情報通信局長などが出席しました。
【用語解説】
※1 二国間クレジット制度(JCM)
途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本の削減目標の達成に活用するものです。これまでモンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ラオス、ベトナム、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマーおよびタイの計16か国と署名をしています。
※2 間接外気冷却方式
データセンター内のIT機器の冷却のために、空冷もしくは水冷の室内循環式空調に、熱交換器による補助空調を追加し、コンプレッサーや冷凍機の稼働時間を最小限に抑えた方式で、今回は空冷方式を採用しています。