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ポーラ化成、角層水分量が「肌の好不調実感」を左右することを判明
角層が乾燥していると、肌の調子が悪く感じる!?
角層水分量が「肌の好不調実感」を左右することが判明
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:三浦卓士)は、「角層の水分量」と「肌の好不調実感」の関係性について調べた結果、
1.女性が日々感じる「肌の好不調実感」に角層の水分量が関わること、すなわち角層水分量が多い日には肌の調子が良いと感じること
2.角層水分量を増やす化粧品素材として、角層細胞間に浸透し、ラメラ構造(※1)を形成して水分を保持する天然糖脂質成分MEL−B(Mannosylerythritollipid−B)が有効であること
を見出しました。
※1 水になじみやすい部分と油になじみやすい部分の繰り返し構造
これらのことから、MEL−Bを配合したスキンケア製剤を塗布することにより、角層の水分量が高まり、日々の肌の調子が良い、と常に感じられる状態に導けるものと期待できます。
本研究成果は、ポーラ・オルビスグループのオルビス株式会社から来春発売されるスキンケア化粧品シリーズに活用される予定です。
■日々変化する肌の好不調実感には角層水分量が関係
女性は肌の調子が日々異なることを感じています。今回、”肌の好不調実感に影響する要因の一つは角層の水分量である”という仮説を立て、20〜30代の女性13名を被験者とし、頬の角層水分量と肌の調子に関する実感値(自覚)を6日間測定しました。その結果、
(1)頬の角層水分量が多いと肌の調子が良いと感じること(図1)
(2)頬の角層水分量は日々変化し(※2)、それに連動して肌の好不調を感じていること(図2)
を見出しました。
一方、肌の好不調実感に影響すると考えられる「睡眠満足度」、「疲労度」、「精神的ストレス度」も同時に測定しましたが、今回の調査では、肌の好不調実感との関係は認められませんでした。このことから、肌の調子が良いと感じるためには、頬の角層水分量を増やすことが有効な手段であると考えられました。
※2 解析の結果、角層水分量は6日間で異なっていた(一元配置分散分析、p<0.05)
■細胞間脂質層のラメラ構造を再構築し、角層水分量を増加させるMEL−B
角層の水分は角層細胞間脂質のラメラ構造などにより保持されていますが、ラメラ構造は入浴や洗顔などの日常の行為によって乱れることが知られています。そこで私たちは、乱れたラメラ構造を整えることで角層の水分保持機能を増加させ、「肌の調子が良い」と感じる状態をつくりだせるものと考えました。
私たちはこれまでに、ラメラ構造の乱れを即時に整える天然糖脂質成分MEL−B(Mannosylerythritollipid−B)(※3)を見出しています(2010年9月28日発表 技術リリース)。今回、MEL−Bをヒトに塗布した後のラメラ構造の変化を、放射光解析装置を用いて解析した結果、ラメラ構造の層間隔が広がり、より多くの水分を抱え込んでいる傾向があることを確認しました(※4)。さらに、MEL−Bの塗布30分後から角層水分量が増加し、120分後まで持続することが分かりました(図3)。
以上の結果から、MEL−Bは、乱れたラメラ構造の一部に入り込み、より多くの水分を抱え込むラメラ構造を再構築し、角層水分量を増加させる、というメカニズムが示唆されました(※5)。
※3〜5;次ページ補足資料参照
*図1〜3・補足資料は添付の関連資料を参照